格闘小説〜餓娘伝

このエントリーをはてなブックマークに追加
149格闘娘。
紺野のその声と同時に後藤の指が頭蓋骨を捉えた。
そしてその指は頭蓋骨を陥没させていた。
後藤はすばやくその指を抜くと胸倉を掴み言った。
「この場では、命は助けてやる。帰ってそいつに伝えな!これ以上あたしにかかわるとただじゃすまないってね。」
後藤は掴んでいた手を放した。
暗殺者はすばやくその場を離れると脱兎のごとく逃げ出した。
「いいのか?あいつを逃がして・・・またあんたを狙ってくるんじゃないのか?」
吉澤が言った。
「心配するな、あいつはすでに死んでいる。」
「はっ?」
「気にしなくていいよ、世の中信じられない事のほうが多い・・・」
150格闘娘。 :02/10/13 04:22 ID:bLBDTq5n
4.

暗い部屋の中に蝋燭のあかりだけが揺れている。
その中にふたりの娘がおり先ほどから何度も裸で行為を行っていた。
「ああっ・・・・」
喘ぎ声が部屋の中に響いていた。気のせいであろうか蝋燭の火の揺らめきが大きくなった気がした。
ガタッ
遠くの方で音が響いた。
「どうやら帰ってきたみたいだね。高橋。」
その部屋にいた娘の一人がそういった。髪は長く茶色に染められており
肌はやや浅黒く細身の身体の娘であった。娘の名前は石川梨華といった。
「ええっ」
高橋と呼ばれた娘は、小湊流の道場で石川の影武者と一緒にいた娘であった。
ギィという音と共にドアが開かれた。
そこには先ほど後藤を襲った娘の姿があった。
「どうだった?」
高橋が娘の前に立ち言った。身体にはすでにローブが纏わられていた。
「す・・・すみません未遂に終わりました・・・」
151格闘娘。 :02/10/13 04:23 ID:bLBDTq5n
「す・・・すみません未遂に終わりました・・・」
「はっ!やれやれ・・・あたしの部下にはロクなのがいないね。飯田も失敗!後藤も失敗か・・・」
遠くから梨華が言った。
「申し訳ございません。」
「で、なにか変わったことは無かったか?」
「ええ・・・事前の情報によりますとあの館に居るのは後藤真希、紺野あさ美の二人だけという話
 でしたが、もう一人いました。確か吉澤ひとみと言う名だったと思います・・・」
「吉澤?・・・聞いたこと無いね。」
そう言った梨華の表情からは氷のような冷たい微笑が浮かんでいた。
(ん?・・・)
高橋は、その場におきている異変に気がついた。娘の頭が不自然なまでに膨らんでいるのである。
「お前・・・その頭はどうした?」
「えっ・・・頭がどうしたっ・・・・たわばっ!!」
ボンッという音と共にその娘の頭が破裂をし、あたりに脳髄や血飛沫が散乱した。
152格闘娘。
「こ・・・これはっ?」
高橋はその異常な死に方に頭が混乱した。だが人の死ぬ現場を見慣れてるのであろう。
数刻後には、平静さを取り戻していた。
「これは、後藤からあたし達に対するメッセージさ、これ以上かかわるとこうするってね!」
「もしやこれが・・・噂に聞く死神の拳と恐れられた拳では・・・」
「そう!でもちょっと違うんだ、この拳の宗家の拳の伝承者は、飯田圭織、そこからさらに三派に分かれて
 いてね、後藤はその中の一つを極めている。」
「では、あとの二人は?」
「それは、また今度話してやるよ、それにしても後藤の奴あたしを挑発してくるとはね・・・」