もう24時間テレビの季節なわけだが

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61ルー
目をつぶって体を丸めて待っていたが、なにも起きる気配がない。変わりに女の声が聞こえた。
「うわっ!や、やめろ!目が、目が!」女の悲鳴に石川が驚いて目を開けると、女が懐中電灯の光を受けて苦しがっていた。後ろを見ると紺野が懐中電灯を持って立っている。
長い間暗い洞窟で暮らしてきた女の目には、懐中電灯の光でも強烈だったらしい。まるで、目に矢が刺さったように苦しんでいる。石川を取り囲んでいた家来たちも同じように目をつぶってもがいている。
「こ、紺野!」
「石川先輩、そいつをやっつけて!」紺野が叫んだ。それを聞いて振り返った。
まだ苦しそうにもがいている。殺したくはなかったが、念じるだけで記憶喪失を起こさせるのだから、命以外の物を奪っても仕方がない。抵抗する女の髪をもって、壁に思い切り叩きつけた。
女は意識を失って倒れたが、それだけで死ぬとは思えなかったので、下に転がっていた一抱えもある大きな石を持ち上げて、女の上に落とした。いやな音がした。
石川が女と戦っているうちに、矢口と吉澤もたどりついていて、3人で、暴れまわる家来の男達を、服などで縛り上げた。
62ルー:02/07/04 21:18 ID:N2LNCOyp
その後、紺野が奴隷の男達がすむ所へ行き、今までの事を説明した。すぐさま男達は女の家来達を襲い、全員縛り上げた。数では圧倒的に多かったので、それは簡単なことだった。
そして、ある部屋のすみで、飯田と高橋は見つかった。後ろ手に縛られ、猿轡をかまされていた。
「圭織、高橋――!」矢口は涙を浮かべながら2人に飛びついた。石川も紺野も、泣きながら抱きついた。吉澤はいなかったが。
猿轡をはずすと、2人は大声で泣き始めた。
「矢口〜、怖かったよぉ・・・。」
「あさ美ちゃん・・・。」互いに抱き合い、喋ることもできずに、5人そろって、泣いた。
涙はいつまでも枯れずに、地面に濡れた跡を作っていく。しばらくは、泣きじゃくる音と鼻をすする音が部屋に響いていた。