いい年こいて、モーニング娘。かよ(w   

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150名無し娘。

車はゆっくりと病院の玄関に入る。
ドアをあけると看護婦さんが車椅子をもってやってくる。

ののはそれに乗ると、すぐにおにいちゃんのいる病棟へ運ばれた。
逆性石鹸の苦い匂いが鼻をつく。
すこしよどんだ空気が、胸の中へ入っていく。
そんな病院独特の雰囲気に少し緊張しながら、結核病棟へと向かった。

すでにおにいちゃんが、入院の手はずを整えていてくれたようで、
看護婦さんの介助で、ののは病室のベッドに横になる。
白い壁と、電灯が釣り下がった少し染みのある天井。
それをみつめながらののは、病院にきちゃいましたね、と呟いた

「そらそうやん。治すんやで、病気を」
ウチはそう言って、ののに笑いかける。
ののは、不安そうに頷く。

しばらくして、おにいちゃんがやってきた。
151名無し娘。:02/07/26 07:30 ID:cc2LXt2F

「希美さん、ご無沙汰です」
おにいちゃんはののに挨拶をした。
ののはお辞儀をすると、おにいちゃんにお礼を言う。
おにいちゃんは、気にしないでくださいというと、早速診察を始めた。

ののの青白い体に聴診器を当てる。その表情は真剣で、いつもの優しいおにいちゃんとは
違っていた。その緊迫感にウチは、いきをのんだ。

「やはり、進行してますね」
すこし悲しげな表情でおにいちゃんはそう言った。
そして、横にいた看護婦さんに検査の指示をだしたりする。
ウチは初めてみるおにいちゃんの仕事姿に見とれていた。

「ここまでしてくださって、有難うございます」
ののはもう一度頭を下げた。
「新しい薬を進駐軍の方から手に入れるように尽力しますので、それが効けば」
と、おにいちゃんは言うと、ウチの頭をくしゃくしゃとなでて、
ちゃんとのののお世話したってな、と言った。

「あたりまえや。まかしとき」
と、ウチは答えた。それを聞いておにいちゃんは優しい笑みを浮かべ、
まかせたで、と言った。

おにいちゃんは病室を去る。白衣の裾が風でふわりとゆれる。
数人の看護婦さんを従え、まるで遠い世界の人のようやった。
152名無し娘。:02/07/26 07:31 ID:cc2LXt2F
「あいぼん、おにいちゃんがいて、いいれすね」
ふわっと、ののの髪が揺れた。そしてぽろぽろと泣き出すのの。
そのまま、病院の薄っぺらい布団に顔を伏せたまま、声を殺して泣きつづけた。

ウチはそれを黙って見つめるしかなかった。

「のの、ウチのおにいちゃんは、のののおにいちゃんみたいなもんや。
ウチのおにいちゃんは、のののおにいちゃんに助けてもらったもどうぜんなんやし、
きっとそのつもりやと思う」
ウチはののの背中をさすりながら、そう答えた。
ののは、嗚咽を続けながら、ゆっくりと顔を上げ、
「それじゃあ、あいぼんに悪いれすよ」
と、答えた。
「もう、遠慮するなんて、ののらしくないで。
病気になってから、頭まで、おかしなったんとちゃうか」
そう言って、ウチは笑った。

ののはその表情を見て、涙を拭いて少しだけ苦笑いすると、そうれすね、と笑ってくれた。

暖房の効いた病室の中は、北向きのののの部屋とは違って、
柔らかい空気が流れていた。