1 :
あう使い:
2 :
2:02/05/27 19:05 ID:a1/25ImX
2
3 :
:02/05/27 19:06 ID:jdViLMf1
いまさらどしたの?
4 :
:02/05/27 19:15 ID:LxpDhvIJ
4だといいな
---------------------終了-----------------------
ヽ^∀^ノ<で?
7 :
E-コマース:02/05/28 18:36 ID:14EqQ27H
俺、会社やめてネット通販はじめたんだけど一日2件も
注文こなくて、運賃もでねえ。ネットどころか電気止められ
ちまって電話も出来ねえ。秋葉原のジャンク物のパーツの
せいで端末までおかし.***<<Oa++++,w,,3+++s ̄
ona++ni????+++demo!!!shite+++neyo.
test
10 :
:02/05/30 23:57 ID:ImNslq8W
誰かここで市井主人公の小説頼みます。(かっこいい市井を・・・)
come
13 :
名無し募集中。。。:02/06/02 18:25 ID:nf/2sMX8
yoissho.
14 :
名無し募集中。。。:02/06/02 18:44 ID:dIAHwLct
くだらんことで俺の立てたスレを荒らしやがって・・
うんこみてぇな奴らだな(爆
あ、言っとくけど俺の友人は5本の指に入るほどのハッカーでね。
掲示板の書き込みからそいつの個人情報をいくらでも引き出せるほどの実力者なんだよ。
ちなみに政府公認。友人は荒らしが嫌いでね〜、見つけ次第即解析にはいるようだよ・・フフフ
今ごろ謝っても無駄無駄♪
もうとっくに解析はじめてるから10分後くらいにはオマエらの個人情報が俺の手のひらさ!アハハ
裁判起こしても無駄だよ・・なんたって君達は 荒 ら し 立派な犯罪だからね〜♪
あ〜〜愉快愉快♪
15 :
:02/06/02 18:49 ID:cktzbtqn
16 :
:02/06/02 19:01 ID:TYWeZQbW
17 :
名無し募集中。。。:02/06/02 21:14 ID:DMCvGa3X
快活だなぁ
18 :
愛しい恋人:02/06/02 21:21 ID:jPr4Altv
きしょいんだよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよ
よよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよ
よよよよよよよよよん?ていやていやていやていや。。。よよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよ
終わりじゃあおよすみ。ていや君。よよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよ
よよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよ
19 :
にんじん:02/06/02 21:23 ID:lFY0UzMK
あのさ愛しい恋人さんってキモイね。
20 :
ちゃむヲタ:02/06/02 21:37 ID:A8wCCUm1
BSで今のプッチメンバーによる、ちょこラを見た。
吉澤、ダンスの方はかなり良くなってる。
しかし、声が全く出ていない。
この曲を完璧にこなせれば、吉澤はホンモノになると思う。ガンバレ!
21 :
:02/06/02 22:15 ID:93JLYNb/
22 :
20:02/06/02 22:55 ID:KoJ5ip+X
この前。べべ恋とのメドレーのヤツ。
23 :
名無し募集中。。。:02/06/02 23:45 ID:LvwTMEgq
プッチ2のちょこラと、市井ソロのちょこラ、あなたが許せるのはDOCCHI!
24 :
コンサドーレードサンコ:02/06/02 23:52 ID:lEZfm0AA
>>14 IPなんて抜けないよ。
それにPVなんて分かっても意味ね〜じゃん。
住所や電話番号まで特定はできないよ。
ば〜か。
そんなことより。ほれっ。
加護ちゃんの活躍を祝ってあげなさい。
加護ちゃん CMで歌う妖精(スポニチ)
モーニング娘。を起用したカラオケシステム「e―karaN(イーカラエヌ)」(タカラ)のCMが6月下旬から放送される。
今回の主役は加護亜依(14)。
妖精に扮した加護ちゃんが、魔女にカエルにされてしまったメンバーを美しい歌声で救うという内容。
「e―karaN」を手にヒット曲「そうだ!We are Alive」を歌うと魔法が解ける。
加護ちゃんの熱唱とかわいい妖精姿に注目。
.
26 :
名無し募集中。。。:02/06/15 17:59 ID:+0Fdnqs/
>>23 プッチ2のちょこら。
ちゃんと2001バージョンとして存在している訳だし、
市井はもはやプッチではない。
Name CRC Bytes
---------------- ---- ----------
4mix.mpg 18F1 50,382,848
rikaishite_1.mpg F8FA 30,652,420
rikaishite_2.mpg D19E 32,321,540
rikaishite_3.mpg D390 33,445,892
--------------------------------
Total 4 Files 146,802,700 Bytes
ふ/kannsya01/rikaishite_1.mpg
ふ/kannsya01/4mix.mpg
>>28 >>29 デリ
せっかくあげてくれるのはいいけど、晒すのが遅くない?
>>28-29 あっちでやってもいいと思うんだけど…。
うp止めなかっただけでもありがとう。
>>30 今日は鬼鯖管だから…。
ふ/kangeki01/rikaishite_2.mpg
page.freett.com/preparado/rikaishite_4.mpg
/rikaishite_5.mpg
参加してみるでござる。
rikaishite_1.mpg,4mix.mpgキボーン!
ふ/kangeki01/4mix.mpg
>>34 もらいますた。
ありがd
36 :
!:02/06/25 01:38 ID:CY2jecZT
ちょちょちょっと
今日デリはやすぎ〜〜〜(T▽T)
まにあわんかったわ くそぅ
rikaishite_3.mpg
おながいすます
ふ/kannsya01/rikaishite_1.mpg
>>33 >>35 まだ生きてますよ。
39 :
?:02/06/25 01:54 ID:CY2jecZT
初心者でごめんなさい。
さいしょの『ふ』ってなんれすか?
たまには自分で調べてみるのもいいかも
41 :
??:02/06/25 01:57 ID:CY2jecZT
どこにいったらわかるのかすら
わかりません
あきらめましゅ
/kannsya01/ ←404
43 :
34:02/06/25 02:00 ID:fH9NF/A4
>>38 即デリ!?と思ったらkangeki01の方だね。ありがとういただけますた。
一応4,5のcrc
rikaishite_4.mpg 30F9718B 30,653,774
rikaishite_5.mpg 3E52C741 38,311,940
>>41 最初に今日デリ早すぎとかいってんじゃん(w
rikaishite_1.mpg
rikaishite_3.mpg
おねがいできないですか?
45 :
44:02/06/25 02:02 ID:MF7SP3Id
訂正
rikaishite_3.mpg
おねがいできないですか?
ふ/kangeki01/4mix.mpg
ふ/kangeki01/rikaishite_1.mpg
ふ/kangeki01/rikaishite_2.mpg
ふ/kangeki01/rikaishite_3.mpg
>>38 の垢名まちがってたのね、スマソ。
ちなみに、4mix.mpg は、
補完スレであがった 【OPV】 第4期MIX 大地の星 ver0.72.mpg です。
デリです
rikaishite_1.mpg
rikaishite_3.mpg
おねがいします・・
>>47 ファイル名変えてんじゃねーよ
ダウソしちまったじゃねーかヴォケが!!
マターリ、待っててくださいね。
>>49 そりゃまたご愁傷様。。。
ふ/ame01/rikaishite_3.mpg
ふ/ame01/rikaishite_1.mpg
ふ/ame01/rikaishite_2.mpg
ふ/ame01/4mix.mpg
今日はもう限界寝まふ。
この垢、朝までもつといいね。
なにはともあれ、
投票してくれて、ありがと ☆
投票なんてしてないからしてないから
>>55 垢もってくれて無事いただくことが出来ました
ありがとうございましたー
59 :
ブラドック:02/06/25 16:27 ID:yzH1rtco
ここで書いてもいいでスか?
ゴマ主人公っスけど市井中心っス。
古代日本の話なんスけど。
どうぞご自由に しがない糞スレですので
rikaishite_1〜3.mpg
補完してくれないでそか?
63 :
ブラドック:02/06/27 18:37 ID:aYSSLubY
別のスレで書き始めました。
スレ荒らしてすみません!
正直筆のすさびです。
65 :
ブラドック:02/06/27 19:06 ID:aYSSLubY
ブラドックさん、代わりに書いていいですか。
67 :
一:02/06/27 20:00 ID:BVIAwkI6
トリラ村はイルドハの西に位置する。イルドハはルプス大陸の
西に集まった小国郡の中の一つである。戦乱の世に、小国が
次々に大国に飲み込まれていく中、イルドハはかろうじて平和を
保っていた。トリラ村にも戦火は及んでおらず、今日も静かな
朝を迎えていた。
「ノゾミ、起きなさい! いつまで寝てるの」
「もうちょっと寝かせてよ。お母さん」
「もう、そうやって、いつまでも寝てると魔王に連れて行かれる
わよ」
『魔王!?』
「お、起きます」
「はいはい。ご飯できてるからちゃんと食べていくのよ」
「わかった」
大陸の中央に位置する小国チュンアンに怪物が現れていると
いう噂は瞬く間に大陸全土に伝わった。怪物には人の姿の者も
いて、人々は疑心暗鬼に陥り、怪物の首領がすでにチュンアン
国の国王になりかわっているという話もまことしやかにささやか
れた。怪物の首領の姿を見た者はいないようだったが、いつし
か恐怖の対象として人々はその存在を「魔王」と呼ぶようにな
っていた。
いきなりやっちゃった…
「トリラ村にも戦火は及んでおらず、村は今日も」に訂正。
はぁ・・・
ん? いつの間にか小説スレになったんか
「あーあ、また朝が来たか」
大きく息を吐いてから、ノゾミはようやくベッドから離れて、
食卓に向かった。彼女の家は石造りの平屋で、食卓の
ある部屋、両親の寝室、ノゾミの寝室の三部屋があった。
「遅刻してまた叱られるわよ」
母親のイルバが言った。
ノゾミは十五歳になったばかりで、魔法学校の生徒だった。
トリラ村にはその規模からすれば珍しい魔法学校という、
魔法を教える学校があり、近隣の村からもたくさんの生徒
が来ていた。魔法の力は特定の者にしか備わらない力
だったが、その割合は五十人に一人という程度で決して珍
しくはなかった。
もっとも、魔法学校の生徒たちは二歳から魔法学校に通
わされ二十歳まで学んで卒業するから、親の経済的な負
担が大きく、魔法使いになれる者の数は少なかった。しか
し、その分、卒業者たちの進路は引く手あまたで、親たちも
それを期待して苦労を顧みず子供たちを通わせるのだった。
また・・・
「寝室」→「部屋」
72 :
一:02/06/28 20:45 ID:rVw78UwT
「ノゾミちゃん、おはよう」
「あ、おはよう」
ノゾミはパンを口にくわえて、厚手のコート、そして魔法学校の
生徒である証の黒の頭巾をつけながら、村人の挨拶に応じた。
本来、この地方で黒い頭巾をつけるのは葬礼のときだけであるが、
魔法学校の生徒は例外であった。男子は金の髪飾り、女子は黒の
頭巾をつける。頭巾は顎紐から頭の中央に渡すようにする簡素な
ものであるが、布を折り曲げて三本の角のようにしているのでよ
く目立った。
しかし、それだけでは不恰好に感じるらしく、たいていの女子生徒
は襞の下に花を添えた。はじめこそ、禁止していたが、最近では
学校もそれを黙認していた。花は好みによって変わるが、無頓着
な者や、花のない時期は好きな花を模した布や飾りをつけた。
ただ、ノゾミはそうしたことにはまったく興味がなくて、彼女の頭巾は
黒いままだった。黒一色であるのは入学したばかりの者だけなので、
彼女はそれでいつも友達にからかわれている。
一方、服はイルドハの地方の民族衣装が認められていて、ノゾミの
服も多少華やかである。白いブラウスの上に着た紺色のジャンパー
スカートの中央に縦に太い白の帯が入り、その中に細かい赤い花の
刺繍がなされている。
「ちょっと、ノゾミ! ご飯食べてからいきなさいって」
イルバが扉に手をかけながら叫んだが、ノゾミはスカートのすそを
揺らしながら脱兎の如く走っていった。
73 :
一:02/06/30 19:55 ID:yGjfk7Hs
ノゾミが学校に着くと、クラスはほとんど揃っていて彼女をにや
にや笑いながら見ている。
「何よ」
腕を組みながら言うと、イドヤという彼女の友達が近づいてき
て「あれ見てよ」と黒板を指差した。黒板には「カライとノゾミは
校長室へ来るように」と担任の字で書かれていた。
「何? 何であたしがカライと校長室に行かなくちゃいけないの」
ノゾミは心の底からというふうに叫んだ。カライはイルドハの王
都アパラゴヤーナからの転入生であったが、クラスの者がただ
でさえ引け目を感じる中で、本人が無口であるので、いつしか
嫌われ者になっていた。
「それで、何でみんなしてあたしをそういうふうに見るわけ?」
「どうせ、二人で何かいたずらでもしたんだろう」
男子の一人が叫んだ。たしかにいたずらはした。昨日、実験
用の蛙に筋力を増す魔法をかけて、蛙がガラスを割って逃げ
てしまった。しかし、それは一人でしたことである。
「何であたしがカライなんかと」
ノゾミも彼のことは好きになれなかった。まだカライを気に
かけていたころ、校庭の隅で彼を見つけて、声をかけようとして
信じられない光景を目にした。カライの足元に様々な虫や動物
が集まっていた。生きているようだった。彼がそれに手をかざす
と、手のひらと生き物の間に青い光が走り、やがて生き物は動
かなくなった。
74 :
名無し募集中。。。:02/07/02 18:39 ID:nYdKRPDr
がんがれ!
agetちまった。ごめんな。
ありがとう
行き当たりばったりでのんびり行きます
FFとかドラクエといったRPGの世界観を予定してます。
辻、紺野、加護がメインかな
77 :
一:02/07/03 00:17 ID:u4DWL2E4
「今、何したの?」
ノゾミは思わず、カライに話し掛けた。
「みんなには黙っておいてね」
彼はそれだけ言って冷笑を浮かべた後、去っていった。
かみそりで切ったような目に光は宿らず、薄い唇には秘密
がひそんでいるようだった。
ノゾミが彼の立っていた場所へ行ってみると、死骸は
消えていた。
『何かを隠している』
このときから、ノゾミはカライに対する疑心をぬぐえず、ク
ラスの者の態度に同調するようになった。まやかしである
かもしれないが、青い光のことも謎である。魔法学校が
魔法を教えるといっても、虫や動物を殺すようなものは
少なく、教える時期も彼女のクラスではずっと後のこと
だった。また、手品の類は厳しく禁じられていて、それで
人をだますようなことが発覚すれば、退学になった。
後から後から・・・
「だますようなことが」→「だましたというようなことが」
「発覚すれば、退学になった」→「発覚すれば、ただちに退学になった」
81 :
一:02/07/04 00:38 ID:eryKWd2X
「それでカライは?」
「もう先に行ってるよ」
「そう。……はあ、どうしてこんなことに」
校長のプラムカは生徒たちに恐れられていた。六十を超え
たというが、脂ぎった赤ら顔はその性質が少しも和らいでい
ないことを示しているようだった。ノゾミも一度だけ話し掛けら
れたことがあるが、体が固まったようになったのを覚えている。
『何だろう。はあ、不安だわ。カライとなんて。嫌な予感がする
……』
彼女は肩を落として、廊下を歩いた。ひときわ大きな石を積
み上げた壁に天井に届くほどの壮麗なガラスがはめ込まれ
ている。そのガラスの向こうに中庭で下級生の体育の授業が
おこなわれているのが見えた。
この魔法学校は何でも百年程前にとある豪商が資金を提供し
て設立されたということである。現在どんな運営がおこなわれ
ているのかノゾミには知る由もないが、二百人に満たない生徒
の学費だけで成り立つとは思われないというのが村人の共通
した見方だった。毎年入学する二十人ほどの生徒は卒業の
二十歳になるまでに素質なしと判断されると容赦なく退学させ
られていく。ノゾミのクラスからもすでに二人が退学させられ
ていた。
>>80 続けられるかわからないですが
……お願いします
タイトルは
『ルプス戦記(仮)』
でお願いします
まただ…
「向こうに中庭で」→「向こうには中庭があり、」
84 :
一:02/07/04 23:42 ID:RyMetazD
校長室の扉の前に立つと彼女は一度深呼吸した。つい
数日前のテストで学校に残れることが決まったばかりだ
から退学ということはないと思うものの、形式ばったこと
の苦手な彼女である。そうした場所にいるだけでも息が
詰まる。深呼吸の後、扉の仰々しいレリーフを見て彼女
は小さな拳を握りしめた。
眉根を寄せた彼女のその横顔は鼻筋が通っていて美
しい。やや眠たげなまぶたの下に濁りのない目が穏や
かな光をたたえている。上唇は心持ち前に出ていて、目
や鼻、輪郭によって整った顔に愛嬌を添えていた。彼女
のおてんばな性格と比べると、驚くほどの美貌だった。
しかし、彼女を知る者はそうした彼女の美貌に見向きも
しなかった。それはおてんばにすぎるということもあった
が、笑った際に唇から覗く派手な八重歯のせいであるか
もしれなかった。笑顔には、それまでのすましたような美
しさが跡形もなく消えて、まるっきり子供の愛らしい表情
しか見られなかった。
85 :
一:02/07/05 00:04 ID:GhrOBnbm
「失礼します」
意を決して、彼女は扉をノックした。
「入りなさい」
扉が開き、彼女のクラスの担任のミッダが顔を見せ
た。
「ノゾミさん、いつもぎりぎりで来るのやめなさいって
言ってるでしょう!」
彼女は声を低めて言った。
「先生はもう行くけど、失礼のないようにね」
ノゾミは彼女の言葉の意味がわかりかねたが、彼女
はノゾミの肩を軽く叩くと、そそくさと校長室から出てい
った。
「失礼します」
ノゾミは覗き込むように首を伸ばしてから校長室に入
った。校長室に入るのは二度目であった。しかし、一度
目は入学の際に親が連れてきたときであるから記憶に
残っておらず、彼女にははじめてであるのと変わらなか
った。
校長室は廊下の窓に比べるとはるかに小さな窓が一
つあるばかりで薄暗かった。燭台が校長のいる机の上
と、その背後の隅、その対角の隅とに三本あって、わ
ずかに部屋を明るくしている。彩光を無視した部屋の様
子にまずノゾミは驚かされたが、蝋燭の図柄が赤色の
地の中央に小さく描かれた校旗と、二本の羊の角が裏表
にして重ねられた図柄が黄色の地に描かれたイルドハ
の王室の旗が飾られているだけで、ほかにいかなる装
飾もないというところにまた驚かされることとなった。
86 :
一:02/07/05 23:14 ID:Ge00pEiP
彼女は身をこわばらせ、部屋の中央に置かれた二脚の椅子の
うちの一脚が空いているのを見ながら、もじもじしていた。
「どうしたんだい、そこに座りなさい」
校長が口を開いた。しゃがれているが、重い声だった。
「はい」
ノゾミは右の肩を跳ね上がらせて我に帰った。二脚の椅子の一
方にはカライが座っていた。彼はノゾミが部屋に入ってきても、
振り返らずにじっと前を見ていた。ノゾミはちらりとカライを見てか
ら、憤然として椅子に座り正面の校長を見た。
そこで、彼女は部屋にもう二人の人間がいることに気づいた。校
長のすぐ横に副校長のシラ、そして校長の左側の、少し離れた場
所に見知らぬ男が立っていた。
男は年が四十から五十に見え、目元から放射状にしわが刻まれ
ており、その違和感たるやノゾミが何かの模様ではないかと思い目
を凝らしたほどである。口がきれいなへの字であるのに対して、目
尻に笑いじわがあるのが不気味に感じられる。その男の存在で、
校長室がいっそう息苦しくなるようだった。
87 :
一:02/07/07 00:05 ID:WL/luXMs
「君がノゾミ君だね」
カライと同じ、アパラゴヤーナのアクセントで男が言った。
「君のことは校長と、ミッダさんに伺ったよ。ずいぶんおてん
ばらしいね」
への字の口がなめらかに動くので彼女はその唇に思わず
見入った。だが、やさしそうな口ぶりは彼をさらに不気味に
感じさせた。
「でも、将来有望だという――」
「え、そんなことないですよ」
男の言葉に彼女は慌てて首を振った。魔法学校に入学す
るためには、生まれて間もない赤ん坊に行う「洗礼」の儀式
で魔力があると判定されなければならなかった。判定をする
のは神官である。神官は王都アパラゴヤーナの神学校を卒
業していなければならない、いわば国家資格で、その判定も
厳しいものだった。そして、魔力の程度というべきものは生ま
れつき決まっていて、ノゾミは中程度の魔力を持っているとさ
れていた。生徒たちは十八年間、儀式を学び、訓練をつんで
いく間に、その最大限の力を出せるようにするのである。
88 :
一:02/07/08 23:01 ID:/0HHbz+9
「あたし……いえ、わたしはまだ蛙の骨折も治せないんですよ!
イドヤなんか、三十数えている間に治せるのに、でも、あたし、
ミッダ先生のあの評価には納得行かないんです。骨を治すのは
たしかに苦手かもしれないけど、筋肉の魔法には自信があるん
です。三倍、いや、十倍は元気にするんですから」
「君だったのか! 蛙を逃がしたのは。あれだけ命は大切にしな
ければならないといったのに。授業用の蛙がどれほど大切なも
のかわかってるのかい。あの蛙がいなくなったことで、別の蛙を
用いることになるんだぞ」
副校長が小さく叫んだ。校長が言った。
「まあ、副校長。そのことは――」
「ごめんなさい。……でも、あたしの気持ちもわかってください、
副校長。筋肉を治す試験はなんでないのかしら。上級生が来年
度もないって言うし。あたし、筋肉には自信あるのに。試験に出
ないのに、なんで授業で教えるんですか。本当に不思議だわ。
まだあたしお母さんに試験結果を見せられないんです」
彼女は数日間悩みつづけてきたことだったので思わず大声を
出した。
「ノゾミ、もういい。静かにしなさい!」
91 :
一:02/07/11 00:06 ID:naEM9ZxB
副校長は禿頭に手を当てながら言った。彼は生徒から「ゴ
ボウ先生」というあだ名で呼ばれている。年中顔が土気色で、
頭が禿げ上がり、顔も体も極端に細いからだった。
「もういいってことは、蛙のことは許してくれるってことですか」
「蛙は蛙だ」
「そんな!」
彼女は立ち上がりそうになった。それを抑えるように副校長は
両手を下に向けながら前に出し、あわただしく揺らした。
「いいから……。話は後で聞いてあげるから」
ふと彼女が隣を見ると、カライが失笑というふうに笑っていた。
冷笑ではなかった。彼のそうした笑いを見るのははじめてだった。
彼女は自分が喜びそうになっているのに気づいて、大げさに彼を
睨みつけてからそのまま、校長を見た。それに応えるかのように
校長が話し出したので、彼女は目をそらしうつむいた。
「この方は、アパラゴヤーナからいらっしゃったニダーナ先生だ。
これから、ニダーナ先生のおっしゃるとおりにするように。大事な
ことだからな」
ノゾミは不安になってカライを見た。カライは鋭い目を彼女に向
けただけで表情を変えなかった。
「怖がらなくてもいい。簡単な実験をするだけだよ。これを見てご
らん」
92 :
一:02/07/11 00:10 ID:naEM9ZxB
ニダーナが取り出したのは指輪だった。不恰好に大きな水晶
玉がついている。
「これは魔力を測る玉なんだ。これを二人につけてほしい。それ
で終わりだよ」
「さあ、そういうことだから、二人ともいいね」
副校長が指輪に視線を向けたまま言った。
「はい」
カライが素直に答えたので、ノゾミは口を開けたまま彼を見た。
「ちょっと、カライ!」
「それじゃあ、ノゾミ君からつけてみようか」
「え、あたしからですか。カライ君からで……わ、わ、ちょっとまっ
てください」
指輪をつけるというだけのことであるが、この世には呪いという
ものもある。しかし、校長たちを突き飛ばすまでの勇気はなかっ
た。指輪がはめられた。部屋にいる五人の視線が彼女の指に集
まった。彼女自身には何の変化もない。が、やがて、水晶玉の中
心に砂粒ほどの大きさの真っ赤な光が現れた。
「何これ?」
93 :
一:02/07/13 13:03 ID:iTsXMkKJ
ノゾミはその美しさに見とれた。ところが、しばらくすると光はより大きく強くなり、
一瞬として目を開けていられないくらいのまぶしさになった。暗かった校長室の全
体が赤く照らし出された。ノゾミは悲鳴を上げていた。すると、ニダーナが彼女の
手を握り、そっと指輪を外した。
「す、すごい力だ。マリッペ様のおっしゃったとおりだ」
ニダーナが苦しそうにつぶやいた。ノゾミは椅子からずり落ちるような姿勢のまま
動かなかった。
「ニダーナ先生、これは」
校長は赤ら顔をさらに赤くしながら、ニダーナの顔を覗き込んだ。
「ええ、これは火の力です」
「火」
「火?」
副校長に続いて、ノゾミが繰り返した。
「つまり、ノゾミ君は火の属性だということです」
「火の属性……」
副校長は興奮のあまり人の言葉を繰り返すことしか出来なくなっているらしい。
しかし、副校長が言葉を発した後、校長もニダーナもカライの指を見つめていて会
話を止めてしまった。
ニダーナはもどかしそうにカライの指に指輪をはめた。カライの指輪からは青白
い光が放たれた。ノゾミよりは少し弱い光だった。
テスト運用中 1026703362
95 :
一:02/07/15 23:53 ID:8ZlF0fAQ
「これは?」
校長が言った。
「青白い光でしたね。水でしょうか。水は真っ青だと聞いてい
たんですが、思ったより淡い色でした」
ニダーナは首を傾げて言った。
「ノゾミが火、カライが水か。我が校から二人も現れるとは」
校長はいつもの威厳を忘れたように早口に言った。
「先生、どういうことですか」
ノゾミは自分が化け物にでもなったような気がした。だが、
教師達はノゾミの問いに答えなかった。
「こんなに、その、いるものなのですか」
「いえ、わたしも実際に指輪の光を見るのははじめてなんです。
しかし、光は魔力の大きさに比例して強くなるということですから、
二人の力はすばらしい。特にノゾミ君の方は放っておけば目をつ
むっていても失明するほどの強さになったんではないでしょうか」
「そうすると、ノゾミとカライは……」
「ええ」
ニダーナは口ごもった。そこで、黙り込んでいた副校長が何かを
思い出したように校長の肩を叩いた。すると、校長は
咳払いして、二人の生徒に言った。
「今、行なったことはひとまず二人の胸にとどめておいてくれないか。
どういうことか、すぐに二人に知らせるようにするから、今日はこれで
教室に戻ってもらうよ」
「いえ、校長先生、今日、例の実験をしてみたいのですが」
ニダーナが遠慮する様子もなく、校長に言った。
「……失われた呪文をですか? しかし、二人に説明してからでない
と。二人とも驚いているだろうし、落ち着いてからの方が」
「いえ、安全な呪文があるんです。それなら、怪我をすることはまずな
いです。マリッペ様がそうおっしゃっていました」
「そうですか。しかし、ここでというわけには行かないですよね」
「ええ、そうですね。どこか広い場所の方がいいですね」
96 :
:02/07/17 21:24 ID:9DCzVQKx
97 :
一:02/07/18 23:40 ID:S2QuvBKL
「ちょっと、待ってください、ニダーナ先生、校長先生。いったい、何なんですか、
今のは。それと失われた呪文って何ですか。――あたし、嫌です」
「ああ、すまないね、ノゾミ君、カライ君。驚かせてしまった」
ニダーナは指輪をいとおしそうに撫でてから、瑠璃色のローブの、襞に隠れた
ポケットに突っ込んだ。
「では、簡単に説明するよ。……今、魔法というと、人の病気を治したり、呪いを
かけたり、呪いを跳ね返したり、あるいは天候を予測したりするわけだけれど
――君たちが今学んでいる魔法だね。だが、それは魔法という力のほんのわず
かな部分を利用しているに過ぎないんだ。古代にはもっと直接的で、強力な魔
法があったんだよ。ところが、ある時期から人はその魔法を使う魔力を失って
……これは正確な表現ではないんだけど……、そのための呪文も使えなくなっ
たんだよ。それで何千年という時間を経て、その呪文を記した文書が失われて
いった。それで、そうした呪文を今、失われた呪文と言うんだよ。君たちの今学
ぶ魔法も、呪文を使うね。しかし、その呪文は復活した魔力とは別の系統の呪
文だ。――だから、失われた魔法と言ってもいい。それが、近年、その魔力が
人に戻ったことがわかったんだ。神学と魔法学は今、一緒になっているわけだ
けど、魔法学者たちはあらゆる文献を調べて、失われた呪文の発見、復元を始
めたんだ。二人はいずれ知ることになるから話してしまうけど……これは秘密
でね……。そして、魔法学者の頂点におられるのがマリッペ様で、この指輪を
作られたのもマリッペ様なんだ」
98 :
一:02/07/18 23:43 ID:S2QuvBKL
ノゾミはニダーナの言葉に真剣な表情でうなずいていたが、半分も理解
できていなかった。
「つまり、これは学校で勉強してる魔法とは違うということですか」
「そうだね」
「それで、火というのは何ですか。水とか……。属性って何ですか」
「復活した魔力には属性というものがあるんだ。なぜだかはわたしにもわか
らない。つまり、得意な魔法、魔力というべきか、その属性に関する呪文が
もっとも、というより極端に強い魔法を発動できるというわけだよ」
「発動……。それでいったい何をするんですか。就職には有利なんですか」
「就職……というか――」
ニダーナは先ほど口篭もったときと同じ表情を見せた。
「食べるのには困らないだろうね。――カライ君は何か質問はないかね」
カライはニダーナを一瞥してから小さく首を振った。
「じゃあ、あたしはもうみんなとは一緒に勉強しないということですか」
「ちょっと、ノゾミ、そんなに慌てないで。ニダーナ先生がお困りだろう」
副校長がハンカチで汗を拭きながら言った。
「いえ、副校長。あたしの一生がかかってんですから!」
「副校長、わたしはかまわないです。本当に二人には大事なことになる
んですから……。一緒に勉強はできなくなる。このトリラ村からも離れる
ことになります」
ノゾミはニダーナの言葉に動揺して、語を次げなくなった。ニダーナは
彼女の表情を見て、口をへの字に戻した。
「やはり、今日は実験はやめておきましょう。しかし、魔法学会への報告
があるので時間がありません。明日には、実験をおこないます。それで
は二人とも、まだここでのことはみんなには秘密ですよ。よけいな心配
をかけさせるということもありますから」
99 :
(・∀・):02/07/20 15:18 ID:mZDILmZg
∩ ノノハヽ
ペタンペタン(( ⊂´⌒つ´ Д `)つ
テヘテヘ マターリ
∋oノハヽo∈ ∩ミ
⊂(´D` ⊂⌒`つ ))ペタンペタン
⊂(´ Д `⊂⌒`つ ))ペタンペタン
ンァ?なんかおもいよぉ。
101 :
一:02/07/21 19:53 ID:Wpb180dg
二人は校長室から出た。ノゾミは魂でも抜かれたように悄気こんでいた。
トリラ村を離れるということが考えられなかった。立派な魔法使いになって
両親を安心させ、できれば一生この村で友達と暮らすというのが彼女の夢
だった。
トリラ村は美しい村だった。丘に登れば、草原の緑にモミや杉などの濃緑
色に、点々とある家々の石壁の灰色がよく映えるのが望見できる。紫紺の
水がゆっくりと流れるハラバリタヤ川も村自慢の美しい川である。子供
たちは自然の中で笑い声を絶やさなかった。ノゾミも小さいころはさかんに
友達と野イチゴを摘んだり、花飾りを作ったりしたものである。彼女はこの
村が好きだった。
それが、わけのわからない魔法で、村を離れなければならないという。
『お母さんと離れなければならないの? お父さんとも? イドヤともサンチ
とも、ヴァシーとも……嫌だ、そんなの』
彼女はカライを見た。彼はまっすぐに教室のある方向を見て歩いている。
「ねえ、あたしたちどこに行くのかな」
「アパラゴヤーナでしょう」
彼は意外にも彼女の問いに間髪を入れず答えた。
「アパラゴヤーナ!? あたしがアパラゴヤーナに?」
トリラ村からアパラゴヤーナまではさほど離れていない。とはいえ、歩い
て三日はかかる距離であるから、商人や出稼ぎの者を除いてアパラゴヤ
ーナまで行ったことのある村人は少ない。そのためか、村の子供たちの中
にはアパラゴヤーナへの道を歩き、どこそこまで行ったと誇らしげに語る者
がいる。ノゾミほどの年になるとそんなことはしなくなるが、それでも王都へ
の憧れというものは抱きつづけていた。イドルハは小さな国であるが、特産
品の貿易が成功して首都であるアパラゴヤーナは栄えており、若者は若者
らしい憧れを胸に秘するのだった。
103 :
一:
「アパラゴヤーナには何があるの」
「さあ。学校があるんでしょう」
カライの冷めた口調を気にすることなくノゾミは言った。
「同じような魔法学校があるのかあ。わたしにすごい力があるって言ってたわね。
火の力って。手から火でも出るのかしら。そんなわけはないか。――でも、すご
かったわね、あの光。怖かった」
彼女はそこまで言ってカライのはめた指輪から出た青白い光がかつて彼の手
のひらから出た光に似ていることに気づいた。
「ねえ、ひょっとして――」
しかし、言いかけて彼女はやめてしまった。校長室で見た彼の笑みが何となく
すべてを物語っているように思われた。
「カライの光は青白かったね。あたしは赤。情熱の赤ってわけね、まさにぴったりだわ」
冗談を言って取り繕おうとしたが、カライは無表情で、彼女が照れただけになった。
アパラゴヤーナという言葉に、彼女は現金に反応していた。トリラ村を離れたくないの
はたしかである。だが、一度でいいから、自分の国の首都を見てみたいという思いが
あった。
「でも、仮に火が出たとしたら、何に使うのかしら。火が必要な職業といったら、鍛冶屋
とか。あーあ、鍛冶屋なんかやだなぁ。だって、鍛冶屋のおじさんって怖いでしょう、カ
ライは知ってる村のセッシンていう鍛冶屋のおじさん。知らないか。……怖いんだから。
そりゃあ、鬼のようよ。水が出たら、どうする? 庭草の水撒きなんてどう。庭師に喜ば
れるわよ」
「……」