モーニングクエスト�U

イイダは全力でイシイに向かって走る、だがイシイは依然動くそぶりを見せない。

「くらえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！！」

イイダは飛び上がり、全力で剣を振り下ろす。

（取った！！）
イイダはこれで完璧に仕留めたと思った・・・・・・だが、

「ふう、この程度ですか？まったく、失望させないでくださいよ。
もっと私を楽しませてくださいな、フフフ・・・・・・」

「なっ！？」

勢いよく振り下ろされた剣であったが、その剣はイシイにとめられてしまったのだ、
しかも、ガードなどはしていない、右手の人差し指と中指、
たった２本の指でイイダの剣はとめられてしまったのだ。

「くっ、くっそう！！」
いくら力をいれてもビクともしない、それどころか剣も抜けないのだ。
――――――――完全なる力不足――――――――
イイダの脳裏に絶望の二文字が浮かんだ。

「フフフ・・・・大丈夫ですよ、すぐには殺しません・・・・・・・・・
ゆっくりとジワジワ苦しみながら死んでもらいますから、
しばらくそこでゆっくりしていてくださいな。」
「え・・・・・・・・・・・・？」

イシイは手の平をイイダの額に置くと、イイダの体はまったく動かなくなってしまった。

「！？なっ、か・・・・体が・・・・・・・！！」
「フフフ・・・・これこそ秘技、金縛りです・・・・・」
「か・・・・な・・・し・・・・・ば・・・・り・・・・・・・・だと・・・・・・！？」
イイダは体を動かそうとする、だがまったく動かない、
無理に体を動かそうとすると、体が壊れてしまう、そんな感じだった。

「あなたの実力はわかりました、まったくもって期待外れです・・・・・・・・・」
ふうっとため息をつきながらイイダの額から手を離すイシイの目線は
少しずつナツミに向けられていく・・・
「さて、あなたなら少しくらいは私を楽しませてくれますよねぇ？」
「！！」

イシイのこれまでとは違う殺気の満ちた目ににらまれ、
ナツミは恐怖に顔がゆがむ。

「さあ！早くかかってきてください、私を楽しませてください！！さあ！さあ！さああ！！」

さらにイシイのプレッシャーは強くなっていく・・・・・・・
まるで心臓を強く握られているかのようだ・・・・・
だが、ナツミはついに腹をくくった。

「・・・・・･って・・・・・・・・・・・ろう・・・・・・いの・・・・・・・」
「え？何です？」
「やってやろうじゃないの！！たとえ無駄だとわかっていても！！」
ナツミは腰にささっていたロッドを引き抜き構える、

「フフフ・・・・いいですねぇ・・・・さあ、来てください！！」
「わぁぁぁぁぁぁぁぁ！！べギラマァ！！」
ロッドから炎がほとばしる、そして、その炎はイシイを包み込んでいく・・・・・・
「まだまだぁ！！イオラァ！！ヒャドォ！！イオラァ！！」
休むことなくナツミは呪文を放つ、何発も何発も・・・・・・・・
しばらくすると、呪文が使えなくなった、魔法力が尽きたのだ。

「はぁ・・・はぁ・・・・・や・・・・・・やったの・・・・・・・？」
イシイのいた場所は砂煙がまきおこっていた・・・・・・
あれだけの呪文を受ければいくら超魔将軍といえども姿形すら残っていないはず・・・・・・・
ナツミは勝利を確信する、、だが！！砂煙の中にはうっすらと人影が見えた・・・・・
「！？・・・・・なっ！？」
ゆっくりと砂煙が消えていき、イシイが姿を現した

「フフフ、なかなかいい攻撃でした・・・・・ですがもうすこし強力な呪文を覚えといた
方がいいみたいですね、フフフ・・・・その程度じゃあ、私は倒せませんよ？」