モーニングクエスト�U

「そ・・・んな・・・・・・・む、無傷・・・・・・・・・！？」

不敵に笑うイシイはまったくの無傷、
それどころか、服にも乱れすらない・・・・・・

「もう少しできると思っていたのですが・・・・・残念です、
で、もう少しやってみますか？」

腕を組みながらイシイはナツミに話かける、
だがその言葉はナツミには届いていなかった・・・・・・・
すでにナツミは戦意喪失していた。

「ふぅ、もう終わりですか・・・・・・・・
じゃあ、そろそろこっちから行かせてもらいますね？」

イシイの表情が変わる・・・・・さきほどまでの笑顔は無い・・・・恐ろしく冷酷な目・・・・・・・
イシイは冷ややかな表情で指を『パチン』と鳴らす、するとイイダの体の自由が戻った。

「さて、いきますよ？」

「はぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・！！」

イシイは『気』を溜め始めた、
大気が震えている・・・・・・
ピリピリと肌が痛い、
だが、ナツミ、イイダにそんなことを考えている余裕は既に無い・・・・
イシイの圧倒的プレッシャーによって恐怖しか感じられなくなっていた。

「行きます・・・・・これが超魔将軍、イシイリカの力です！！」

両手を広げるイシイ・・・・・・それと同時に辺りに転がっている
岩がフワリと宙に浮く、
サイキッカーイシイの念動力だ。

「さぁ・・・・素敵なワルツを踊って見せてくださいな！！」

そうイシイが言い放つと宙に浮かぶ全ての岩がイイダとナツミ目掛けて
目にも止まらぬ速さで飛んでいった・・・・・・・・

（く、来る！？）

恐怖により立ち尽くしていたイイダだったが、
さすがにこれには反応する、
動けないアベをかばいながら迫り来る岩を斬り落としている
イイダの脳裏に一つの言葉が浮かぶ。

（――――――――ここは逃げるしかない―――――――――）

このまま戦っても確実に全滅してしまうとイイダは思った。
だが、次々と迫り来る岩を斬り落としながらではロクな考えが浮かばない・・・・
むしろ考えごとなどしている場合ではない・・・・
イイダに襲い掛かる岩の波はイイダのスタミナを確実に奪っていく・・・・
もう岩を斬り落とすことでいっぱいいっぱいだ。
その時、一瞬ナツミへの注意がそれた。
そこに待ってましたと言わんばかりに岩がナツミ目掛けて飛んで行く・・・・・・

（ヤ、ヤバッ！！）

そう思ったイイダはすぐさまナツミに向かっている岩を切り落とす。
だがそれが命取りだった、完全にナツミへと注意が向いてしまったイイダに
次々と岩がＨＩＴする・・・・・・
その姿はまるで本当にワルツを踊っているようだった・・・・・・・

「！！！！！！！！！！」

声もなくイイダは倒れた・・・・・大量の血を吐きながら・・・・・・
すでにイイダは虫の息、かろうじて生きている。
そんな感じだった・・・・・・

「ああああ！！カオリィィィィィィ！！！！」

そんなイイダの姿を見てナツミは絶叫する・・・・・
悲しみの声が辺りに響き渡った・・・・・

「まずは一人・・・・・・次はあなたですね」

右手を開いて前に突き出し、またもや『気』を溜め始めるイシイ。
おそらく念動力で作り出されたであろうと思える光の玉がイシイの手の平の中で大きくなっていく、
その大きさはバスケットボールくらい。

「さあ！！安らかに死になさい！！サイコ・ボール！！」

イシイの放ったサイコ・ボールは一直線にナツミへと向かっていく・・・・
ナツミはどうすることも出来ない・・・ただ死を待つのみであった・・・・・・