もしも1日だけ辻を自由に扱えるとしたら

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42「辻と、一日だけ・・・2」
>>36の続き)

しばらく経って、辻との1日も「いい思い出」になりつつあったんだ。
鬱から立ち直って、普通に生活してたんだ・・・。

・・・辻がハロモニのコントで、「いったらっきまーす!」
って言いながら、サンドイッチ食べ始めたんだ!
またある日、辻がラジオのフリートークで、
「そうれすねえ、一日中海を見ながらボーッとしてるのが好きれすねえ。」
って喋ったんだ!
(辻、ちゃんと覚えてくれてるんだ!)
そう思った俺は嬉しくなって、夏紺のチケット漁りまくって、
最前列のド真中を取ったんだ。
それで、あの時と同じ格好して、あの時と同じバスケット持って、
コンサ行ったんだ。
「あの時の海、きれいだったね。」
ひとこと、辻に心の中でそう言いたかったんだ。言いたかっただけなんだ。

会場では何度も目が合った。何度もバスケットを振り回してみた。
・・・でも、辻の反応がないんだ。なにも答えてくれなかった。
俺、その場で画用紙にでっかく「海」って書いて、掲げたんだ。
・・・やっぱり、曖昧に笑ってるだけだった。
覚えてなかったんだ。忘れちゃってるんだ・・・。

コンサの帰り道の途中、手にしてるバスケット見ながら考えた。
本当は、辻と一緒に海なんて、見てなかったのかな?
俺、夢でも見てたのかな・・・?
でも、辻と一緒に見たあの海の美しさは、はっきり覚えてる。
バスケット見てたら、砂浜で辻がおいしそうにサンドイッチ
食べてる顔が浮かんできた。

やっぱり、俺は泣いてた。

(終)