ハロプロワイアル

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79レクイエム
サクッ。サクッ。草を踏みながら歩く音が地面に横たわる松浦の耳に飛び込んできた。
松浦は瞬間的に目を覚ますと横に置かれていたグレネードを手に取った。
「わっ!待って!よして!撃たないで!戦う気は無いよ!!」
そこには両手を上げた吉澤が立っていた。「私、辻ちゃんと加護ちゃんを探してるんだ。
見なかった?」松浦はまだ少し警戒しているのかグレネードは下ろしたが自分も2・3歩後ずさって言った。
「ごめん。見てない。そういえば同じグループだったんだよね? どうして離れちゃったの?」
「梨華ちゃんが・・・。怪我してさ。それで2人ずつに分けるのは危険という事で私が単独行動とる事にしたんだ。」
石川の名を口にした時、吉澤の声のトーンが落ちた。辻・加護といたはずの石川は死亡が発表された。
辻と加護の名前が無かったので一瞬「あの2人が邪魔になって殺したのでは」
と考えたがすぐに振り払った。2人はそんな酷い人間じゃない。

「そっか。ありがと。私もう行くね。」すると松浦の後ろで眠っていた藤本が
目を覚ました。「あれーー?吉澤さん・・・どうしたの?」その質問に松浦が答える。
「辻ちゃんと加護ちゃんを探してるらしいんだけど・・・美貴は見てないよね?」
「・・・うん。ごめん。」まあ、松浦と藤本はずっと一緒に行動していて
その松浦が見てないのだから藤本が見ている分が無い。
「美貴ちゃんもありがとね。それじゃ!」吉澤は踵を返して走ろうとした。「待って!」
藤本が引きとめた。「もう行っちゃうの?」吉澤は軽く頷いた。
「時間が無いからね。なるべく早く会わないと。!!そうだ!ごっちんには気をつけて。
私の前で・・・飯田さんと保田さんを殺したわ。もし会ったら逃げたほうがいいよ。じゃね。」
吉澤は今度こそ本当に走り出した。「・・・後・・・心当たりがあるとしたら・・・最初にいた傾斜道!」
吉澤はさらにスピードを上げて道無き道を走っていく。
80レクイエム:02/06/04 17:55 ID:xxhegk6s
市井と紺野は貯水池を出てすぐの平野にいた。紺野から見て市井の歩行スピードはやけに速く
感じられた。思わず聞いてみた。「どうして・・・そんなに早く歩くんですか?」
市井は少し後ろを歩く紺野を振り返った。「周りを見てみな。」「???」紺野はキョロキョロと
辺りを見回した。そこにはただ延々と緑の野原が広がっていた。強いて言えば前の方に
小さな山があり、その上にとんがり頭の展望台がちょこんと置かれていた。
「特に何も無いですけど・・・。」「そう。何も無いからこそ見渡しがいいでしょ?だからこんな所
で敵に狙われると危ないのよ。早めにぬけなくっちゃ。」なるほど・・・。
合点がいった。だからこんなに早く歩いてたのか。「でも・・・それなら走った方がいいんじゃないですか?」
「走るのは最終手段ね。確かにスピードはあがるけどその分急な動きに対応できなくなるの。一点しか見えなくなるし。
下手に走るのは逆効果よ。」これも合点がいった。すごい。今日初めて話した人だけどいつの間にか尊敬していた。
紺野は市井に追いつくと市井と同じペースで歩き出した。