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186第二章
「こちらにいらっしゃい」
マニキュアから眼鏡まで全身黒づくめの、
ビデオの女性がマイクを手に言い放つと、
ビデオの美貴はゆっくりと起き上がって、
女性の目の前に歩み寄った。
「脱ぎなさい」
すると少女は全くためらいを感じさせずに、
まるで自宅の部屋で着替えているかのように、
セーターを脱ぎ始めた。
(マジぃ? こいつわたしじゃない!)
何故か体が動かなくなった
ソファの美貴がいくら心の中で叫んでも、
言葉を発することができない。
少女はスカートのファスナーを下ろし、
スカートが少女の足下にずり落ちる。
(なんで?あんた誰なの?やめて!)
自分の通う高校の制服を着て
藤本美貴の体を持った
自分ではない誰かの脱衣と、
言うことを聞かなくなった自分の体に、
美貴は底知れぬ不気味さと
恐怖の中に突き落とされた。
187第二章:02/07/19 23:12 ID:D5xd0mKg
ついにテレビの中の藤本らしき少女が
シャツのボタンに手をかけ始める。
第一ボタンから下へ
緩慢に一つ一つはずしていく。
全てが終わると前がはだけ、
白いブラジャーとパンツと肌、
整ったへそがシャツの隙間からのぞく。
美貴は映像の自分にそっくりな少女を見る。
何が見えてるのかさっぱり分からない
暗い目をした自分がそこにいた。
黒服の女性の前で
棒立ちになった白シャツと下着の少女は、
シャツの袖から腕を抜き脱ぎ捨てて、
足下のスカートの上にふわりと被さった。
そしてブラジャーの紐に手をかけ、
肩からずり落す。
(この子、マジで裸に…)
まるで自分がストリップを
しているかのような錯覚に陥り、
思わず目を伏せる美貴。
それに気づいた事務所の女性が
美貴に告げる。
「貴女はテレビから目が逸らせない」
(また!)
美貴の目は美貴の命令を無視して、
その女性に従う。
瞼が開き、一瞬たりとも
テレビから目が離せなくなった。
(なんで? どうして?
なんで体がゆーこときかないの?
この女に操られてるのわたし? いやあ!)