もう24時間テレビの季節なわけだが

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127ルー

私はいつもあさ美ちゃんと待ち合わせしているあの草原にきていた。

たどり着くなり倒れこんで、草に顔をうずめた。
懐かしい草のにおいがした。

しばらくして顔を上げると、もう辺りは薄暗い。
空には星がいくつか輝いているものの、まだ西の空は紅くて、
綺麗なグラデーションを作っていた。

私は仰向けになって、
その空を眺めながらここであさ美ちゃんと話したいろんな事を思い出した。
意外といろんな星の名前知ってたな、あさ美ちゃん。

こうしてみると、あさ美ちゃんとの思いでは
私の人生の多くの部分を占めていることがわかった。
128ルー:02/07/21 22:41 ID:tc2xUchF
ふと、おなかが食事を求めて声を上げた。
私は恥ずかしくて誰も見ていないと知りつつ辺りを見渡した。
とっさだったのでそれがなんであるか理解するのに10秒はかかった。

警官だ。

明らかに私を探しに来ている。
加護亜依達がここに私がいるかもしれないと言ったのだろう。
林の入り口あたり、100メートルほど離れたあたりで懐中電灯2つ動かしている。

このままここにいたら確実に見つかる。
けれどいくら走った所で隠れる場所なんかどこにもない。

いや、一箇所だけ、5メートルほど先に大きな木がポツリと生えている。
悩んでる時間はない。警官が今も近づいてきている。
とっさに私はその木に走った。
129ルー:02/07/21 22:41 ID:NtqSyKuk
もうすっかり日も落ちて、真っ暗になった草原に懐中電灯の光が走る。
それを私は胸を押さえ息を殺して見ていた。

しばらく光があちこちを照らした後、この木の幹に光が集まった。
二人は二言三言、言葉を交わしてからこちらへやって来た。
少しずつ足音が大きくなって行く。

ついに警官二人は木の前に来た。
心臓が耳の横に来たようにすごい音で脈打っている。

「おい、そこにいるのはわかってるんだ!出て来い。」
一人がどうしようもないくらい大きな声で言った。私は唇を噛んで恐ろしさを耐えた。

「出てこないならこっちから行くぞ。」
そう言って警官は木の裏側にまわった。