モーニングクエスト�U

気がつくと、マコトは自分が住んでいた部屋の前に立っていた。
おそるおそるドアをあける―――
そこは１年前と変わっていない・・・まるで時間が止まっていたかのように。
――ただ一つ、笑顔で迎えてくれるアイの姿が無いこと以外は。
マコトはリビングへ向かった。
ソファもテーブルも１年前のままだった。
そしてアイの使っていた鏡台・・・髪を梳かしながら笑顔で振り向くアイの姿を思い出す。
「・・・うっ！！」鏡の前で頭を押さえるマコト。
マコトの脳裏にあの忌まわしい記憶が蘇える・・・
「・・・アイ・・・。」
マコトは鏡に向かい、何かに取り憑かれたように自分の顔にメイクを施す。
割れた窓には先程のカラスがとまり、その様子をじっと見つめていた。
再び鏡を見るマコト・・・その顔はまるで復讐を心に誓った悪魔のように恐ろしく、
それでいてどこか悲しげだった。
握っていた指輪にチェーンを通し首にかけると、黒のコートを羽織る。
窓にとまっていたカラスが飛び立つ。
それを追うかのように、全身黒尽くめのマコトはそのまま夜の闇に消えていった。