モーニングクエスト�U

ヤグチは、目がかすれていながらも、宙に舞う一人の女性をハッキリと確認した。
そして、「スタッ」とその女性はヤグチの前に着地した。

「な、何者じゃ！！お前は！！」
鬼面導師の言葉に女性は振り向き、
「モンスターに教える名前なんて無いよ。」
と小馬鹿にしたように答える。

その女性はスラリとした長身で、綺麗な後ろ髪がサラサラと流れていた。
するとその女性はヤグチの方を向き、
「お嬢ちゃん、よく頑張ったね、後は私達に任せな。」
としゃがんでヤグチの頭を撫でた。

「じゃあ、ナッチ、この子頼むね。」
女性が立ち上がりそう言い放つと、どこからともなく、
どこか幼さの残る顔の可愛らしい女性がヤグチの前に姿を現した。

「ほいほい、わかったべさ、じゃあこの子治したらそっち手伝うから、それまで任せたわよ。」
と髪の長い女性に話しかける、
「うん、わかったよ。」
そう言うと長い髪の女性は、腕を斬られ、転倒したているゴーレムのもとへ向かって行った。
「ふう、じゃあ治してあげるね、どこが痛いの？」
「ナッチ」と呼ばれる女性はヤグチに優しく話し掛ける。

「・・・・・・アバラ骨・・・・・です・・・・・・」
もはやヤグチは喋るのさえ苦しい状態であった。
「そっか、アバラかぁ・・・・・・・」

そう言うなり「ナッチ」と呼ばれる女性はヤグチのアバラにそっと手をふれる。
すると、その手が優しく光りだした。

「ああ・・・・・・・気持ちいい・・・・・・・・」
ヤグチの体の痛みは徐々に取れ始め、しばらくすると体に痛いところなど無くなっていた。

「す、凄い・・・・・・これ、いったいなんなんですか？」
すっかり傷の癒えたヤグチが「ナッチ」と呼ばれる女性に質問をする。
「これはね、「ホイミ」っていって、回復系の呪文なの、で、私が持ってる唯一の回復呪文なわけ。」

「呪文・・・・・・・・・・・？」
ヤグチは不思議そうな顔をして「ナッチ」と呼ばれる女性の顔を見る。
「そ、呪文、で私は魔法使いなわけ。」
「ナッチ」と呼ばれる女性はニッコリと笑いながらヤグチの質問に答える。