真剣にごっちんの小説を書こうと思う。

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14軋む赤絨毯の部屋 ◆Th/KWkdQ
「電車の中で‐3」

あたし達を乗せた新幹線は、ようやく京都に辿り着いた。
広大な駅のホーム。溢れる仕事帰りの人たち。いつもは不快な景色でも、
初めての土地に来たせいか、内心ドキドキしていた。
「あんた達、降りる準備しなよ」
「は〜い」

「プシュー」と空気の漏れるような音がし、ドアが開く。
同時に、車内になだれ込む人々。降りる人のことも考えてよ・・・
「さて、これからどうしますか」
「まず、喉渇いたんだけど」
「御土産見たいですぅ〜」
「トイレトイレトイレ!」
意見もまとまらないまま、私達は駅の出口へ向かった。
15軋む赤絨毯の部屋 ◆Th/KWkdQ :02/04/23 01:19 ID:fMhLyTKA
「雨のち晴れ」

京都の空は、曇り。今にも雨が降りそうだった。
何の準備もなかったあたし達は、どこかで傘を買うことにした。
「あ〜、あったよ。あそこ」
「ほんとだ・・・助かったぁ」
小さな売店で見つけたのは、ビニール傘だった。
久し振りに見るなあ、ビニール傘なんて。野外コンサートでよく使ったっけ・・・
「あたし、ピンクがいいです」
「石川・・・子供じゃないんだからさ。みんな透明のでいいじゃん」
「圭ちゃん、別にいいじゃない。みんな好きなの。ね?」
久し振りに手にしたなあ・・・他愛ないものなのに、長い間触れてないとこんな風に思っちゃうんだ。
忘れていた感触に、思わず笑みがこぼれた。

「よ〜し、これで準備万端。どこで行けるね」
「うんうん。早く行こう。待ってらんないよ〜」
「あたし歩きはやだよぉ、疲れちゃう・・・」
「可愛いお土産ありますかねぇ?」
みんな思いを口々に話す。しかし、あたし達は肝心なことを忘れていた。
行き先・・・決めてない!