格闘小説〜餓娘伝

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120格闘娘。
第6章

1.

中澤裕子は、三重の平家の屋敷にいた。警察により平家の死を告げられていたためである。
警察の話によれば、平家は頚椎をひねられておりそれが死因であるとのことであった。
死体は、死後一週間以上たってから発見された。しかし金品が獲られた形跡が無いこと
や怨恨の関係などが浮かばないことにより事件の解決を難しいものとした。
(一体誰が?)
中澤は親友の死を目の当たりにしても何も出来ない己の無力さを呪った。
そして警察のほうから死体が、本人であるか確認して欲しいといわれた。その死体は、確かに平家であった。
その死体を見たとき中澤は首筋にある特徴的な痣に気付いた。それは三日月のような痣であった。
その傷を見たとき中澤の表情が僅かだが曇った。
それから中澤は暫く警察の質疑に答えていた。それも終わり宿に引き返そうとしていた。
121格闘娘。 :02/08/18 21:26 ID:9ztisy+E
その時後ろからハァハァと息を切らす音が近づいてきた。
その声の主は吉澤ひとみであった。
「吉澤・・・・」
「ああ・・・あんたか平家先生が・・・」
「わかっとる・・・まあここで話すのもなんや・・・場所変えようや。」
中澤はそういうと自分の泊まっているホテルに吉澤を招いた。
122格闘娘。 :02/08/18 21:27 ID:9ztisy+E

2.

吉澤が通された部屋は豪華と形容するに相応しい部屋であった。
アンティークなベッドやソファなどが広い部屋にゆったりと置かれており
それがこのホテルの格調の高さを物語っていた。
二人は、ソファに腰掛けるとゆっくりと話し始めた。
「・・・がウチが警察から聞いた全部や」
「一体何故?何故平家先生が?」
「それは、解らん・・・警察も恨みや金では無いだろうという話や・・・」
「それじゃなんなんだよ?わかんないよ?」
吉澤の言葉からは、激しい憤りが感じられる。自分を見込んで鍛えてくれた平家の死に動揺していた。
「ああ・・・ただ一つきになることがある。」
「なに?」
「平家の死体についてた特長的な痣や・・・ウチの知ってる限りあの痣を平家につけれるような奴は
 一人しかおらん。」
「誰なんだ?そいつは?」
「吉澤!それ以上聞くとお前も修羅の道をいくことになるがええんか?」
「どういうことだ?」
「こっからさきは、お前が今までやってきたような甘い闘いやないんや、死ぬか生きるかの戦いやで・・・」
「あたしは、今までもそういう・・・」
吉澤がそこまで言いかけた時、中澤が言葉をさえぎった。
「お前が、みちよと闘ったように手加減はしてくれへんで」
「はっ?」
123格闘娘。 :02/08/18 21:28 ID:9ztisy+E
「みちよはなあの時お前に花をもたせてやったんや。」
「なぜ?」
「お前の素質を見極めるためにな!平家流の技を教えるに足るかどうか試したんや・・・」
「・・・」
「まあ、お前はその資格はあったみたいやな!みちよはお前に平家流を教えてくれたみたいやしな。」
「で・・・誰なんだよ平家先生をやったのは?」
「かつて、平家流最強の娘といわれた奴がおった。しかし、そのあまりの非道さ残虐さにより
 破門になった。そしてその後は、噂によると拳法をしているっちゅう話や」
「誰だ?そいつは?」
「保田 圭!」