モーニングクエスト�U

「―――はい、というわけでね、こんな私イイダですけども、よろしくおねがいします。」
イイダが話し終わり、皆が一応の拍手をする。
そんな中ボーっと空を見ていたノノが、空を指差して叫んだ。
「あ！あれ何だろ！？」
その声を聞き、周りにいたアイたちも空を見上げる。
ちょうど太陽の横、同じくらいの大きさの黒いものがあった。
「・・・隕石か？」
それは次第に大きくなってくる。
「おい・・・近付いてきてるぞ！！」
マコトがそう言った時には、周りはパニックに陥っていた。
「キャアアアアアアア！！！」「にげろぉぉぉぉぉぉぉ!!」「今度こそ死んじゃうぞこれ！！」
蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う生徒たちの上に、それは容赦なく落下していく。
「つ、つぶれるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・！！！！！」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・ん？」
恐る恐る顔を上げるアイやマコト・・・。
「・・・つぶれて・・・ない・・・」
辺りを見回すと、地に伏せる生徒たちの中でイイダだけ普通に立っている。
落ちてきた”何か”は、その頭上で止まっていた。
「イイダ先輩・・・？」
そう呟いた次の瞬間、アイは見てしまった・・・
イイダ先輩の背中のチャックを・・・そしてそこから覗く小さな顔が「ハハハハハ！」と
笑うのを――。
そしてアイは気を失った。

どれくらい気を失っていたのだろう・・・アイが目を覚ますとそこは薄暗い教室だった。
他の皆はまだ眠っているようだ。
隣にはマコト、前にはアサミ、後ろにはノノが眠っていた。
「・・・あれ？」
アイが何が起きているのか理解できないでいると、廊下から足音が聞こえてきた。
その足音が教室の戸の前で止まり、ガチャッと鍵の開く音がした。
「何・・・何なの？」
ガララッと戸が開き、数人の男が入ってくる。先頭にいるのは教務主任のワダ先生だ。
周りではクラスメイト達が起きはじめていた。
ワダ先生は教壇に立つと、明るい声でこう言った。

「え〜今日はみんなに、ちょっと殺し合いをしてもらいます。」



＜解説しよう。実は第１話の５1行目くらいから教室で目を覚ますまで、ずっとアイの夢だったのだ！


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―完―