夜の花畑牧場。
石川は1人、トボトボと歩いていた。
あ〜あ、困ったなぁ・・・。
なんとか昼間のロケを撮り終えたものの、
あさみのひとことで石川は落ち込んでいた。
ロケが終わったあとであさみちゃん、
「気にしてないよ」って言ってくれてたけど・・・。
あれって、石川におちんちんがついてることに対して?
ううん。別に気づかれたかどーかなんて、どーでもいい。
中澤さんや保田さんにだってバレてるわけだし、
あさみちゃんがペラペラとみんなにしゃべるわけないもん。
きっと自分が気持ちよくなるために、
石川があさみちゃんをエッチの道具みたいに
扱ったことに対してに決まってる・・・。
実は、自分を置いて先に行ってしまったことを、
石川が気にしているのではと、
あさみが気を回して言った言葉、というのが正解。
しかし当の本人は、そんなことをこれっぽっちも
悪いと思ってなかったし、それどころか
置いてけぼりにしたことなど、すっかり忘れていた。
ロケ中のバター作り対決のときにまわりのメンバーが、
牛乳の入ったビンを無我夢中で上下する姿を見て、
石川が昼間風呂場で自分の勃起をこすり立てていた行為を、
みんなが束になってバカにしているように感じた
遅ればせながら罪悪感が生まれてきたところで、
あさみの言葉を耳にしたので、石川はそれを
勝手に悪いほうに解釈してしまったのだ。
石川って、いつからこんなエッチな子になったんだろ?
中澤さんと約束してたのに自分でおちんちんいじったり、
気を失ってるのにお構いなしで、あさみちゃんのお尻に
おちんちん挟んでこすりまくったり・・・。
あぁ、でも、あさみちゃんのお尻、気持ちよかったなぁ・・・。
いやっ、あさみちゃんをそんなふうに見ちゃダメっ!!
あ〜もうヤダっ!
石川が、こんなエッチになっちゃったのは、
このおちんちんがついたからなのよっ!
石川がコイツのせいでこんなに落ち込んでるってゆーのに、、
なんでコイツは元気にビンビンになってるのよぉ〜っ!!
石川は、ソレを手のひらでピシッと叩いてみたが、
痛みを感じたのは石川だけで、ソレは初めて受ける刺激に
悦びを表してますます大きくなってしまった。
なんとかしてもらおうと、先程中澤の部屋に寄ってみたのだが、
すでにスタッフをまじえての大宴会となっており、
とても昼間の約束を果たしてもらえるような状況ではなかった。
そして、途方に暮れた石川は、夜の牧場に出たのだった。
中澤さんも怒ってるんだろうなぁ。
お風呂でキレイにしてきたら、舐めてくれる
って言ってくれてたのに、あさみちゃんとの
エッチに夢中になって、すっぽかしちゃったし・・・。
あぁ、もう帰りたくないなぁ・・・。
って、コレって柴ちゃんのセリフじゃないのっ!
どれほど歩いたのだろうか?
自分が今、牧場のどこにいるのかさっぱりわからない。
昼と夜とではまったく違う場所にいるように感じられた。
帰りたくないと思っていた石川だったが、実際のところ、
帰りたくとも帰り道がわからなくなっていた。
しかし、今の石川には歩きつづけるしかなかった。
「う・・・う・・・」
あれ? 誰か泣いてる?
「あ・・・あ・・・」
あっちの馬小屋の方かな?
誰が泣いているのかということも気になったが、
帰り道を教えてもらえるというのも期待もあって、
石川は、闇の中に浮かぶ馬小屋に足を向けた。
泣き声と感じた声は、石川のいる位置からだと反対側、
つまり馬小屋の正面の方から聞こえてきていた。
馬小屋をまわりこんで、横からそっとのぞきこむと、
暗闇の中で誰かがひざを立てて座り込んでいた。
あいかわらず小さな嗚咽のような声をあげている。
石川は、声の主が誰だか確かめるために、
おそるおそる忍び足で近寄っていった。
誰なんだろぉ?脚を開いて座り込んでるみたい。
ガサッ。
石川は、何か足元に落ちていたものに
気づかずに蹴飛ばしてしまった。
「あっ!」
「誰?」
「あ、あの・・・」
「あぁなんだ、梨華ちゃんかぁ〜」