柴田は視線を斜め下にむけ、首筋にあてられた刃を見た。まずいな。平家の時よりも。
この女が手にちょっとでも力を込めれば私の首は飛んでいく。今、足元に転がっているH&Kを
取れれば反撃も可能だけどそんな隙は無い。それに肩から脇にかけての傷。致命傷では無いけど
放っておいていい傷でも無い。なんか否定的な言葉ばっかり・・・。
「ねえ。柴田さん。」後藤が語りだした。「私、放送聞いてて思ったんだ。柴田さんは4人殺してる。
この大会では一番のライバルかな?って。」「間違いがあるね。さっき平家を殺したから5人よ・・・
うっ!!」刃が少し首に埋められた。血が首筋を伝うのが分かった。「私の話を聞いてね。」
埋まった刃を首から離すと続けた。「私悔しかったんだ。柴田さんが5人殺したって事は私が
人を殺せる機会が5回減ったって事でしょ?自由に人を殺せる・・・撃てる・・・斬れる・・・
こんなチャンス一生に一度だよね。私はもっと楽しみたいんだ。柴田さんが生きてると私の
獲物をどんどん殺しちゃうじゃない?さっき柴田さんの体斬ったとき気持ち良かったよ。
その快感をもっと味わいたいな〜柴田さんの体でっ!!!」
後藤は一発で首を狩ろうなんて考えて無かった。何回も斬りつけて斬りつけて死んでから首を
狩るつもりだった。日本刀が振るわれ柴田の胸にまた赤い線ができた。今回は短かったが。
後藤の体がゾクゾクと奮えた。「これよ・・・この感触!!」今度は動けなくするため
足を狙おうとした。が、その足はいち早く動き、地面を蹴り上げていた。
舞い上がった砂が後藤の目に入り込んだ。「くっ・・・」後藤の視界はふさがれた。
闇雲に刀を振り回すがかすりもしなかった。ダダダダダダッ。胸に銃口を直接付けての
連射。後藤の口から鮮血が漏れた。元々チョッキは弾丸そのものは抑えてくれるが衝撃は
抑えきれない。だからチョッキを着ててもあばら骨を骨折という事もよくあるようだ。
「ああっ・・・。ごほっ。」また血を吐いて後藤は倒れた。止め・・・といきたいが柴田も
傷を負っている。しかも傷が熱を帯びて全身の力を奪っていっている。
なぜか喉が異常に乾く。早く休まないと・・・本能で分かる。死ぬな・・・
後藤のディパックからボトルを2本取るとよろめきながら柴田は歩いていった。
お腹すいてるのかも。」そう言うとあさみは待合室に行き、手に何かを抱えて戻ってきた。
缶詰だった。ラベルには「カンパン」とある。その栓を切ると座り込む里田の前に
差し出した。「これ待合室で見つけたんだ。食べてみて。」里田は顔を上げると
しばらく考えてそっ、と1個手にとった。あさみはニコニコしながらそれを見ている。
カンパンを口に入れた瞬間、なんか苦い匂いが口中に広がった。
歯ごたえもカリッとしたものでは無くグチャっと水っ気を帯びていた。
早い話がいくら缶詰めとはいえ時が経過しすぎて中の生地が腐っていたのだ。
「うえっ。」里田はそれを吐き出すと咳こんだ。吐き気がする・・・。
だが・・・これではっきりした。この2人・・・やっぱり私を殺す気だ!!
そう確信した瞬間。里田の中で何かが切れた。
いきなり立ち上がると机の上に置かれたイングラムM10サブマシンガンを掴み取り、
銃口をあさみに向けた。「えっ・・・?」あまりの事にあさみは言葉を失っていた。
「舞!!何してるの!?銃を下ろして!!」りんねが慌てた様子で言った。
今度はりんねに銃を向けて「うるさい!あんた達こそ私を殺そうとしたくせに!!」
と叫んだ。「誤解よ!私はただ具合悪そうなのはお腹すいてるからと思って・・・」
「だから腐ったものを食べさせて殺そうとした分ねッッ!!!」
興奮しているせいか語尾がはねていた。「違うわ!私も腐ってるとは・・・」
言い終わる前に里田はトリガーを引いていた。パラララララ・・・・!!!
「きゃあっ!!」あさみの頭の横を銃弾が通過して薬品棚にいくつか穴があいた。
薬品のビンが砕けて匂いがますます酷くなった。
116 :
THE・地蔵:02/06/16 10:44 ID:3X16Y59g
はよ続き書いーてよ。
117 :
THE・地蔵:02/06/16 10:51 ID:3X16Y59g
(・∀・)ヨカターヨ!
(BOSSも大変喜んでおられます。)
「なにするのよっ!!!」 「うるさい!うるさい!うるさーーーーい!!!」
この時点でりんねは説得は無理と悟った。と、すると手段は1つ。
りんねの武器は 伸縮自在の洗濯竿だった。今はフルに伸ばして役2メートルほどある。
これで里田の手からイングラムをたたきおとす。重要なのはこれ以上銃を持たせない事だ。
幸い(?)今、里田の注意はあさみに向いている。やるなら今だ!!
りんねは竿を振り上げると里田の伸ばした手に叩きつけた!!!
しかし、竿はプラスチック製だった上に空気抵抗を受け、全く衝撃は無かった。
里田は恐ろしい形相でりんねを睨むと躊躇無く撃った。
りんねの胴体に合計7つの赤い穴が出来た。血が軽く壁にも飛んでいた。
「きゃあああああっ!!!」あさみが絶叫した。りんねの体が倒れて数センチほど跳ねた。
里田はうつろな瞳であさみを見るとイングラムを持ち上げた。「いやあっ!」
あさみは普段から持ち歩いている制汗スプレーを里田の顔に吹きかけた。
里田が一瞬身を引いた。今だ!!あさみは踵をかえし、ドアに飛びついた。そして待合室に
飛び出した。ドアを閉めて、机で固める。これで時間は稼げる!
後はそこの玄関を開けて外へ出れば・・・あさみは気付いた。開かない!!どうして!?
そこには木材が打ち付けてあった。自分とりんねがやった事だった。
「嘘!?嘘でしょ!!」あさみは木材を剥そうとしたが逆に自分の爪がベリッと剥がれた。
その時・・・パラララララッ。と聞こえ、あさみの脇がえぐられた。な・・・なに?
振り返るとドアに無数の穴があった。弾丸がドアを貫通してきたのだ。そのドアが
縦に裂けた。もう一度裂けた。ドカッ。ドアが蹴破られそこにはイングラムとあさみの
支給武器、ナタを振りかざした里田が立っていた。ナタでドアを裂いた分だ。
「いっ・・・いやあああああ!!!出して!出してよ!!」あさみは狂ったようにドアをたたいた。
里田はナタを下ろすと一歩、一歩近付いてきた。まさにホラー映画だ。
「出してーーーーーーー!!!!!!」あさみはひたすらドアをたたき続ける。
そして・・・パラララララッ。あさみの背中に穴があいて、ドアによっかかる様にして倒れた。
倒れたあさみはまだ生きていた。ただ死にきれない地獄を味わっていた。
「く・・・ううっ・・・」言葉にならない声を漏らすあさみの頭にナタが打ち込まれた。
あさみの頭がはぜわれ派手に中身が飛び散った。
木村麻美死亡 戸田鈴音死亡 残り13人