モーニングクエスト�U

「・・・・・ヤグチさんもモンスターに両親を殺されちゃったんだ。カオリもね、
両親モンスターに殺されちゃってさ・・・それでねもうあんなに悲しい事
絶対に誰にもさせないって思って、１０年間剣の修行して、がんばったん
だけどなー・・・・ぜんぜんだめだったよ」
「でもあのユウちゃんって人、あんなに強いんだから心配する事ないっしょ
それにカオリもがんばったじゃない、そんなにおちこまないでさ、
ナッチと一緒に修行の旅つずけるべさ、きっとユウちゃんって人も
相当修行積んだんだよ、ね、ヤグチさん」
「ヤグチでいいよ、でもユウちゃんがあんなに強いなんて
知らなかったよ、修行してるの見た事ないし、聞いたこともないよ」
「そらおったまげたなー」
そういって大げさにびっくりした仕草を取るナッチの横で
「あっ」っとイイダが叫んだ

睨め合いが続くなか、先にイシイが動いた
（このままではらちがいかない）そう思ったイシイの視線に
鬼面導師が持っていた杖がはいった
ナカザワに気付かれないように注意しながらゆっくりと
回り込むように歩を進める
そして、残り３ｍぐらいになった時、飛びつくように杖をひろった

「フフフ、この杖はいかずちの杖といって特殊な力が有るのですよ」
そういって杖を構えるイシイをじっと睨んだままナカザワは
微動だにしない
（うわーなんか凄そうな杖やな、やばいんちゃうんかな
でもここから逃げられるわけないしな・・・・
うちもここで死ぬんかな、いややなそんなん・・・）
実はめちゃびびっていた

「いきます！」そういってイシイが杖を振り上げようとした時
ドドドッという激しい地響きが聞こえてきた

（クッ王国騎兵隊の登場ですか・・・）
このまま続けていては不利になる
そう判断したイシイは、振り上げ掛けた杖を下ろし
「ナカザワさん、今日の所はこれで帰らせてもらいます
なかなか楽しい一時でした。またいずれお会いしましょう」
そう言った瞬間黒い光がイシイを包み込んだ
ピカッっと辺り一面に光りが広がった後には、イシイの姿がなかった

ナカザワはそのままイシイが立っていた所をじっと睨んだまま
動かないでいた
「ユウちゃーん！！」そんなナカザワの背中に手を振りながら走って来た
ヤグチが飛びついた
石のように固く硬直したナカザワは、まだイシイの居た所をじっと睨んだままだった
「ユウちゃん、ねーユウちゃんってばー・・・・・・」
ヤグチの問いかけにも全く反応が無いナカザワ
「こらーユウコ！！！」
耳元でヤグチがそう叫ぶと
へなへなへな〜と膝からナカザワが崩れ落ちた