ゴマキ新曲ジャケットに履いてるのはルーズ?

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470鮪乃さしみ ◆vDQxEgzk

【T・E・N】 第50話 吉澤と矢口

 わけが分からないまま、反射的に吉澤は203号室のドアノブに手をかけた。
 ロックはされておらず、あっさりとその扉は開かれた。
 まず思ったのは・・・矢口の部屋は自分の「Moonlight」の構造に
似ていること。

 そして叫び声の元である矢口は、ドアを開けてすぐ左手の床にへたり込んで
いた。

「あっ」

 吉澤が思わず声に出してしまった原因。
 それは、矢口が下着と白い太股をあらわにしていたことだった。緑と黄色の
太めの横縞模様のトレーナーに視線を向けても、否応なくその下の、純白で可
愛らしいパンティに目がいく。その下着に片手を引っかけているところを見る
と、たった今まで脱いでいたのを慌てて履いたようでもある。
 矢口の足の先はまだ、ドアが開かれたままのユニットバスルームの向こう側
に放り出されている。よく見るとその足に紺色のオーバーオールらしき衣服が
絡まっているのが分かる。

 その異様な光景に気をとられて一瞬遅れたものの、矢口の表情がやっと確認
できた。
 これ以上ない位の、恐怖に歪んだ顔。
 そしてようやく、矢口も廊下から遠慮がちに身を乗り出している吉澤の存在
に気がついたようだった。
471鮪乃さしみ ◆vDQxEgzk :02/07/28 23:04 ID:eAs04aTo

 のけぞって倒れている矢口は、左手を下着に手をかけたまま右手をバスルー
ムの中へ指さし、ぎこちなく後ずさっている。やがてその無理な体勢が災いし
たのか、小さな体躯をごろん、と床へ転がす。彼女の口から必死になって絞り
出された声が、吉澤の耳にも届いた。

「血が、血が・・・!!」

 何か尋常ならないことが起こっていることを瞬時に察した吉澤は、部屋の中、
そして矢口が指さしているバスルームの中へと駆け込んだ。

「うわ、臭っ!」

「やっぱり見ちゃダメッ!」

 吉澤が鼻を押さえたのと、その吉澤を後ろから矢口が抱きしめるように押さ
えつけてそう叫んだのは、ほぼ同時だった。
 だが吉澤もトイレの室内に充満する当たり前の臭気のほかに、矢口の絶叫の
元となったものを確かに視界に捉えていた。

 白い洋式便器の内側一面が、真っ赤な液体で染まっていたのだ。

「ダメったら!」

 バタン。

 一瞬で矢口がその便座のフタを閉じたので、それ以上のことは分からなかった。

「な・・・何・・・一体・・・?」

 矢口が息を切らして便座に覆い被さっているのを、吉澤は茫然と見下ろす。
 これが矢口と吉澤の、5年振りの再会だった。


【50-吉澤と矢口】END
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