中澤は、ソレに手を触れようとはせずに、
舌だけをのばし、ゆっくりと石川の先端に近づけていった。
まず、あのさきっちょのヌルヌル舐めてあげよ。
それから、タマタマの方もペロペロして。
そしたら今度は下のほうからべろ〜って舐め上げて・・・。
竿が唾でべっちょべちょになるまで何回も往復して、
石川がガマンでけへんようになったら、
さきっちょ口にほおばって、ジュポジュポしたんねん・・・。
そんで出るぅってなったら、舌の上で直接受け止めて・・・。
また濃いいの、勢いよくビュッビュッて出てくるんやろなぁ。
口の中で爆発したら、ノドの奥にからまってエライことになる。
ちゃんと舌で受け止めんとあかんでぇっ!
今日は、あの濃いくて熱いやつ、直接味わったるんよっ!
そんなことを考えていた中澤にとっては、
舌がソレに触れるまでの時間が非常に永く感じられた。
しかし、舌はギリギリまで近づいたところで、不意に止まった。
クサッ!クサイでっ!
なんやのっ、この猛烈なイカ臭さはっ!?
うげっ!よく見ると、さきっちょカスだらけやんっ!!
コンタクトしてなかったから、わからんかったわっ!
「どーしましたぁ?早く舐めてくださいよぉ〜っ!」
中澤は、思わず鼻をつまみそうになったが、
すでにその指にもニオイがついてることに気づいて、やめた。
「石川、最近コレ洗った?」
その置き場のなくなった指で、いまだ脈動するソレを指差した。
「ソレが、どーかしましたかぁ?」
「お風呂に入ったとき、洗ったりせぇへんの?」
「いじっちゃダメだって言われてから、石川、ずーっと
お風呂でも絶対ソコだけは触らないようにしてましたけど?」
確かに、石川がコレを自分でさわってんの、
今まで見たことないわ。
「なんで洗わんのよっ!クサくてたまらんわっ!」
「だって、いじっちゃダメだってぇ〜」
素直も、ここまでくるとアホやね。
「だってもヘチマもない。今すぐ、風呂入って洗ってきぃ!」
「え〜っ!!また、おあずけですかぁ〜!?」
「仕方ないやろっ! あぁ、目にきたでぇ・・・涙出てきた」
「じゃあ、ちゃんと洗ってきたら、舐めてもらえますぅ?」
「あぁ、ちゃんとペロペロしてあげるよって。
とにかく早く風呂場行きぃやっ!!」
「は、はぁ〜ぃ!」
石川は元気にそう言うと、そそくさとショーツを穿き直し、
あっという間に廊下を駆け出していった。
ううっ、やっと目ぇ開けられるようになってきたわ。
いや、でも今度は吐き気か・・・換気せなっ!
中澤は、フラフラと立ち上がり、急いで窓を開けると、
上体を窓から乗り出して、大きく深呼吸し始めた。
呼吸が落ち着いてくると、中澤は上体を窓枠からだらっと
垂れ下がらせ、しばらくその体勢のままで放心していた。
「中澤さ〜んっ!どーしたんですかぁ〜っ!」
不意に階下から名前を呼ばれた中澤が、そちらに
顔を向けると作業着姿がさかんに手を振っていた。
「あぁ、あさみか?・・・どーもせんよぉ・・・」
「大丈夫ですかぁ〜?」
ここは、テキトーにとりつくろっとこ。
「空気がおいしいから、深呼吸してただけよぉ」
「あ〜、そーなんですかぁ」
「こんな空気いつも吸えて、うらやましいわぁ」
「そんなことないですよぉ〜。今日だって
朝から今までずっと牛舎の掃除だったんですよぉ」
「それはご苦労様やったわねぇ」
やっと正気の戻ってきた中澤は、上体を起こした。
「またあとでロケの方、よろしくお願いしますっ!」
「あ、あぁ、じゃあねぇ」
中澤は、建物に入ってくるあさみに、軽く手を振り返して
見送ると、そのままぐったりと畳にへたりこんだ。
あぁ、死ぬかと思った。毒ガスやん。
イラクのフセインもビックリやね。
それにしても、惜しいことしたなぁ。
もうちょっとでチュパチュパできたのに・・・。
まぁええわ、石川が風呂から上がってきたら、
さっきの続きしてあげよ。
気を取り直した中澤は、急いで洗面所に向かい、
石鹸で念入りに手を洗った。
そして、クンクンと自分の手のニオイを嗅いで安心すると、
中途半端になっていた荷物の片づけを再開した。