もう24時間テレビの季節なわけだが

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53ルー
「・・・。」矢口は目を覚まし、暗闇の中でほかの3人を確認しようとした。そして気付いた。。
「吉澤?吉澤、どこ!?どこにいるの!?」矢口が大きな声で言ったので、石川も紺野も起きた。
「ちょっと、梨華ちゃん、紺野。ヨッシーがいないよ。どこいったんだろ・・・。」
「え・・・、ひとみちゃんが・・・。」石川がそこまで言った時、向こうから足音が聞こえてきた。
しかもかなり急いでいるらしく、どんどん近づいてくる。そしてついに矢口達のいる部屋に入ってきた。
「!!」それは紛れもなく吉澤だった。吉澤はその部屋で走るのをやめ、ひざに手をついて肩で息をしている。まだ3人に気づいていないようだった。
「ちょっとヨッシー、どこいってたのよ!心配したじゃんか。」矢口は瞳を揺らして言った。
「あの・・・。私のこと知ってるんですか?」吉澤が間の抜けた声でつぶやいた。
「ひ、ひとみちゃん、どうしたの?冗談はやめて。」石川は震えた声で言った。
「すいません。わたし、なんか今までの記憶がなくて、どうしてこんな所にいるのかわかんないんです。自分の名前も思い出せなくて・・・。」
「あ・・・。」石川は足元の地面が抜け落ちて、どこまでも落ちていくような感覚を覚えた。真っ暗な異次元の空間を漂っているような気がした。
54ルー:02/07/02 22:38 ID:1Ktd2ws5
――  一人の頭の中を完全に真っ白にしてしまうんだ・・・  ――
矢口も紺野も、何も言うことができずに固まってしまった。そんな3人を吉澤はきょとんとした顔で見ている。
「あの・・・」吉澤は何か言おうとしたが、石川がそれをさえぎった。
「ひとみちゃん、あたし、梨華だよ、石川梨華!!ねえ、覚えてるでしょ!?」
「・・・ごめん・・・わからない。」
「そんな・・・。」
「気が付いたらへんなとこにいて、7、8人くらいで襲いかかってきたからここまで逃げてきたんだ。その前のことはまったく覚えてない・・・。」
「ち、ちくしよ〜・・・。」石川はつぶやいて、走り出した。
「石川さん、まってくださいよ!」
「こないで紺野!わたしがひとみちゃんの敵を討つ!」
走り出した石川を紺野が追いかける。矢口と吉澤も遅れて後を追った。
紺野は運動神経には自信があり、走るのも速いほうだったが、そのときの石川には勝てなかった。どんどん差が開いていった。ついには、紺野は石川を見失ってしまった。