モーニングクエスト�U

・・・たっく最近の若いもんは・・・かっこだけいっちょまえで・・・
一人で愚痴をこぼしながら、その愚痴をツマミに手酌酒


「西の門がやられた！このままでは町の中にモンスターが入ってくる
戦闘経験がある人は手伝ってくれ」

自衛団員が店内に走り込んで助けを求める

（酒飲みよる場合ちゃうやん・・・）
ナカザワも何とか手伝おうと考えるが、今は武器・防具共に装備の用意がない

「ね〜ヘイケさん、やっぱり私たちも行ったほうがよさそうじゃないですか？」

「せやな・・・このままやったら落ち着いて寝られへんし」
「ミキちゃん、宿にいって装備品取ってきてくれるか
うちとアヤちゃん先にいっとくから」
「は〜い」

踊り子らしき少女二人と、占い師らしき人の三人組が立ち上がった

「あっ、ちょっと待って
装備品余って無いかな・・・今何も持ってないんよ」

ヘイケと呼ばれた人物に話しかける

突然の事にとまどったヘイケだが「そらええけど、何が使えるの？」
とりあえず聞き返す

「ちょっとヘイケさん、あの人めちゃめちゃ酒飲んでますよ大丈夫ですかね」
「そ〜ですよ、怪我でもされたら大変ですよ」
踊り子風の少女がヘイケに小声で耳打ちをするように言うが
「うるさい！！そこ」
地獄耳ナカザワに指を指され、一喝されてしゅんとなる


「・・・・ま・・あの・・人数多い方が心強いやんか・・・・・」
ナカザワのあまりの眼差しにヘイケは顔をひきつらしながら
この場をなごますようにいった

この町にある自衛団の歴史は古く、モンスターに支配されていた時代にも
この町を守りつづけてきた
しかし１０年前魔王が倒れてからは、モンスターが出没しなくなり
今所属している自衛団のほとんどが、モンスターとの対戦を経験した事が無い
また、王国には軍隊はあるのだが、最近出没しはじめたモンスター討伐に出ている為
城の警備は手薄だった
この城下町をモンスターに占拠されるということは、王国にとって最悪の事態となる


「な・・なに・・それ、めっちゃすご！！」
思わずナカザワは、声を口にだした

ヘイケがタロットを引くと、そのカードから『メラ』『ヒャド』『ギラ』『イオ』などと
同等以上の魔力が吹き荒れる
また、マツウラが扇子を一振りすれば、『バギ』といったカマイタチにもにた力が
モンスターを切り刻む
フジモトは杖の頭部の赤い宝石から降りそそぐ光を使って
傷ついた兵士たちを回復さしている

ヘイケ　ミチヨ　　占い師
武器　　　銀のタロット
防具　　　紫のローブ

マツウラ　アヤ　　踊り子
武器　　　大羽の扇子
防具　　　踊り子の服

フジモト　ミキ　　踊り子
武器　　　癒しの杖
防具　　　ピンクのボディコン

ヘイケたちは、世界中を旅して回っていると言う
世の中は平和になったが、山奥・洞窟の中には
まだモンスターが出るらしい
旅の中幾度もなくモンスターとの対戦を経験してきた

また、世界にはいろんな武器・防具・アイテムがあり
それらを集めてまわるのも旅の目的の一つである

ヘイケが言うには、この地のモンスターはまだまだレベルが低いし
武器・防具も全然初歩的な物ばかりだそうだ

ナカザワはヘイケから『封魔のつけ爪』を借りていた
その力は、直接単体に攻撃してくる魔法を受け止めることが出来る
また、その爪による攻撃も有効で、それなりの攻撃力をひめている
その攻撃力の高さは、雑魚モンスターも一撃で倒す事ができ
自分は武闘の達人ではないかと錯覚するほどの力があった

しかし自衛団の戦闘レベルは低く、この町の西、東、南にある門を守る為
ヘイケ、ナカザワ、マツウラの三人はバラバラになって戦い
フジモトは、怪我人を回復するために走り回っていた
その為攻撃力が低下し防戦一方になってしまう

敵も攻めきれず、硬直状態が１０日ほど過ぎていった

「なーみっちゃん、何時になったら終るんやろか・・・うちな、ちょっと
お茶買いに来ただけやでほんまにそれにヤグチ待たしたままやし
心配しとるやろな・・・」
「そ〜ですよ、マツウラは疲れました」
「せやかて、敵の大将を倒さん事には終わらへんで」
「敵の大将ってどこにおんねんったく」

夜、ナカザワ達は休憩中酒を飲みながら愚痴をこぼしていた
何時になったら終るのか、このまま永遠に終らないのではないか
そんな事ばかり考えてしまう

しかしナカザワには、心配で気がかりな事があった

「なあみっちゃん、旅って楽しいか」
「どないしたん、ねーさん」
「いやな、平和な時代になって、平和にのんびり暮らせたらええなって
思てたんやけど、今回みたいな事があって、もしみっちゃん達がおらへんかったら
ここで死んでたかもしれへんなーって思って｣
｢なに言うてん・・・ねーさんはそない簡単に死ねへんって｣

｢せやけどな、うちが面倒見てきた子でヤグチって子がおってな
その子の両親モンスターに殺されてしもてな・・・・
もし今回の事でうちが死んでたらって思うと、また悲しませる事に
なるやんか｣
｢守りたい者を守るには、それなりの『力』がいる。でも今のうちには
その力が無い・・・・うちも旅したら、みっちゃん達みたいになれるんかなって思って｣