真剣にごっちんの小説を書こうと思う。

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1軋む赤絨毯の部屋
エロじゃないです。
2名無し募集中。。。 :02/04/18 07:44 ID:Q7Sgl9mx
そうか
3軋む赤絨毯の部屋 ◆Th/KWkdQ :02/04/18 07:59 ID:2g8zUZgu
キャップ忘れてた(汗
ちなみに、この小説の主人公の男性は、あなたです。
けしてごっちんファンの皆さんの気分を害するための小説ではないです。
では、楽しんでください・・・

第一話「冬の空」

2002年、冬。あたしの物語は、ここから始まった。
ある寒い日曜、あたしはけたたましい目覚まし時計の音で目が覚めた。
「んぁ・・・まだ9時じゃんかぁ。もちっとだけ・・・」
あたしが布団をかぶろうとすると、部屋に母さんが飛び込んできた。
「真希、今日はメンバーのみんなと会う約束があるんでしょ!起きなさい!」
・・・最悪。仕方なく布団を剥ぎ取られたあたしは、しぶしぶパジャマを着替えるため起き上がった。

着替えて階段を下りてくると、そこには冷めた朝食が置いてあった。
「早く食べてちょうだいよ。」
母さんはさも忙しそうに言い放った。
私は木作りの椅子に腰掛け、目の前の食事を食べることにした。

「行ってきまぁす。」
誰も聞いていないが、気にせず家を飛び出す。
久しぶりのオフとあって、足取りも軽い。
帽子を目深にかぶり、バスに飛び乗る。
予想に反して、中はガラガラで、おばあさんが一人、最後尾の席に腰掛けていただけだった。
私は、なぜか引き寄せられるようにおばあさんの隣に座った。
「お嬢さん、いい天気ね。どちらまで?」
私は、ドキッとして答えた。
「友達に会うんです」
よくある会話を繰り返し、バスはどうやら目的地に近づいてきた。
「ねえ、手相、見てあげましょうか?」
「手相?」
「そう。私は占い師をやっているの。」
「はあ・・・」
しぶしぶ右手を出す。
「あら、これは・・・」
意味ありげにおばあさんがつぶやいた瞬間、バスが止まった。

To Be Continued...
4なまえをいれてくださ:02/04/18 07:59 ID:qw4I/3VK
>>1
頑張れよ
5軋む赤絨毯の部屋 ◆Th/KWkdQ :02/04/18 08:16 ID:oplLWMWQ
続き「冬の空」

「この手相は・・・あなた、いい人ができるかも知れないわねえ」
「えっ!?」
突然そんなこといわれても・・・あたしは困惑してしまった。
「今日はあなたの特別な日になるわ。大事にしなさいね。」
そう言うと、おばあさんはバスを降りていってしまった。
あたしは何がなんだか分からず、大きなため息をついて終点を待った。

バスを降りてしまえば、いつもの公園はすぐそこだった。
あたしは内心ドキドキしながら、少し早く歩いて公園へ向かった。
いつもと変わらぬ町並み。見慣れた風景。『いい人』、か・・・ホントかなぁ・・・
そんなことを考えているうち、あっという間に公園へついてしまった。
公園には、既に見慣れたメンバーの顔があった。
よっすぃ〜、梨華ちゃん、矢口さん、圭ちゃん。あたしは手を振りながら駆け寄った。

「やっとかぁ〜」
「10分も遅刻ですよぉ」
「ごっちん遅い〜」
「まったく・・・寝坊ばっかするんだから・・・」
あたしは息を切らしてあやまった。
「ゴメン・・・寝坊しちゃって・・・さあ」
「いいじゃん、早く行こう」
圭ちゃんが促すと、みんな自然に歩き出した。
そう。今から私達は久しぶりの休日を楽しむのだ。もっとも行き先は決まってないんだけど。
6軋む赤絨毯の部屋 ◆Th/KWkdQ :02/04/18 08:34 ID:oplLWMWQ
>>4
ありがとうございます!つまらん小説ですが、何とか毎日書いてくつもりです!

+++++++++++++++++++++++++++++++

さらに続き「冬の空」

「さて・・・毎度のことだけど、どこにしよっかぁ・・・」
「何で行き先決めないんでしょうね、私達・・・」
圭ちゃんと梨華ちゃんが苦笑を交えて話し始める。
「だったらさあ、行ったこと無いとこ!」
よっすぃ〜が冗談ぽく言い放つ。
「あのねえ・・・」
「子供じゃないんだからさあ・・・」
圭ちゃんは言葉も出ないようだ。
しかし、意外にも賛成した人がいた。
「いいですね、それ!」
「梨華ちゃん!?」
よっすぃ〜と本人を除く3人の声が重なり合う。
しかし、他に意見もなく、あたし達は仕方なくそうすることにした。

「で、どこにするわけ?」
「う〜ん・・・」
誰も口を開こうとしない。当然だ・・・あたしだって分からない。
「京都なんてどうです!?中澤さんの出身地だし!」
何だその理由は。しかし反対する理由は無かった。
12月の空は、今にも泣き出しそうだった。

+++++++++++++++++++++++++++++++

続きは夜7時ごろです・・・
7 :02/04/18 08:34 ID:gFereAQw
(・∀・)イイ!!
8ねぇ、名乗って:02/04/18 09:00 ID:oZXx0Epu
>>1
送信するときは、メール欄に半角で「sage」って入れておいたほうがいいよ。
9軋む赤絨毯の部屋 ◆Th/KWkdQ :02/04/18 20:55 ID:/aqwcAoJ
>>7
ありがとうございます!励みになります。
>>8
う〜ん、やっぱりつまんないですかね。
分かりました、sage進行でいきます。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++

第二話「列車の中で」

あたしたち5人は、行き先を決定し、新幹線に揺られて京都を目指していた。
「富士山見えないですね〜」
「曇りなんだから当たり前でしょーが」
梨華ちゃんの問いを軽くあしらい、あたしはうつむく。
「どした」
「え・・・ううん、別に・・・」
なぜか、バスで話しかけられたおばあさんのことが頭から離れないのだ。
やはり顔に出る体質らしい。あたしは、しばらく黙っていることにした。

「ねえ、おなかすいたよぉ」
「矢口・・・あんたねぇ・・・」
「しょうがないよ。圭ちゃん、お弁当食べよう」
何気ない会話を続けているうち、私達は眠ってしまっていた。
あまりにも無防備だったが、不思議とばれることはなかった。
しかし・・・東京から京都まで日帰り、なんて馬鹿な奴ら、あたし達ぐらいだよね・・・

To Be Continued...
10(・∀・):02/04/19 04:19 ID:7TQl37CC
小説スレは基本的にsage進行

がんばれ〜
11 :02/04/21 02:14 ID:vOCPSt41
12軋む赤絨毯の部屋 ◆Th/KWkdQ :02/04/22 01:43 ID:9QLJ3Thh
「電車の中で」続き

「後もう少しですねえ」
電光掲示板の表示を見て、梨華ちゃんがつぶやく。
約二時間半かけて、私達は目的地に辿り着こうとしていた。
「ねえ、ちょっとトイレ付き合ってほしいんだけど・・・」
「矢口さん、そのくらい一人で言ってくださいよ〜」
「だあってさ、一人だったらばれた時怖いじゃんかぁ」
「まったく・・・圭ちゃん、付いてってあげよ」
あたしと矢口さんは、嫌がる圭ちゃんを連れて、トイレへ向かった。
まったく、ぞろぞろ多人数で行くより一人の方が怪しまれないのに・・・

これは、矢口さんがトイレに入っている間、近くの食堂車での話。

「京都のほうは晴れてると思ったのに、全然真っ暗だなぁ・・・」
「別にずっといるわけじゃないんだし・・・傘ぐらい向こうで売ってるっしょ」
「そうじゃなくて・・・」
あたしは、暗い空が嫌いだった。子供の頃見た、あの空・・・
それは、あたしが6つのときの話。家族で行った遊園地で起こったことだった。
にごった雲がだんだん黒さを増して、時折火花が飛ぶように稲妻が雲間を走る。
そしてぱらつき出す大粒の雨。あたしは震える唇を噛み締め、
抱えていたぬいぐるみを傘代わりに両親を探して走り回る。どこにいるかなんて知らないのに・・・
暗い遊園地はとても恐ろしくて、いつもは喜んで駆け寄る人形でさえお化けに思えた。
どうして、お父さんやお母さんはあたしを置いてっちゃったの?どうしてあたしがこんな目に・・・
辛くて、立ち止まりそうになりながらも、涙で前が見えなくても、あたしは走った。
走って、走って、走り続けた。その後は・・・よく覚えてない。

「ああ、嫌な事思い出しちゃった」
「何がよ」
「だって、あんなことがあってさあ・・・今でもはっきり覚えてて・・・」
「暗い空が苦手ってワケだ」
「うん・・・」
そのことを話している間、圭ちゃんは真剣に聞いてくれていた。
ちょっと厳しい人だけど、時々お姉ちゃんみたいに優しいんだよね・・・
「あ〜、こんなとこにいたぁ〜!」
聞きなれたハスキーな声。振り向くとそこには、恨めしそうな顔をした矢口さんがいた。
「も〜、あたしのことほっといて二人でこんなとこにぃ〜」
「大声出さないでよっ、ばれちゃうでしょ〜」
あたし達は急いでその場から退散した。まったく、最後まで人騒がせなんだから・・・

To Be Continued...
13軋む赤絨毯の部屋 ◆Th/KWkdQ :02/04/22 01:45 ID:9QLJ3Thh
ふい〜、遅くなりました。仕事が忙しくって、思うように来れません・・・
でも、今日の夜は暇がありそうなんで、書き込みに来ようと思ってます。
ではでは。。。
14軋む赤絨毯の部屋 ◆Th/KWkdQ :02/04/23 00:58 ID:HTSyEVV/
「電車の中で‐3」

あたし達を乗せた新幹線は、ようやく京都に辿り着いた。
広大な駅のホーム。溢れる仕事帰りの人たち。いつもは不快な景色でも、
初めての土地に来たせいか、内心ドキドキしていた。
「あんた達、降りる準備しなよ」
「は〜い」

「プシュー」と空気の漏れるような音がし、ドアが開く。
同時に、車内になだれ込む人々。降りる人のことも考えてよ・・・
「さて、これからどうしますか」
「まず、喉渇いたんだけど」
「御土産見たいですぅ〜」
「トイレトイレトイレ!」
意見もまとまらないまま、私達は駅の出口へ向かった。
15軋む赤絨毯の部屋 ◆Th/KWkdQ :02/04/23 01:19 ID:fMhLyTKA
「雨のち晴れ」

京都の空は、曇り。今にも雨が降りそうだった。
何の準備もなかったあたし達は、どこかで傘を買うことにした。
「あ〜、あったよ。あそこ」
「ほんとだ・・・助かったぁ」
小さな売店で見つけたのは、ビニール傘だった。
久し振りに見るなあ、ビニール傘なんて。野外コンサートでよく使ったっけ・・・
「あたし、ピンクがいいです」
「石川・・・子供じゃないんだからさ。みんな透明のでいいじゃん」
「圭ちゃん、別にいいじゃない。みんな好きなの。ね?」
久し振りに手にしたなあ・・・他愛ないものなのに、長い間触れてないとこんな風に思っちゃうんだ。
忘れていた感触に、思わず笑みがこぼれた。

「よ〜し、これで準備万端。どこで行けるね」
「うんうん。早く行こう。待ってらんないよ〜」
「あたし歩きはやだよぉ、疲れちゃう・・・」
「可愛いお土産ありますかねぇ?」
みんな思いを口々に話す。しかし、あたし達は肝心なことを忘れていた。
行き先・・・決めてない!
16名無し募集中。。。:02/04/26 05:08 ID:M/KBrOwd
漏れは娘。のエロ小説は読む気がしないので
こういうほうがいい。がんがれ。
17 :02/04/28 02:21 ID:15PWRCfr
18T:02/04/28 08:26 ID:KmvDkEAH
がむばれ
19 :02/04/30 04:29 ID:XLs3EF5d
hozen
20軋む赤絨毯の部屋 ◆Th/KWkdQ :02/04/30 04:53 ID:2o/tUZpb
こんばんは。こんな時間まで仕事です・・・
何かと忙しいので、もう打ち切ることにします。
皆さん、ご迷惑をおかけしました。それでは、消えます・・・
21  :02/04/30 17:03 ID:tzi3xoV9
えっ?
終わりですか〜
誰か新しい小説書いてくださ〜い
22名無し募集中。。。:02/04/30 22:30 ID:4QotfNrn
新参者ですが自分が書きましょうか。
23:02/04/30 23:14 ID:ki1qYt31
タノム
24ごちんをた:02/04/30 23:17 ID:LCtINFrT
小説ヘボかったり、不適切な表現、名誉を害する表現、があったら
勝手に荒すらしますので、そのときはごめんなさい
25名無し募集中。。。:02/05/01 02:33 ID:980syCvI
べつに後藤真希メインじゃなくてもいいのかな?
26名無し募集中。。。 :02/05/01 10:20 ID:QB51+ZB9
なんでもいーからカイテクレ
27名無し募集中。。。:02/05/01 10:36 ID:QB51+ZB9
ごめん、ageちゃった
28TIME:02/05/01 13:45 ID:z8DYVFVJ
辻主体で書いてくれ!
29名無し募集中。。。 :02/05/01 17:53 ID:OADjsGlB
あらかた構想かたまりました。
ゴマキスレですが、メインは違う人物になるかも知れません。
怒らないで下さい…
30名前は一応ある:02/05/01 19:19 ID:TVoUlcgX
誰が主人公でもいいよ。
まぁ無理せずにな。
31名無し募集中。。。:02/05/01 23:37 ID:CpyTStV8
とりあえず書いてみました。適当に読んでみて下さい。

(タイトル未定)
【1.戦国大名・のの?】


天下御免の富士山麓が猛々しく根を張る甲斐国。いわずと知れた戦国最強と名高い武田家の領国である。

――が、知るものは少ない。
この地の為政者が武田だけではないということを。

知る人ぞ知る富士の樹海。そこに踏み入れるものは必ず彷徨う、まさに異界の迷宮。
しかし、このような戦慄恐々、奇奇怪怪な土地をはるか昔より支配する一族…。

その一族の名は、――「辻」家。


ひと月ほど前、先代が原因不明の病に倒れ、急逝した。
その跡を受け継いだのが、辻家第25代当主・辻のの蔵、齢は十四。
名前からは想像し難いが、れっきとした姫君である。

のの蔵は、父の死よりも当主就任時の堅苦しくて形式的な儀式に激しく動揺していた。
その様子を見て一部の家臣は呟く。
「…こりゃあお先真っ暗だな…」

そして事態は急速に暗転する――が、これはそのほんの少し前の話。
32名無し募集中。。。:02/05/01 23:49 ID:CpyTStV8
朝。辻家の居城・「須志徳城」は今日も慌しい。

「のの蔵〜、どこ行った〜ッ!今日は『論語』の暗誦試験なの忘れたかぁ〜〜ッ!!」

バタバタバタと城内を目まぐるしく駆け回るのは、家老の保田圭。余人が見たら、
思わず腰を抜かしてしまうほどおぞましい…いや実に迫力のある形相である。

保田家は代々、辻家に仕える家老の家柄である。圭はその13代目で、三十路を三年前に迎えており、
最近では一週間おきにさりげなく出現する小じわに大層敏感きわまりない。
彼女の前で年齢や美容の会話が禁句なのは暗黙の了解として認知済みである。

先代が健在の時の保田は、その補佐的な政務を実直かつ正確にこなしてきた。
泣く子も黙るやり手の女執事として辻家をまとめ上げてきたその功績は大きい。

しかし、のの蔵が一家の長になるや、
仕事そっちのけで算術・礼法・一般常識などを叩き込む熱血教育係に徹していた。

それほどまでのの蔵の日常生活は目に余る。

城内くまなく探索したが、のの蔵の姿は見当たらない。諦めたのか肩を落とす保田。
もうみずみずしさの「み」の字も感じさせない頬に手を当てながらため息をひとつ。

『…最近、一気に老けたのは絶対のの蔵のせいだな…』

もう若かりしあの頃に戻れない保田。彼女はただ今、独身街道まっしぐら。
33名無し募集中。。。:02/05/01 23:53 ID:CpyTStV8
本日はここまでです。
他のメンバーはおいおい登場させていくつもりです。
それでは・・・。
34名無し募集中。。。:02/05/02 00:39 ID:cTFdP1wh
もう少しだけ更新します。
お騒がせして申し訳ありません。
35名無し募集中。。。:02/05/02 00:45 ID:cTFdP1wh
「あれれれれ〜〜。保田さ〜ん、また逃げられちゃったんですか〜?」

いちいち癇に障るその声…。うな垂れている自分を確信犯的に嘲笑うその声…。

「ちょっと、松浦っ!どうせあんたでしょ、ののを逃がしたのはッ!?」

バッと後方を振り返り、声の主を睨み付ける保田。
視線の先には松浦亜弥々(あやや)の姿が映る。彼女は、必死に笑いを堪えていた。

つぶらな瞳に、無邪気で愛くるしい笑顔。今や辻家の看板娘として周囲から絶大な支持を得ている。
そんな松浦を“鬼婆”保田はなにかと目の敵にする。

しかし、常人ならいとも簡単に石化させる保田の威嚇も松浦には全く通用しない。
松浦は至って平静、むしろその状況を楽しんでいる。

軽く松浦が仕掛けた。天使が小悪魔に変身した瞬間である。

「そんなカオしないで下さいよ〜、年増がもっと年増になっちゃいますよぉ」

まさに神をも恐れぬ発言…。保田がキレた。

「ああんッ? 何だと、このスットコドッコイめが!!」

「…その表現が既に古いんですよ…」

「うっ…(しまった、コイツと言い争って勝ったためしがなかった…)」

後悔する保田。急所を突かれ困惑の感は否めない。

「…ま、まあいいわ。ののが帰ってきたら私の所に来るようにいってよね、
 これは命令よ!」

きまりが悪くなった保田はそれだけ言い残すと脱兎の如くその場を離れた。


『へへ〜んだ。出直してこ〜い』

残り2、3歩で廊下を曲がりきり視界から消えていくであろう保田の後ろ姿に向かって、
「あかんべー」と舌を出す松浦。そこで保田が立ち止まり振り返らない事を祈りながら…。

「――くそッ、松浦がののとあんな関係じゃなかったら、即効でコレにするのにぃ〜」

保田は自分の首の手前を手刀で何度も空斬りしつつ、
悔しさで奏でられた足音を大袈裟に響かせながら執事室へと戻っていった。
36名無し募集中。。。:02/05/02 00:52 ID:cTFdP1wh
ふと疑問に感じたのですが、
これと良く似た小説って今までありましたか?
パクリと思われるのがイヤなので…
どなたか知ってたら教えて下さい。
今度こそ、では…

あ〜〜〜〜〜ッ!!!!!
「即効」⇒「速攻」でした。最悪…
37名無し募集中。。。:02/05/02 03:29 ID:o/JtI80i
松浦亜弥々、辻家の侍大将。この地位に就けたのは、のの蔵の身勝手な独断の賜物である。

父・松浦亜弥康(あややす)は平々凡々な足軽であったが、昨年暇乞いを願い出て、
今では悠々自適な隠居生活を満喫している。その職務を亜弥々が引き継いだ。

亜弥々とのの蔵は身分こそ大きな隔たりはあるものの、
幼少期から二人は実際の姉妹以上の友情と信頼関係を築き上げてきた。


亜弥々は忘れかけていた。二人で交わした秘密の約束のことを――。
そして、複雑に絡まる記憶の糸を懸命に辿り、誰もいない廊下で懐かしげに感傷に浸る。
38名無し募集中。。。:02/05/02 03:53 ID:CYW6Qbyb
(訂正+追加)<たびたびご迷惑をかけます…

松浦亜弥々、辻家の侍大将。この地位に就けたのは、のの蔵の身勝手な独断の賜物である。

父・松浦亜弥康(あややす)は平々凡々な足軽であったが、昨年暇乞いを願い出て、
今では野菜をつくりながら悠々自適な隠居生活を満喫している。
そして、決して脚光を浴びることはないその無益な職務を亜弥々が引き継いだ。


その後のどこの馬の骨ともわからぬ一少女の重職就任という異例の大抜擢は、
周囲の度肝を抜かせた。特に、猛烈な抗議する保田の姿が、
今でも脳裏に焼きついてはなれないという不幸な(?)家臣も少なくない。

だが、それにはそれなりの理由が存在する。

亜弥々とのの蔵は身分こそ大きな隔たりはあるものの、
幼少期から二人は実際の姉妹以上の友情と信頼関係を築き上げてきた。


亜弥々は忘れかけていた。二人で交わした秘密の約束のことを――。
そして、複雑に絡まる記憶の糸を懸命に辿り、誰もいない廊下で懐かしげに感傷に浸る。
39名無し募集中。。。:02/05/02 07:58 ID:SxKyhbFi
【2.あややのきおく】


――――――――――――

太陽は今にも向こうの山に隠れそうで、空は比較的暗めの赤色で彩られていた。

『…そうそう、あの頃は時間の感覚なんてなかったっけ』

しつこいくらいに響き渡るカラスの鳴き声を真似ながら、
二人は各々の帰路に着こうとしていた。
だが、この日は少々遊び過ぎたようだ。少し息を切らした亜弥々が声を掛ける。

「ふぅ、ちょびっと疲れたね。でもたのしかったね」

「あい、ののもくたくたなのれす」

「じゃあさ、あっちいこっか?」

亜弥々が促す先には腰をかけるには丁度よさげな岩がふたつ。そこに二人同時にちょこんと座る。

いかがわしい者なら、その様子を見世物にして暴利を貪ろうと考えるかも知れない。
そんな邪な可能性が否定できないほど、この時ののの蔵と亜弥々の仕草は無邪気で無垢、
自然と微笑みを浮かべずにはいられないものだった。


絡まった糸を丁寧にほどいていく度、色々と鮮明に蘇った。中でも印象的だったは、
のの蔵が持ってきていた竹筒の水を平等に分け合うはずだったのに、
自分ひとりでほとんど飲み干してしまった事か…。

『あのときののちゃん怒った怒った』

ふふふと口元が緩む。


――――――――――――


「…いいれすよ、ゆるしてあげるのれす。
 そのかあり、こんど…と…をもってきてくらさいね」

機嫌を直すための交換条件がなんだったのかは忘れてしまったが、
そんな事はどうでもよかった。むしろ、その後に発した自分の言葉を、
一語一句たりとも間違えないように慎重に確認しながら亜弥々は回顧する。
40名無し募集中。。。:02/05/02 08:04 ID:IHzs+3uJ
「…ねえ、ののちゃん。“ぎきょうだいのちぎり”って知ってる?」

「きゅーになんれすか。それはどんなあじがするのれすか?」

「やだ、ちがうよお〜。食べることしかかんがえてないんだから、もお」

てへてへと照れながら頭をポリポリ掻くのの蔵。

「あのね、おやこやきょうだいとおんなじくらい仲よくなる友達のことなんだって」

「へえ〜、あやたんはものしりなのれす。すごいのれす。
でも、あやたんとののはそんなことしなくてもとっくにかたいかたいゆーじょーでむすばれているのれす」

のの蔵がわからない。いつも妙なところで的を得た意見を述べる。

「それはそうだけど…あたしはやってみたいな」

「そうなのれすか?ならやってみるのれす」

「でね、でね、こういえばいいんだって。ちょっと耳かして」

辺りに人影は見当たらなかったにも関わらず、
重要な機密が漏洩するのを防ぐかのようにコソコソとのの蔵に耳打ちする亜弥々。
のの蔵は真剣にその旨を聞き取ろうとするが、
亜弥々の耳打ち行為が予想以上にこそばゆいのか思わず体が反応してしまう。

「ああ、ダメ〜。ちゃんと聞いてよ、ののちゃ〜ん」

「…らって〜」

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

「いい?いくよ、ののちゃん」

「あ〜い」

「あたしたち生まれた日はちがうけど、しぬときはいっしょだよ!」

「あい、いっしょなのれす」


「「ゆ〜びき〜りげんまん…」」


――――――――――――


あたしが五歳、ののちゃん四歳のある夏の日の夕暮れ。


“ぎきょうだいのちぎり”という言葉の持つ本当の重みに気付かないまま、
時間は無情にも一方的に過ぎて、そのまま大きくなったあたしたち…。


亜弥々は改めて誓った。

命を懸けてののちゃんを守らなきゃ――と。
41名無し募集中。。。:02/05/02 13:00 ID:84RNbs80
【3.辻家、滅亡の危機】


決意を新たにした亜弥々が第一歩を踏み出そうかとしたその刹那、
亜弥々の視界は漆黒の闇に閉ざされた。

『――えっ?なんなのいったい』

あくまで自称だが、沈着冷静な亜弥々もこれにはさすがに狼狽した。
しかし、次第にその謎が解けてきた。そして、確信を持ってこう言う。

「こらあ、こんなイタズラをするのは…ののちゃんでしょう?」

「えへへ、ばれましたか」

亜弥々の後ろから聞こえる、未だ幼稚さが残る声。振り返ろうとした亜弥々の正面には、
既にその人物の全貌が捉えられていた。なかなか俊敏な動作である。


――この人物こそ、辻のの蔵。辻家のお殿様…いやお姫様かな?。
比較的ふっくらとしたほっぺ。艶やかな唇。あどけなさが窺える八重歯。そして特徴的な髪型…。

のの蔵は、自分の中で日課と決めている朝の樹海散歩を終えて帰ってきたのだ。
42名無し募集中。。。:02/05/02 13:03 ID:84RNbs80
亜弥々は苦笑した、自分に対して。
よくよく熟慮さえすれば、自分の目が何かに覆われて暗くなったのなら、
それは単に目隠しされているだけだということに瞬時に判断しなければならないからである。

『やっぱり、自分の沈着さは所詮、“自称”程度か…』と脱力気味に痛感した。

しかし、亜弥々は不審に思った。時刻は丁度正午、ますます怪しい。
というのも、のの蔵の散歩は一応、「朝の」と設定されてはいるものの、
それは名ばかりで現実には夕方を過ぎての帰宅がほとんどだからである。

…まあ、ぶっちゃけてしまえば一日中遊び呆けているという訳だ。

感じた疑問を素直にぶつける亜弥々。

「ねえののちゃん。きょうは帰りがはやかったのね」

「へい、そうなんれすよ」

「どうしたの、どこか怪我でもしたの?」

他の可能性があることは解っていても、亜弥々はまず真っ先にのの蔵の容体を気遣う。
どうやら、あの決意は相当固いらしい。

「ののはけがなんかしてないのれす!」

ぷうと膨れるのの蔵。
『やりすぎたか』と自分の頭をコツンと小突く想像を巡らす亜弥々。

「…ごめんね、そういうつもりじゃなかったの…」

「へい、ゆるすのれす。
 あやちゃんとののは“ぎきょーだい”なのれす」

その言葉を聞くと、いやがうえにも亜弥々の心は熱さを増す。

「そうだよ。あたしとののちゃんは義兄弟の契りを結んだんだもんね」

「「ねーっ!」」

二人の高らかで陽気な声が辺りにこだました。
43井上ヤメタ:02/05/02 15:10 ID:McDx841K
おお、このスレもう終わったものとオモテタヨ
44名無し募集中。。。:02/05/02 17:57 ID:GMGRx9Oo
――そんな和気あいあいな雰囲気をここぞとばかりにぶち壊す不穏な空気が漂い出す。

ご存知、ご家老・保田圭の再登場だ。
「千客万来」というが、できればこの客の来店だけは勘弁願いたかった…。
のの蔵を自分の後ろに隠しながら亜弥々はそう思った。

保田は「怒髪天を突く」とか「修羅の如く」という形容でもまるで言い足りないないほどの、
そりゃあもう…なんというか…とにかくおっそろしい剣幕をなさっておられる。

乱暴に亜弥々を突き飛ばした保田は、
そのまま既に顔面蒼白状態ののの蔵の胸ぐらに掴みかかった。

「あんた、自分の立場わかってんのッ!!!!!」

『それはお互い様だろ』
思わず亜弥々はツッコミたい衝動に駆られた。

『――いったい、どこの世界に自分の主君の胸ぐらに掴み掛かる家臣がいるんだか…』

声には出さず、ただ成り行きを見守るのみ。下手に動けば、
かえって火に油を注ぐようなものである。

「い、いたい。いたい…の…れ…す…」

保田の太い腕を振りほどこうとしながら、半べそを掻くのの蔵。
大量の涙が今にも洪水のように溢れ出そうである。
45うたばんサイコー:02/05/02 21:03 ID:i8U1N8+p
ageよ
46名無し募集中。。。:02/05/02 22:14 ID:ZXNzoa8s
騒ぎを聞き付けてか、次第に観客もこの場に集まる。が、仲裁役を買って出る者は皆無である。
彼らはただそのやりとりを傍目で楽しむのみ。

運命を共にする事を互いに誓い合った義兄弟がここまで酷い仕打ちをされては、
さすがに亜弥々も静観を続ける訳にはいかない。たまらず静止に入る。

「――ちょっと、保田さん、やめて下さい!
 ののちゃん泣いちゃってるじゃないですか」

「黙らっしゃい。部外者はすっこんでなッ!
 だいたいアンタが悪いのよ、アンタがっ(ガミガミガミ…)」

怒りの矛先が一瞬で亜弥々に移る。

『なぁ〜んでやね〜〜ん、なぁ〜んでやね〜〜ん、なぁ〜んでや…』

理不尽にも限度がある、亜弥々は自分の不運さをひたすら恨んだ。
そして、亜弥々は覚悟を決めた。

『のの蔵が保田のねちねちしてやらしい呪縛から逃れられるのであれば、
 あたしは喜んでその防波堤係を務めよう』

なにしろ自分は辻家家中で唯一この“大魔神”の怒りを鎮めるどころか、
さんざん虚仮にすることもできるとの自負が亜弥々にはあった。

しかし、今はのの蔵の目前であるし、同僚たちもあたしたち三人に注目しているので、
こんな鬼婆のたわ言など相手にせず適当に聞き流しておく作戦に変更することにしたようだ。

47名無し募集中。。。:02/05/02 22:18 ID:ZXNzoa8s
「…あ、あの…やすらさん…」

なにやら言いたげなのの蔵。よほど怖かったのか、体はなおも震えている。

あまりにも弱弱しくか細い声だったので、それが耳に届いた者は誰ひとりおらず、
依然として亜弥々に対する集中砲火をやめようとする気配が保田には見られない。

「や、す、ら、さんっ!」

今度は鼓膜が破れるくらいの大声量。部屋で待機していた他の家臣たちも何事かと障子を開け、
身を半分乗り出す格好でこちらの様子を窺っている。

「なっ、なんなのよ、もう!」
保田は両耳に人差し指を差し込みながら、苦悶の表情を示す。

「…ののちゃ〜ん、声大き過ぎ…」
亜弥々は意外にも普通だ。のの蔵の腹から出した本当の声を幾度となく聞いてきたからである。

「……………のの蔵様…」
家臣一同は唖然、言葉を失っている。


「これをやすらさんに渡すようにいわれましたのれす」
のの蔵の手には一通の書状が。それを強引に奪うかのように自分の手にとり中身をあらためる保田。

「ねえ、ののちゃん。もしかして、今日早く帰ってきたのは…?」

「へい、そうれす。これを渡すためれす」

ようやく亜弥々の胸のつっかえは取れた。だが、のの蔵が即座にその書状を保田に渡してさえすれば、
自分はあんなに罵倒されなくてもよかったかも、ということも同時に感じた亜弥々である。

『たのむよ〜〜、ののちゃ〜ん…』
亜弥々は、のの蔵の歩調に合わせる事など到底無理だと観念しつつ、少し呆れた目で主君を見つめた。
48名無し募集中。。。:02/05/02 23:47 ID:sevl4uXs
直後、普段保田の口からは滅多に聞かれない甲高い声が周囲に響く。

「…ね、ねえ、のの!こ、これ、誰から受け取ったの!!?」

少し戸惑い気味の保田の様子に、ここ一帯の雰囲気は一気に張り詰める。家臣たちも表情を変えた。

「おさむらいさんれす」

「どんな風の!?」

まるでどちらが主か判断つきかねない二人の会話は尚も続く。

「それがよくわからないのれす。」

「なんで!?」

「ええっと…なんれしたっけ…アレのなまえ…」

「…はあ、アンタなに言ってんの!?」

「ああ、そうれすおもいだしました。“あみがさ”をふかくかぶってて…」

のの蔵の言葉が言い終わらないうちに保田は書状をクシャクシャと丸めた。
これ以上問い詰めても無意味である苛立たしさを行動に表したのであろう。
こうなると、保田の動きは速い。蟻の如く群がっている家臣たちに向かって叫ぶ。

「あんたたち、な〜にさっきから見てんのよッ!
 すぐに軍議を開くからボサッとしてないで大広間に集まって頂戴!」
49名無し募集中。。。:02/05/02 23:50 ID:sevl4uXs
言われるがままにスゴスゴと退散する家臣たち。その足取りは様々だが、
重苦しい方が過半数を占めていた。

そして、家臣たち全員がこの場から立ち去るのを見計らうと、
次にのの蔵と亜弥々に対して先程とはうって変わった深刻めの口調でひと言。

「…一大事よ。早く来なさいよね」

それだけ言うと、自らも大広間に向かおうとする保田。
嵐が去ったとほっと安堵の息をつくのの蔵。…だが、甘かった。

「のの、軍議が終わったら『論語』の試験やるわよ。
 あと『庭訓往来』の復習も忘れちゃだめだからね」

『なぁ〜んれやね〜〜ん』

楽園への入り口一歩手前で無情にも奈落の底へ叩き落されるのの蔵。
背景音はさしずめバッハのあの一節か…。
几帳面な保田は教育係としての任務も忘れていなかったようだ。

『あんな性格じゃ、殿方が寄り付かないのは当然ね…』

亜弥々は腕を組み、保田に対する偏見満載のひとりよがりな分析を展開していた。
そして、その横には冷たい床に両手と両膝をつき、絶望感と悲壮感に押し潰された可哀想な主君の姿…。


――知ってか知らずか、とことん憎まれ役を演じる保田圭。ただ今、
彼女は結婚適齢期を大幅に越した哀れな三十三歳。

50名無し募集中。。。:02/05/02 23:58 ID:SuHj5cpH
(訂正)
>>40 「のの蔵がわからない。」⇒「ののちゃんがわからない。」
   松浦の回想ですので

あと、第3部のタイトルは【3.なんでやねん】にします。 
   
51ヤグチダイスキ:02/05/03 00:39 ID:f8Nd/bOc
ガンバレヨ
52名無し募集中。。。:02/05/03 02:10 ID:eL7mSDPW
【4.さんにんだけ?】


未の刻――予定の時間より少々遅れた軍議の開催となった。

大広間の正面、一段高い上座に君主・のの蔵が座している。そして、彼女の視線の先には、
約20名ほどの家臣が左右両側にそれぞれ10名ずつ対称に侍している様子が映る。
しかし、のの蔵に軍議を進行する実権はない。次々に飛び交う家臣の意見を吟味するのは家老の保田圭の役目である。

保田はのの蔵から見て左側の一番前で正座している。つまり、ここが筆頭家臣の席なのであろう。
また、亜弥々の席は右側の先頭。一年前はこの場にいることすら許されない立場にあった、
今や保田に次いで辻家第二の重臣である。

保田がのの蔵に向かってしきりに目配せする。軍議開会の宣誓を述べるように示唆しているのだ。
コクと頷くのの蔵。懐にしのばせてある栗がしばらくお預けになると察したか、その表情はどことなく悲しげである。

「へ、へい…それでは、ぐんぎを…は、はじめたいと…おもうのれす…」

大半の家臣はのの蔵が何をいっているのか解らなかった。
保田、亜弥々を含めた前列の数人が辛うじて聞き取れた程度である。

「みんな、いい?これからこの書状を読むわ。
 間違いなく辻家の命運を左右するものだから、耳の穴ほじくってよ〜く聞きなさい」

保田がその書状を朗読する。その内容は次のような主旨であった。
53名無し募集中。。。:02/05/03 02:15 ID:eL7mSDPW
~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

はいけい
やっほ〜。辻家のみなさん、げんきぃ〜?
あのねぇ、ぼくたち今度またうえすぎぐんとたたかうんだよね。
つまり、ぶっちゃけていうと、おかねがいるんだよね〜。
でさあ、とつぜんで悪いんだけどぉ、きみたちがもってる金山あるじゃない?
その運営をさ、ぼくたちにいにんさせてほしいんだ。
べつに、イヤならいいんだよ。むりにとはいわない。
あ、そうそう。いい忘れてたけどぼくの兵士さんは三万にんぐらいいるんだよ。
きみの家のところは…千にんちょっとだっけ?
ごめんごめん、こんなコトどうでもいいよね。つい、じまんしちゃった。てへへ…。
じゃ、いいお返事きたいしてま〜す。
                                      けいぐ
ついしん
     おたがいできるだけ甲斐にきょーぞんしてたいね。できるだけね。
                                   たけだしんげん より

                                  ~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
54名無し募集中。。。:02/05/03 15:04 ID:zKzcCJpz
書状の内容をひとり既知していた保田だが、その一文字一文字を目で追う度、再度腸が煮え繰り返る。
唇は小刻みに震え、上下の歯が数秒おきにカチッとぶつかり微かな音が生じる。
さらに全身を見渡せば、玉のように吹き出した汗と充血した眼。
その眼はもはや人間のそれではない、殺気に満ちた飢えた野獣の眼…。

残りの家臣たちは、そんな保田の性格を十分承知していた。当然、次に起こすであろう行動も容易に予測できた。

『ビリビリビリッ』

皺くちゃの書状が今度は見るも無惨、真っ二つに引き裂かれた。
そのまま畳にたたきつけるが、所詮は紙、手応えはない。

特別激しい運動をした訳でもないが、保田は苦しそうだ。息絶え絶えで言葉を発する。

「…は、ハァ、ハァ………、ふ、ふざけてんじゃ、ないわよッ!!!」

足元に横たわるただの紙屑と化した書状を何度も踏み躙りながら、肩で呼吸を整える保田。
重ねて言うが保田は中身を一度改めている。にも関わらず、この取り乱し様である。余程憤りを感じたらしい。

「保田さん!少し落ち着いて下さい」

もはや見てられない、松浦亜弥々は興奮状態の保田に麻酔をかける覚悟を決めた。他の家臣は当てにできない。
彼らは下を向いたままで一言も発する気配もない、魂を除かれた抜け殻のようである。
55名無し募集中。。。:02/05/03 15:09 ID:sJRerrw/

         ____
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  /⌒  (6     つ  |   | こんな糞スレageるなんて、かあさん許しませんよ!
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 //  ,,r'´⌒ヽ___/     ,ィ
   /    ヽ       ri/ 彡
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 |    !     )`Y'''" ヽ,,/      / ̄ ̄ ̄ ̄\        
  ! l   |   く,,   ,,,ィ'"      /.         \ 
  ヽヽ  ゝ    ! ̄!~〜、       /           |    
  ヽ  / ̄""'''⌒ ̄"^'''''ー--、 :::|||||||||||||||||||||||||||||||||   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   Y'´          /    """''''〜--、|||||||||||||||||) < スマン!許してよ、母さん。
   (      丿  ,,;;''  ....::::::::::: ::::r''''"" ̄""ヽ   |    \___________________
    ゝ   ー--、,,,,,___      ::: ::,,,,,ー`''''''⌒''ーイ  ./      
    ヽ      \  ̄""'''"" ̄   \____/-、
     ヽ       ヽ  :::::::::::::::::::: /          `ヽ
      ヽ  丿   )       /    ノ   ゝ ヽ ,〉
       ゝ      !      /            ∀
        !     |      /   人     ヽ   ヽ
        |     ,;;}      !ー-、/  ヽ _,,,-ー'''''--ヘ
          |ノ    |      |  /    Y        ヽ
         {     |      |   j      )  作者    ヽ 
         〈     j      ト-.|    /          )

56 :02/05/03 15:35 ID:zscmzvB5
  
57名無し募集:02/05/03 16:21 ID:f8Nd/bOc
クソスレ誕生オメデト
58名無し募集中。。。:02/05/03 16:41 ID:bcW4D1Ij
がんがれ
59ROM ◆ROMuFK/w :02/05/03 16:43 ID:v/+Vz175
荒らしに負けず、頑張って下さい。応援しています。
60名無し募集中。。。:02/05/03 17:41 ID:zTtkjxbw
>>58さん
…えっと、これは応援して頂いていると判断してよろしいのでしょうか?
「かんばれ」という意味ですよね。ありがとうございます。
>>59さん
素直にお礼申しあげます。ありがとうございます。

まあ、こんなへったくそな文章ですから、多少のコトは
覚悟しています。
でも、自分は気ィ小さいので、あんまりやられたらヘコんでしまいそうです。
61名無し募集中。。。:02/05/03 17:45 ID:zTtkjxbw
「保田さん!少し落ち着いて下さい」

もはや見てられない、松浦亜弥々は興奮状態の保田に麻酔をかける覚悟を決めた。他の家臣は当てにはできない。
彼らは下を向いたままで一言も発する気配もない、魂を除かれた抜け殻のようである。

亜弥々はふとのの蔵の方に目を向ける。
――のの蔵は欠伸をしていた。どうやら「おねむ」のようだ。
大物かそれとも暗愚か、のの蔵の本質を把握しかねている亜弥々の耳に雷鳴が響く。

「アンタってほん……っとの馬鹿?この書状の意味、わからないの?これが落ち着いていられると思う!?」

「い、いや、そういう問題じゃなくてですね…(…そのくらい誰でもわかってるよ、このホクロ!)」

「これは明らかに辻家を脅迫しているのよ、よくそれで平気でいられるわね。信っじらんない!」

どこぞの阿呆な子供が適当に書いたような稚拙な文章――、だがそれが一層威圧感と圧迫感を強調させる。
謀略の鬼・武田信玄の狙いはそこにあった。家臣たちも依然、俯いたまま口を貝の如く閉ざしてはいるが、
おそらく信玄の真意は汲み取ってはいることだろう。

「――おのれ、信玄………。長年の約条忘れたか」
地団駄を踏む保田。その保田を一点に見つめる亜弥々以下辻家家臣一同。
――そして一家の長・のの蔵は…夢の中、だった。

『辻と武田の関係が今、音を立てて崩れていくーー』
保田の目からは似つかわしくない(?)光るものが溢れていた。
62作者:02/05/03 18:32 ID:vWYvVv0a
・・・はっ、しまった!!!
63 :02/05/03 18:48 ID:bbwiArFF
キタ━━(●´ー`●)゜〜゜ノ|`.∀´)〜^◇^)´Д`)^▽^)0^〜^)‘д‘)´D`)━━!!!!!
64ROM ◆ROMuFK/w :02/05/03 18:52 ID:v/+Vz175
>>62
更新お疲れさまです。
……っていったい何をやらかしたんだ!
それはおいおい作者の口から聞くとして…
これからも頑張って下さい。
65名無し募集中。。。:02/05/03 21:15 ID:yclI6sZI
>>64さんへ
大したことじゃないんですが、まだタイトルを決定していませんでした。

色々考えたのですが、なかなかいいのが思い浮かばなくて・・・

あと、この後更新する内容は「辻家と武田家の関係」を
長々と書き連ねていく予定です。
かなり読むのダリーです。鬱陶しいです。
お付き合いを・・・
66名無し募集中。。。:02/05/03 21:26 ID:yclI6sZI
みなさんに聞きたいことがあります。

そろそろ他のメンバーを登場させたいと思うのですが、
誰がいいでしょうか?
自分は、娘。小説でも定番の「中澤×矢口」「市井×後藤」「石川×吉澤」
をうまく絡ませる方法を知りません。
第一、市井のあとに娘。好きになったし・・・

そこのとこ、どうぞわかって下さい。
67シシシ:02/05/03 22:45 ID:y+Zy5Ug+
佐々とヤメテクレ
ツマラン・・・
68ROM ◆ROMuFK/w :02/05/03 22:49 ID:j79iDgeB
>>67
GWが終わったらさっさと帰ってください。目障りです。
69作者:02/05/03 22:58 ID:3e++8BrQ
ああ、やっぱり書かれてましたか

>>68さん ありがとうアナタだけが頼りです
70名無し募集中。。。(作者):02/05/03 23:13 ID:3e++8BrQ
…とりあえず、更新します
本編とはあまり関係ありません、正直書いてた自分も
途中でムカついてきました
では、どうぞ

―――――――――――――――

[辻家と武田家]との関係――それは数百年の歴史を持つ縁の深いものである。
九世紀初期、藤原氏摂関政治が絶頂期を迎え、京の都は華々しい貴族文化が開花した。


ある日、一人の下級貴族が時の摂政・藤原道長の命を受け、国司の任を授かり甲斐国へと東下していった。
任地に着くや、その貴族は愕然とした。周りは一面、山・森・林で囲まれており、田畑を開墾しようにも
それに適した平地はどこを見渡せど存在しなかった。

彼は考えに考えた。そしてある結論に達する。
『このまま無理に開墾活動を始めようとも、それには莫大な時間と労力そして資金が必要だ、
 しかもそれが必ず順調に進行するとも限らない。――ならばいっそ、この地形をうまく利用して
 甲斐ならではの事業を展開できないだろうか…?』

地元民の知識・援助も手伝って、彼の思惑は見事に的中した。
山を切り開き木材を加工して、京へ行商した。すると「甲斐の木は質がいい」と評判で瞬く間に需要が増える。
また、簡易果樹園の開設。これも当たった。彼の笑いは止まらない。

――だが、彼にとって何よりも嬉しい誤算だったのは、数多の金鉱の出現である。

一時は没落寸前の人間が屈指の大富豪にのし上がる平安版シンデレラストーリー。
権力の象徴である“金”を独占した彼は、藤原氏に次いで中央政界に多大な影響を及ぼす実力者へと変貌を遂げたのだ。


この人物こそ――辻のの長(ののなが)、辻家の祖である。


しかし、栄華は長くは続かなかった…。


71名無し募集中。。。:02/05/03 23:20 ID:2FPP2siG
最悪です・・・
「九世紀」⇒「十一世紀」の誤りです。

歴史背景完全無視ですいません
72名無し募集中。。。:02/05/03 23:56 ID:eH5fwqg4
藤原氏の衰退、院政の開始などの歴史的出来事を経て、時代は源平の争乱期。
壇ノ浦で平家を滅ぼした源頼朝が朝廷を圧迫し、
地方各地に守護・地頭の設置を承認させた事が辻家凋落の始まりだった。

甲斐国に赴任してきた武田信義が、何かにつけて辻に無理難題を吹っかけてくる。
しかし、それを無下に断る訳にはいかない。何故なら武田は源氏の一族、逆らえば潰されるのは目に見えている。
既にこの時の辻家にはそれを撥ね付けるだけの力を持ってはいなかったのだ…。
ちなみに、保田家が辻家に仕え始めたのはこの頃である。
つまり、代々の保田の一族も辛酸を舐め合い苦楽を共にしてきた辻家とは切っても切れない関係である。

その間にも武田の一方的な要求は続く。金山の割譲、工事の請求、責任の転嫁…。
そして、最も恐れていた事態が…。辻の領地を駆逐し始めたのだ。瞬時に甲斐の約八割が武田の支配下に収まる。

武田の赴任当時から、各々の領地の不可侵だけは互いに干渉しないという事は暗黙の了解であった。

思いもよらぬ武田の暴挙に辻は幕府に訴える。一応、訴状は認められたものの、
その判決は明らかに武田よりのものであった。

内容としては――「甲斐の金山十の内、その総てを武田に」「領地の配分は現状維持」
        「危険なる富士周辺の樹海は辻の所領とする」
などである。

源氏の断絶後も武田の勢力は衰えず、むしろ着実にその版図を拡大しつつあった。
さも当然の如く次なる横暴が辻を直撃する。武田と辻の私的約条の締結である。
その内容は更に過酷で痛烈きわまりないものであった。

「――武田の所有する金山一つを辻に譲渡する代わりに、辻の所領は富士樹海近辺のみを残し、
 あとは武田に経営権を委任すること」
「以降、この約条侵すもの、なんぴとたりともこれを許さず」

もはや辻は一般の領主が保持する権力も経済力も持ち合わせてはいない、最下級の領主へと凋落した。


「辻」は歴史の表舞台から姿を消した…。


そして時は現在、辻のの蔵の代へと移る。
73作者:02/05/04 02:07 ID:bcg7f5N2
イライラしたので
回想シーン早めに切り上げました。
中身は詰め込めたと思います。
もう少し更新します。
74名無し募集中。。。:02/05/04 02:08 ID:bcg7f5N2
辻家と武田家の泥沼の因縁。
辻家にとっては被虐的、屈辱的この上ないこの事実を保田家は代々継承してきた。
いつの日にか、武田に一泡吹かせる「臥薪嘗胆」の精神が保田圭にも自らの血として流れていた。

しかし、それを果たせていないどころか、逆に約条を破棄されかつ脅迫される破目になるとは…。
保田のやり場のない無念さは、止めどなくしたたり落ちる涙によって何とか表現できた。

「――圭さん…」
思わず下の名で保田を呼んでしまった亜弥々。こんなことは今まで一度もなかった。
普段は中々そりが合わない二人だが、人目をはばからずただ泣き続ける保田の心中を察すると、
亜弥々の心は悲しくそして切なく鼓動する。

「やだ松浦、アンタひょっとして私のこと心配してくれてんの?
 …あ〜あ、明日は大雨か……」

この期に及んでまでしきりに強がる保田。覇気はないものの憎まれ口を叩くのは変わらない。
だが、かえってそれが亜弥々を一層辛くさせる。
75名無し募集中。。。:02/05/04 02:10 ID:bcg7f5N2
「…今日はもういいわ。続きはまた明日にして…。じゃ、解散」
厚手の裾で痛々しく涙を拭う保田。軍議が閉会し無言のまま次々と大広間から出る結局何もしなかった家臣たち。
こちらまで貰い泣きしてしまいそうになるのを必死に堪える亜弥々。そして、爆睡中の殿様のの蔵――。


――夜が更けていく。あの後起きたのの蔵はあの緊迫した状況を知ることなく、ただ『論語』の試験が
延期になった事に最高の感激を覚えていた。
屋敷に戻った亜弥々は、布団の中でひとり結論の出ない思いを巡らす。
そして保田は心身困憊にも関わらず、未だ眠ることなく城内の自室で苦悩していた。


三人には気付かなかった。終始眠り続ける主君に冷ややかな視線を送るあの家臣たちの目を。
三人にはわからなかった。武田の脅迫に心底恐怖したあの家臣たちの胸の内を――。
76作者:02/05/04 02:13 ID:bcg7f5N2
今日は以上です。
もう書き溜めたストックもなくなりました。
これからは更新のペースが遅れるかも知れません。

追伸:まだ物語は序章です(序章の後編くらい)
   これから登場させるメンバー、本気で悩んでます。
77ROM ◆ROMuFK/w :02/05/04 10:13 ID:wBt2BGUr
更新お疲れさまです。
まだ序章なんですか。僕はあまり時代劇物を読まないので、
これからどんな展開になるのか楽しみです。
メンバーの事ですが、とりあえずキャラだけ作っておいて、
そのキャラに一番適合するメンバーを当てていけばいいのではないかと思います。
(見当違いの意見だったらスイマセン)
長文になりましたが、これからも頑張って下さい。
78GM:02/05/04 14:32 ID:ymhV8R72
ゴトー出してや〜
79作者:02/05/04 17:21 ID:mY+1hz9N
死にそう・・・
80名無し募集中。。。:02/05/04 18:52 ID:jlvktdy5
更新します。はあ、今悩んでます。頭で考えていることが
素直に文章になってくれないんですよね・・・。では、どうぞ。

ーーーーーーーーーーーーーーー

翌日、軍議は再開された。そして、特に紛糾することもなく閉会した。
それもその筈、保田の意見を残りの者がただ聞くのみ、というおよそ辻の命運を
左右する軍議とは思えぬ摩訶不思議な雰囲気が場を包み込んでいた。
亜弥々も今日に限っては終始聞き役に徹していた。昨夜、ひとりあれこれ模索したものの、
山積みになった辻家の難題を一気に払拭する、そんな魔術のような画期的な策などは
やはり亜弥々の脳裏に現れてはくれなかった。

亜弥々はこの期に及んでまで尚も黙する家臣たちを軽蔑していた。
無念に満ちた保田の涙――それをまざまざと目の当たりにしても、何の感情も
披露しない三流役者どもに不信感を募らせずにはいられなかった。

『………はぁ。今日は、もうなにもする気なんかないや…』

亜弥々の心に様々な「なにか」が交錯する。不安、焦り、苛立ち…もう何がなんだかわからないし、
どうでも良かった。

『はやく屋敷に帰って、ゆっくり寝よう。こんな時はそれが一番』

その旨をのの蔵に述べ、早々の帰宅の許可をもらおうと考えた亜弥々だが、
周囲を見渡せどのの蔵の姿はない。その頃、既にのの蔵は城の外。

『――ののちゃんったら、またお出掛け……?』

仕方なく無言で城を後にする亜弥々。重い足取りでようやく城門までたどり着く。
門番に軽い会釈を交わすが、目を逸らされたのは気のせいだろう、亜弥々はそう言い聞かせた。
81桃色:02/05/04 19:02 ID:/3ik9loF
アヤヤヤヤー
82名無し募集中。。。:02/05/04 22:57 ID:aBVGUr+s
「――これはこれは、松浦様」
亜弥々はだるそうに振り返る。その動作をするだけでまた疲労感が重なる。

男が立っていた。最悪だった。
胃の中のものが全て逆流する感覚が亜弥々を襲う。

脂の浮いた肌。
無駄に大きく光のない目。
左に微妙にひん曲がった鼻。
並びの悪い黄ばんだ歯。
そして、不潔さを象徴する無精髭――。

不完全さが完全無欠の奴と初対面したその晩、亜弥々の夢は奴が支配した。
83名無し募集中。。。:02/05/05 00:50 ID:XWQ21GWp
「――もし、松浦様?」
奴に魘されていた悪夢は奴自身の声によって掻き消された。

「は、はい。なにか用ですか?」
いくら反吐が出そうな相手でも、いくら役職が上位でも、年功序列を気にしてか
亜弥々は顔色を隠すように畏まって返答する。

「単刀直入に伺います。松浦様は殿のことをいかが思われますか?」

「ののちゃ…、じゃなかった。のの蔵様ですか?」

「いえ、その名でおっしゃって頂いて結構です。何しろ殿と松浦様の関係は
 周知の事ですしな…」

意味深に“にたあ”と口から黄ばんだ歯を覗かせる奴の姿に、亜弥々の体に凍えそうな悪寒が走った。
早くこの場から逃げ出したい、亜弥々の思考回路はそれ一つに集中して作動していた。
84作者:02/05/05 00:53 ID:XWQ21GWp
ふと疑問に感じたのですが、この小説、実は読んで頂けては
ないのでしょうか?
まあ、そうでしょうね。こんな下手だし・・・
もう一つあたためている企画があるんですが、そっちに浮気しようか
悩んでいます。(そっちもヘボいかも知れませんが)
85名無し募集中。。。:02/05/05 01:01 ID:H3vbgSJL
期待sage
心配しなくても漏れが読んでる
86作者:02/05/05 02:02 ID:uPBnXpyu
ありがとうございます。
その一言で励まされます。
87もう名前は募集してません:02/05/05 03:18 ID:kxd1iCVt
俺もコソーリよんでるYO!
88名無し募集中。。。:02/05/05 03:21 ID:xyeY4oAO
ちょっと元気になったところで更新。
読んでいる方はどんどん感想下さい。できるだけ真摯に受け止めます。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ののちゃんは…あたしの義兄弟です!それ以上、なにもありません」

「『義兄弟』――ですか…。相変わらず、甘いですなぁ」

「ど、どういうことっ?」

「そんな下らない絆に縛られていては、この時代を生き抜くのは難しいという事です。
 所詮、この世は弱肉強食。その由、どうかお忘れなきよう…」

見下すように奴は消えていった。
何事もなかったかの如く屋敷へと足を運ぶが、もう壁に手を支えながらでなければ
叶わぬほど亜弥々の衰弱ぶりは顕著化していた。


『………くだらない訳ないじゃないッ。ののちゃん、あたしたちいっしょだよ…』

――それからの記憶はなかった。
89作者:02/05/05 03:45 ID:tZ/FDkNN
新しいスレ立ち上げてそちらに移転しようとおもったのですが、

「ERROR スレッド多すぎです・・・」

と表示されます。
でも、新スレ次々と出てきてるのにおかしいな?
私のパソコンに異常があるのでしょうか?
90名無し募集中。。。:02/05/05 14:02 ID:QovRe0R/
その頃、のの蔵は樹海へと足を運んでいた。深く生い茂る薄気味悪い森の中を、
のの蔵はまったく躊躇することなく激しく腕を振りながら進んでいく。
のの蔵はこの地で生まれ、この地で育った。のの蔵にとっての“聖地”なのである。

今日も森を抜ける風が心地よい。特にこの季節はなおさらだ、そんな事を考えつつ
のの蔵の歩幅は一完歩ごとに広さを増していく。

もう少しでいつもの湖に着く。樹海という不気味な響きからは想像もつかない神秘的な湖。
そこは異様に透明度が高く、じっと目を凝らして覗き見れば産卵時期を迎えた魚たちの
愛の営みを垣間見ることができる。以外にもその穴場を知る者は非常に少ない、のの蔵だけの桃源郷――。

前に一度、亜弥々を誘った事があった。しかし、亜弥々は
「森自体はスキよ。でも、あそこの雰囲気がイヤなの」とうまくはぐらかした。

のの蔵はこれからのことを考える。きっと湖畔では色んな動物たちが自分を待ってくれている。
鹿、猿、リス、そして猛毒を持った蛇でさえものの蔵の前では不思議と従順な家来なのだ。
時間が経つのを忘れるくらい彼らと戯れるのが、今ののの蔵にとって何よりの快楽だった。
91テレグノ:02/05/05 19:57 ID:1lbAftIr
なかなか展開進まんね・・・
いい加減他の人物の登場 希望!
92ROM ◆ROMuFK/w :02/05/05 20:03 ID:82YiVvF+
更新お疲れさまです。
誰が出るんだろ…楽しみ…
これからも頑張って下さい。
93名無し募集中。。。:02/05/05 20:26 ID:IULXKvrA
両腕を羽のように広げ、風を全身に感じるのの蔵。だがそこで異変に気付き、
ぽつりと呟く。


「森が泣いているのれす…」


途端に踵を返し、進路を城の方向へ転換させた。

それはのの蔵の直感。理由などないが、こんな場合ののの蔵の勘は冴えに冴えまくる。
その勘を頼りにのの蔵は一心不乱に走る。すぐに苦しくなった。息が切れ脇腹に
手をやるが、そんな事で苦痛が緩和される訳でもないのでやめた。

「……や、やっぱり、最近すこし食べすぎたのれすかね…?」

保田の口やかましい忠告が初めて身に沁みる。しかし、旺盛すぎる
自分の食欲とはこれからも仲良く付き合っていきたいと思うのの蔵であった。


ようやく城が見えてきた。辻家の所領は人口およそ1500人程度の小さな村である。
従ってその過半数が辻家の軍事に従事する足軽隊となる。
自然、商業など全く繁栄せず、人々はわざわざ二刻も費やし甲府の町まで出て
必要物資を調達しに行く。また、痩せ細った土地が農業の断念も決定せざるを得ない状況である。
これは武田と辻の私的約条締結からの常識となっていた。

辻家の経済的基盤は何より金山からの収入が第一である。それが武田信玄の脅迫によって
奪われようとしている。仮にそれを手放すことになれば、辻家の決定的滅亡に直結する。
保田圭の憤慨は当然といえようか。
94作者:02/05/05 21:03 ID:ntnT32zo
もう何がなんだかわかりません。
ノイローゼもいいトコです。
せっかくですので、皆様で次に登場させたいメンバーを
決めちゃって下さい。

なおここにエントリーされていないメンバーは、
私なりのそれなりのイメージが固まっているということで
出していないだけです。いずれ登場するかも知れません。多分・・・

1.飯田圭織
2.矢口真里
3.市井紗耶香(あんまりキャラ掴めてないですけど、人気が高いらしいので)
4.石川梨華
5.吉澤ひとみ
6.高橋愛
7.紺野あさ美
95ROM ◆ROMuFK/w :02/05/05 21:07 ID:82YiVvF+
更新お疲れさまです。
僕としては、(0^〜^0)、川o・-・)あたりが希望です。
この2人をこの小説に出すといろいろ楽しませてくれそうなので。
以上です。これからも頑張って下さい。
96作者(無知男):02/05/05 21:13 ID:ntnT32zo
>>95さん

ありがとうございます。でも、

(0^〜^0) は誰で、
川o・-・)   は誰ですか?

スイマセン、無知なもので・・・

97名無し募集中。。。:02/05/05 22:13 ID:YcytyxQ2
村の中に入ると、数人の領民の姿が視界にとび込む。筋骨隆々の逞しい体型の彼らは鉱夫だ。丸太を連想させる
太い腕には血管が浮き、こけた頬に鋭く精気漲る目つきは男の中の男を想像させる。だが、彼らの様子は
少しおかしい。なにかソワソワして落ち着きがない。
彼らがのの蔵の存在に気付く。すると、明らかに動揺の色を表し、逃げるように各々の家の中へ
隠れてしまった。戸が少し開いた時、山の如く積み重ねられた荷をのの蔵は見落としていたようだ。

「………のの、きらわれてるのれすかね…」
のの蔵は悲しくなってしまった。

事実、領内におけるのの蔵の評判はあまり芳しくない。皆、先代の善政に深い感慨を感じていた。
それが一層、のの蔵に対する印象を悪くさせる。
無教養、無武芸、無作法。のの蔵の君主としての器量は一見小さく思える。
確かにこれらに精通する事に越したことはないが、もはやそれだけではこの下剋上の風潮高まる
戦乱の世には適応しないのかも知れない。


――時代が大きく変わろうとしている。
98名無し募集中。。。:02/05/05 23:03 ID:TJji99uZ
鉄砲の伝来、ザビエルによるキリスト教の布教活動…。日本はもう日本単位で行動できなくなってしまっていた。
これからの指導者に求められる要素、それは「時代を見る眼」。直感鋭いのの蔵にそれが
備わっていると考えていたのは、義兄弟・松浦亜弥々。そして、普段は厳しい保田圭ものの蔵の可能性に
密かに期待を寄せていたのは、誰も知らない保田だけの秘密。

須志徳城に戻ったのの蔵は疲れてしまった。亜弥々も既に帰宅した旨を聞くと、更に
瞼が重く感じた。眠くなった目を擦りながら、寝室へ向かうのの蔵。
不運にも、途中で保田と鉢合わせした。

『……ああ、またどやされるのれす。しけんなのれす…』

思わず後ずさりするのの蔵。その額には冷や汗が滲んでいる。しかし、
保田は一礼だけすると、別段何も言わずにそのまま通り過ぎていった。

『――やっぱ、なにかがへんなのれす』

のの蔵の予感はいよいよ現実味を増してきた。だが、その正体を突き止める事はせずに
睡魔の前に屈してしまったのの蔵がいた。


そして、また夜が明けた――。
99作者:02/05/05 23:09 ID:TJji99uZ
一応、ここまでが序章です。ああ、疲れた。
今、思えば必要なかったのかも知れません。
でも、「あややのきおく」は是非書きたかった場所なので、このような状況になりました。
次は、やっと本編です。そろそろメンバー登場します。
この小説の目的は、保田の観点からしたら
「打倒、武田信玄!」ということになるのでしょうが、それはまだ
なんとも言えません。私自身、何にも考えていないのですので…
今日は更新ここまでです。長ったらしい文章になって恐縮です。
では…
100名無し募集中。。。:02/05/05 23:33 ID:xhMH7ZFn
>>96
作者ならちったあ調べてこいよ
101ヘボ作者:02/05/06 01:30 ID:0zSaKj++
申し訳ありません
弁解の余地もないです・・・はい
102アホ作者:02/05/06 01:32 ID:0zSaKj++
――で、誰なんですか?
103名無し募集中。。。:02/05/06 01:37 ID:dNxrFQT7
(0^〜^0) は、よすぃこ
川o・-・) は、ビューティー
104名無し改めななし:02/05/06 09:51 ID:2ACQ5Mey
本編です。
が、メンバー登場はもう少し先になりそうです。
では、更新


ーーーーーーーーーーーーーーーー


辰巳の刻。雀たちの陽気で快いさえずりにより、のの蔵は爽快に目を覚ます
――はずだった。

いつもこの時刻になると毎度毎度ご丁寧に城内を響かすあの足音。なんの迷いもなく
一直線にこの部屋に向かってくるあの足音…。のの蔵は飛び起きた。
それは間違いなく条件反射的になっていた。あと三歩で来る。……二歩……一歩…。
勢いよく障子が開く。そこにはお決まりの人物が立っていた。
…そしてお決まりの台詞を言うものかと思っていた。

「ののッ、大変!すぐに起きてコッチ来て!」

「あ〜〜れ〜〜ぇ〜〜」

何のことかこれぽっちも理解できないまま、のの蔵は保田の怪力によってなす術もなく引き摺られていく。
その時尻に生じた摩擦によってのの蔵の意識は完全に覚醒した。
105名無し改めななし:02/05/06 15:06 ID:bpbysEpn
ROMさん、返事が遅れまして申し訳ありません
あなたの意見、できるだけ取り入れるように尽力致します。
ちょびっと更新(今、いっぱいいっぱい)


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……ありゃま?」

目が点になるとはこういう事をいうのだろう。ただっ広い空間の中の丁度中心あたりで、
こちらに背を向けた状態で一人正座している人物にのの蔵の焦点は釘付けになっていた。
その背中には見覚えがある、いや忘れるはずがない。だが、微妙な違和感がのの蔵の確信をためらわせる。
どことなく小さい、意気消沈した背中。たまらずのの蔵は声を掛ける。

「あやちゃんれすかぁ?」

振り返った人物は紛れもなく松浦亜弥々その人である。その言葉に即座に反応すした亜弥々は、
飢餓に苦しむ孤児を見るかのような不憫な視線をのの蔵に送る。その視線の
意味を考える暇もなく、いとも簡単にのの蔵は畳に押し倒された。

「………の、の…ののちゃんッ!」

「なにするのれすか!?いたいのれす!」

のの蔵は自分の上に覆い被さる亜弥々に必死に抵抗するが、華奢に映る
亜弥々の力はなかなかどうして、何度試みてもびくともしなかった。
見上げると亜弥々は泣いていたようだ。それも号泣。その証拠に涙で化粧がとれた亜弥々の
まだ張りのある顔はクシャクシャになっていた。そして言葉にならない声を発する。


「―――いの…」

「ほふぇ?」

「いないの…」

「ふぁあ?」



「みんないないの!どこにもいないの!!!」



「なんれすと〜〜〜〜〜!!!!!?」

それだけ叫ぶと、のの蔵は固まってしまった。
106アンポンタン作者:02/05/06 23:09 ID:7HJTL+8e
作者です。
えー色々と考えたのですが、どうも話のグダグダ感が顕著になって参りました。
ということで最初から訂正します。
ご迷惑をおかけしますが、ご了承下さい。

まずは新規更新、第1回目ということで・・・


ーーーーーーーーーーーーーーー


(1)

永禄三(1560)年二月。甲斐国ではひとつの大きな転換期を迎えようとしていた。

甲斐で武田家と双璧をなす戦国大名・辻のの秀が原因不明の病に倒れ、急逝した。享年三十五。
甲斐統一一歩手前での無念の死であった。

しかし、残された者は、この若き主君の死にいつまでも悲しんではいられなかった。
一時は劣勢に立たされていた武田信玄がここぞとばかりに勢力挽回を目論む。
『風林火山』の旗印の如く、信玄の戦術は一切の無駄がなく完璧なものであった。
甲斐最大の都市・甲府までも攻略され、辻家の領地は南部の一部にまで駆逐される。

しかし、辻家を襲う不幸はこの程度では済まされなかった。
鬼謀の将・信玄の調略により辻家古参の家臣が次々と武田に投降する。

今や辻家に仕える武将はわずかに二人。
もはや辻家滅亡は火を見るより明らか、と人々は口を揃える。


――しかし、のの秀の遺志を継いだ辻のの蔵は燃えていた。

『父上のむねん、こののの蔵がかなやず晴らすのれす!』


群雄割拠の戦国時代に波乱を巻き起こす風雲児誕生の瞬間であった。
107アンポンタン作者:02/05/06 23:11 ID:7HJTL+8e
いかがでしょうか?
結構スリムにまとまったと思います。
この調子ならすぐに登場人物も増えることでしょう。
では・・・
108アンポンタン作者:02/05/06 23:53 ID:VKv70bNm
(2)

駿河国との国境近い甲斐南部の山奥――明らかに場違いな感じが否めない一つの建築物。
『旗棒田城』。現在の辻家の居城である。

この城は場所柄、兵士の駐留や防備に適していない。
この城の存在意義は、ここから見下ろせる一本の軍道の監視、その一点のみ。

信玄は駿河の有力大名・今川義元と同盟中にあり、辻は北に武田、南に今川と挟撃を受ける格好となる。
今川が辻を攻めるとなると、必然的にこの道を通らざるを得ない。それを見越して、
のの秀が生前築城したのであった。

この城が中継の役割を果たし、当時の甲府城の主・のの秀に迅速に伝令が届く。
そのおかげでのの秀は今川の侵攻を幾度となく退けてきた。

このような点から考察しても、のの秀が名君であったのは間違いない。
しかし、のの秀の夭折によって状況が一変してしまったのは先に述べた通りである。
109アンポンタン作者:02/05/07 04:11 ID:XmxMISkT
あー、寝られないッ!
GWも終わったというのに…
更新します


ーーーーーーーーーーーーーーー


旗棒田城の一室・主の間。
今ここで、一人のうら若き乙女と一人のおばちゃ…いや色気ムンムンの熟女が
今後の対応策を協議するためそれぞれ躍起になっている――はず。


「――いやあ、本当に困っちゃいましたねー」と、まるで他人事のように話を切り出す超楽観的な娘っ子。
『松浦亜弥々』、齢十五。辻家の侍大将でその愛くるしい笑顔が世の男性を虜にする。

「……あのね、今どういう状況かお解り…?」
亜弥々の言葉にいささかもツッコむ素振りを示さず、あくまで冷静を努める三人の中で一際浮いた存在…。
辻家家老・『保田圭』。齢三十云々にして未だ独身の、仕事一筋に生きてきた逞しき女性である。

「やだなー、保田さんったらす〜ぐムキになっちゃうんですから。
 そんなことだから、いつまで経ってもいい殿方に巡り会えないんですよぉ」
亜弥々が茶化す。保田がキレる。

「だーかーらー、そんな事はどうでもいいッ!さっさと今後の対応を考えろ!!!」

「うふふっ」と亜弥々は笑みを漏らす。

「なっ、なにがおかしいのよ!?」
不敵に笑う亜弥々を咎める保田。

「だってぇー、保田さんが言うと『そんな事』が『損な事』に聞こえちゃって…。
 ふふっ、“売れ残り”の保田さんにピッタリですね」

「!!!!!」


…どうやら役職は保田の方が上でも、口喧嘩に関しては亜弥々が数枚も上手のようだ。
110アンポンタン作者:02/05/07 04:16 ID:XmxMISkT


ピシャっ


突然、勢いよく障子が開いた。気持ちのいい音が部屋全体に響く。
二人の漫才めいた掛け合いはこれにより中断され、
暫し無言のまま開かれた障子の先の人影に視線を送る。


「“ひと”をあつめるのれす!!!」
幼稚な声質とは裏腹にしっかりとした口調の不均衡極まりない声が沈黙を破る。


「…な、なによ、のの。藪から棒に」と保田が手を心の蔵に抑えながら尋ねる。

「…そ、そうだよ、ののちゃん。ビックリさせないでよ」
これには亜弥々も同意見のようだ。

「ひとをあつめるのれす。
 それ以外にこのじょーきょーをだかいするてだてはないのれす」
二人の声が届いていないのか、“のの”なる人物は悪い魔法に掛けられたかの如く
その言葉をひたすら連呼し続ける。


十中八九の確率で語尾に“れす”が付くこの人物こそ――『辻のの蔵』、齢十四。
滅亡寸前と噂される辻家の当主である。

名前からは想像つきかねるが、のの蔵はれっきとした女の子、普通の身分なら異性を意識し始め、
心ときめかす時期であろう。だが、のの蔵は落ちぶれたとはいえ一国の主、
しかも名君・辻のの秀のたった一人の忘れ形見である。恋に現をぬかしている場合ではなかった。
111アンポンタン作者:02/05/07 04:21 ID:+v7CItqS
(訂正)
>>109

「三人の中で」を削除して読んで下さい。ゴメンなさい。

もう寝ます。朝早いので・・・
112佐々とオワッテネ:02/05/07 10:23 ID:SuREUwnC
二番煎じはもういい
ササとやめてキエテクレ!
113アンポンタン作者:02/05/07 13:56 ID:b3nYnIy+
更新・・・します。はあ。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

なおものの蔵は言葉を続ける。

「このままでは信玄にほろぼされるのは時間の問題なのれす。
 この家には戦に強いもさはいないのれす。だからひとをあつめるのれす」
一見、実にもっともな意見である。のの蔵にすれば上出来も上出来、敬意に値するが、保田が反論する。

「…のの。解らなくはないけど、一体誰がこんなお先真っ暗なところに
 喜んで仕えてくれると思う?」

「…そ、それは……」
のの蔵は言葉に窮し、うな垂れてしまった。

保田の見解も理に適った見事なものだ。伊達に独身生活を三十数年間貫き通してきた訳ではない。
114ROM ◆ROMuFK/w :02/05/07 16:49 ID:2Q3kho4q
>>113
2番煎じやったらそりゃ叩かれるよ。前終わったとこからの続きキボン
115アンポンタン作者:02/05/07 18:26 ID:6OJov8hR

まさしくその通りである。辻家の家臣がことごとく離反した原因が、一にも二にも信玄に調略ある
ということは先述したが、実はのの蔵の君主としての器量に対する不信感という理由も拭いきれなかった。
先代ののの秀の才知が抜群であっただけに、どうしてものの蔵が霞んでしまうのだ。
世間では『七光りのの蔵』や『鷹が鳶を生んだ』と揶揄されることも少なくなかった。

己の保身のためか思いもよらぬ好条件を提示されたかは知らぬが、古参の家臣たちは
のの蔵を見限り武田へと奔走した。無論、のの蔵の心痛は相当なものであったが、
今は極力思い出さないようにしているらしい。

土地も人材も失ったのの蔵だが、二つだけ宝石が残った。保田と亜弥々である。
のの蔵は彼女たちがただ側にいてくれるだけでよかったのだ。

歳も近いせいか、亜弥々と義兄弟(姉妹)の契りを結んだ。つい最近のことである。
これにより、亜弥々との絆は一層深まったのは言うまでもない。
116アンポンタン作者:02/05/07 18:29 ID:8RYt/0w3

その亜弥々が一つの光を導き出す。
「ねえ、ののちゃん。ちょっと考えてみたんだけどさあ、
 のの秀さまって隠し財産とか残してないの?あれだけの方だったから……」
「あっ!!!」
亜弥々の言葉を遮る大声で保田が叫ぶ。
「なんれすか、それ…?」
のの蔵は知らなかったようだ。保田は慎重に回顧する。
「……そ、そうだった。すっかり忘れてた…。のの秀さまは亡くなられる直前、
この城のどこかに莫大な金塊を埋めたっていう話を聞いたことがある」

信憑性は十分にある。なにしろ甲斐は日本有数の金産出国である。

のの秀軍の強さの秘訣は、この金による特殊傭兵部隊の編成にあった。その命の源といえる
金山ものの秀の死後、信玄にすべて奪われてしまった。これは傭兵隊の瓦解を意味していた。

「でも、どこなのれすかねぇ…?」
「ちょっと待ってよ、のの。あんた、のの秀さまから金塊のコト、
 なんにも聞かされてないの!?隠し場所とか秘密の暗号とかさ…」
「!」
何か思い出したのか、のの蔵の表情がみるみる曇る。亜弥々はそれを見逃さなかった。
「な、なにか心当たりが、あるのね?」
「………………」
のの蔵は答えない。苛立つ保田が執拗に迫る。
「言いなさい、国家の一大事なのよッ!!!」
「あのぉー保田さん。唾とび過ぎ……」
「黙れ!」
「………(性根悪ッ!)」
117アンポンタン作者:02/05/07 18:31 ID:8RYt/0w3

黙秘で事無きを得ようとするのの蔵だが、そうは問屋が卸さない。
保田のねちっこい取調べは依然継続中である。そして、遂に…。
「……いいだぐ、ない、の…じぇしゅ…」
「あ〜あ、泣かしちゃった。保田さんのせいですからねっ!」
「ああもう、わーったわーったからさ、もう泣かないの!
 …はいはい、オバちゃんが悪うございました。どうかご勘弁下さい、のの蔵さま」
「――ゴメンね、ののちゃん。オバちゃんも悪気があって
 きつく怒鳴った訳じゃないと思うの。そこのトコ解ってあげて」
「松浦ぁ!お前が“オバちゃん”って言うなッ!!!」
亜弥々、完全無視。だが、直後の出来事であった。
「……わがりまじだ、のれず。いうのれず」
「そう。ありがとう、いい子だよ、あんたは…」
保田が皺くちゃ顔ののの蔵の頭を優しく撫でながらぽつりと呟いた。のの蔵の涙は
嬉し泣きに変わったのだろうか、そんな事を考えながら二人を見つめる亜弥々であった。
118アンポンタン作者:02/05/07 18:35 ID:8RYt/0w3
3.

泣いて泣いて泣き疲れたのであろう、すぐにのの蔵は保田の膝を枕代わりにして死んだように眠ってしまった。

保田と亜弥々の二人は、一刻も早くのの蔵が知っている『なにか』の正体を突き止めたい衝動に
駆られたが、純真無垢なのの蔵の寝顔を見ると、そんな気持ちはどこか遠い空へと消え去っていた。

保田がのの蔵のふっくらとした頬に人差し指を軽く突き、それを自分にも試す。おそらく肌の弾力性を
比べているのだろうが、亜弥々にはその仕草が可笑しくてたまらない。必死に笑いを堪える。
その時、ふいに保田が亜弥々に尋ねる。
「ねえ松浦。この子ってホントに不思議だよね」
「はい?」
急な質問に亜弥々は戸惑いを隠せない。だが、保田は構わず続ける。
「何であんたは武田に降らなかったの?
 松浦んトコにも来たんでしょ、信玄の勧誘」
「…その言葉、そっくりそのままお返ししますね」
「そう答えると思ったよ。わかりやすいね、あんた」
「……………」
「私ね、どうして残ったのか自分でもわからないんだよね」
「えっ」
「もちろん、のの秀さまから受けた御恩も忘れ難いものだったんだけど、
 この子には、人を『のほほん』ってさせる力っていうかそういう雰囲気が
 あると思うの。なんかうまく言えないけど…」
「のほほん、ですか」
「あんたがののと“義兄弟の契り”みたいなのを結んだ理由も、
 それに近いものがあったんじゃないかって」
「言われてみれば、そんな気もしないではありません。
 一つ言えるのは、同情とか哀れみとかで結んだものでは絶対にないです」
つい声を張ってしまった亜弥々は、咄嗟に口を押さえる。だが、のの蔵は自分の寝息で
相殺しているのか、まったく起きる様子もない。亜弥々は安堵のため息をつく。
すると、保田が亜弥々の耳に信じられないことを囁く。
「お願い、私も義兄弟に入れ…」
「お断りします!!!」
その間わずか0.1秒、忍者もビックリ仰天の早業であった。
119アンポンタン作者:02/05/07 18:41 ID:oKUJXIFv
ROMさん、いつも書き込んで下さり本当にありがとうございます。
申し訳ないのですが、やはりアレは自分でもちょっとヒドいと痛感しました。

どうか長い目で見てやって下さい。
わがまま申し上げてごめんなさい。
120ROM(しばらく戻りません):02/05/07 18:53 ID:9tAUa09z
>>119
114のカキコですが、アレ実は名無しで書くつもりだったんです。
某スレで「半年の間コテハンでカキコしない」って言ってしまったので。
というわけで、11月までこのコテハンは使いません。それまでずっと名無しです。
作品は読み続けます。それでは。
121ごま乳:02/05/07 19:56 ID:z8Wo6unC
ごっちんのエロ小説書いて〜
122アンポンタン作者:02/05/07 20:57 ID:9S0aS/Up
4.

のの蔵が起きたのは、それから数刻した後。既に日は沈み、夜がその出番を迎えていた。
闇に閉ざされただだっ広い大広間(主の間)の丁度中央付近で、三人は円になる状態で座っている。
その円の真ん中に一本の蝋燭が灯されているため、辛うじてお互いの姿を窺うことができた。

――傍目からすれば、その状況は間違いなく怪談話に華を咲かせている
三人の物好きな女性と誤解されることだろう。

口火を切ったのは保田である。
「もう大丈夫ね、のの?」
流石に年長者、同じ轍は踏まない。まずのの蔵を気遣うことから始めた。
「…へ、へい。もう、泣かないのれす」
のの蔵が少し逞しく見えるのは気のせいだろうか。そのまま気丈に語り続ける。
「――あ、あれは、父上がしぬ三日前のことれした。もうげんきのない父上が
 ののを呼んだのれす」
「うんうん、それで?」
興味深げに亜弥々が相槌を打つ。
「父上はふところからてがみを出して、それをののに渡してくれたのれす。
 中には詩が書いてあったのれす」
「“辞世の句”…ね」と保田がひと言呟く。
「――で、なんて書いてあったの?」
亜弥々が尋ねると、のの蔵はまたがっくりと俯いてしまった。
「ふーん。どうやら原因はその“中身”にあるようね」
「…へ、へい。そうれす…」
「ののちゃん、まだそれ持ってるの?」
亜弥々がそう言うと、のの蔵は帯の中から一通の書状を取り出した。
「――どれどれ…」
蝋燭一本の明かりで内容を改める保田。亜弥々も横から覗き見るが、保田が咎める。
「ちょっと松浦!あんたがそんなトコいたら、影になって
 見えないじゃないのよッ!ただでさえ暗いっていうのに…」
「えーそんな殺生なぁ…」
123アンポンタン作者:02/05/07 23:07 ID:S8udMKPC
―――――――――――――――

保田が確かめた後、なんとか亜弥々も読むことができた。だが、二人の表情は場所が場所だけあってはっきりしない。
「――松浦、あんたわかった…?」
「いーえ、さっぱりですうっ!」
「あ、そう……(やる気あんのか、このボケ!)」


その書状には次のような詩が詠まれていた。

あら無念
          末期の水を
               とりたる者は
          阿呆の妹では
               旗悪しきけれ

妹は“いも”と読み、この時代ではそのまま「妹」という意味合いだけではなく、
「妻」「恋人」「娘」などと広い範囲で女性を示す語であったらしい。

のの蔵はこの詩を見た時、ちんぷんかんぷんで家臣を捕まえては手当たり次第にその意味を聞きまくったという。
だが、家臣たちは皆、苦笑いするだけでそそくさと立ち去ってしまう。業を煮やしたのの蔵は
街一番の知識者に教えを乞いに行ったが、その解釈はいたいけなのの蔵の心に深く傷付けるものだった。

(解釈)甲斐統一寸前で力尽きるとは…
    自分の跡を継ぐ者が、こんな無能な娘では
    すぐに信玄に形勢を逆転されよう
    嗚呼、死んでも死に切れない…

甲斐を一つにまとめ、それを足がかりに天下覇業の大志を抱いた戦国大名・辻のの秀の悔恨に満ちた一句であった。
しかし、保田と亜弥々はこの詩に何か別の意味が含まれていると信じてやまなかった。それは生存中ののの秀の、
娘に対する異常なまでの溺愛ぶりから容易に汲み取れる。二人はこの詩を何度も頭の中で暗誦した。

「保田さーん、その後どうですか〜?」
「ダメ、お手上げ」
「でも、なにか手がかりがあるはずですぅ」
「がんぶぁれ、まつーら。あんたでゃけが、ふぁ…た、より…よ」
「エッ!?保田さんは…?」
「zzzzz」
「………(このホクロ、殺す!)」
果たして松浦亜弥々に推理の女神は微笑むのだろうか?
124アンポンタン作者:02/05/08 01:20 ID:/lHpjwa0
―――――――――――――――

更に数刻。世間でいうところの『草木も眠る丑三つ時』である。
亜弥々の集中力は既に限界に達していた。睡魔、孤独、尿意の三国同盟が亜弥々に容赦なく襲い掛かる。

『おしっこしたいよぉ…。でも、怖いよぉ…』

あとわずかで蝋燭もその役割を果たし切ろうとしていた。
この部屋が真の闇に包まれるのもそう遠くない未来にある。

亜弥々は段々腹が立ってきた。
そして、保田のお世辞にも綺麗とはいえない寝顔が亜弥々の怒りを増幅させる。

『……あほくさ。なんであたしがこんなことしなくちゃならないのよッ!?』

『だいたい金塊なんてホントにこの城にあるの…?』

『やーめっぴっ。ねよねよ。ホクロには責任とってもらわなくっちゃ』

何もかも放棄し、大の字に寝転がる亜弥々。
そのまま首を横に傾けると、顔は見えないがちっちゃなのの蔵のシルエットが映る。


『………………』


『………もうちょっとだけ、頑張ってみよっかな…!』


亜弥々は起き上がった。のの蔵が自分に最後の力をくれたのだと確信した。
…だが、その継続時間は思ったより短かった。
125アンポンタン作者:02/05/08 01:23 ID:/lHpjwa0


『……ふぁあ。もう今日は終わりにしよ…』

『また、明日。一から出直しか、ふぁああ……』

『もし一生わかんなかったら、マジで辻家はお先真っ暗かも…』


『………ふぁ………おやすみ……』


『………ねむ………』


『………………』



「!!!」



『――ひょっとして、これは…?』

亜弥々の思考回路はフル活動する。睡魔を打倒し、恐怖を克服し、尿意を我慢した亜弥々の脳裏に、
仮定ではあるが一つの結論が導かれた。そうなると亜弥々の行動は非常に速い。
傍らで惰眠を貪る二人の幸せ者に喝を入れる。

「おーーーきーーーるーーーッ!!!」

のの蔵と保田の鼓膜はいとも簡単に破れた…。

126アンポンタン作者:02/05/08 02:20 ID:WtINmLTV
5.

のの蔵と保田は、未だに現実と夢の狭間を彷徨っているようだ。
そこに、鼓膜損傷というありがたくもないおまけが付いてきた。

そんな二人を気にも留めず、亜弥々はひとりマイペース道を歩く。
ぱんぱんと二回手拍子を叩き、二人の注意を引こうと努める。

「はいはい二人とも、いつまでも寝てたら駄目ですよ。これから亜弥々ちゃんの
 天才的名推理が聞けるんですからね」

完全に自己陶酔状態に陥った亜弥々。推理もいつの間にか「仮定」から「絶対」へとグレードアップしていた。
しかし、保田の機嫌は最悪である。声のトーンも最悪、寝起きの顔はもっと最悪だった。

「………あんね、明日にしてくれない」

「えーーッ!金塊の在処がどこか知りたくないんですかァ!?」

「……こういっちゃなんだけど、あんま期待してないし…」

「……そ、そうですか。は、ははっ(この鬼ボクロめが!!!)」

亜弥々は悔やんだ。これではせっかく恐ろしい思いまでして、
替えの蝋燭を取りにいった苦労が水の泡である。
しかし、神は亜弥々を見捨てはしなかった。救世主の降臨である。

「……あやちゃん。ののは、あやちゃんのすいりが聞きたいのれす」

「ありがとぉーーー!もーお、ののちゃんかわいいッ!!」

持つべきものは義兄弟である。
亜弥々はのの蔵に抱きついて、すりすりと頬擦りする。


「――コホン。それでは只今より、松浦亜弥々の
 『のの秀さまの辞世の句に隠された本当の意味は?そして金塊の在処は?』講座を
 始めまーす。それ拍手拍手ーっ!」

百人以上は入ろうかという大きな部屋の中で、二人分の小さな拍手が微かに響く。
ネーミングセンスゼロの講座の開講である…。
127アンポンタン作者:02/05/09 00:13 ID:gIFzmnVA
少し充電期間を下さい
今ホントに死にそうなんです
急な話で申し訳ありません
128  :02/05/10 22:38 ID:PU1Bdx1d


   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  終  了  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  
129名無し募集中。。。:02/05/13 08:40 ID:uIDVTzZT
ゴッチンスレdat行き阻止しようかと思ったけど
あまりにくだらないからあげません
130名無し募集中。。。:02/05/13 17:06 ID:nnOySub0
>>129
レスしただけでdat逝き阻止になってると思われ
131名無し:02/05/13 23:06 ID:N04s+Ixk
age
132名無し募集中。。。 :02/05/13 23:13 ID:PwQvMx8p
イジメ入ってるよね…
133名無し募集中。。。:02/05/13 23:13 ID:11p698NG
さげ。
134  :02/05/13 23:51 ID:r1trCeCb


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 終  了 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
135名無し募集中。。。:02/05/18 07:21 ID:MWJFPAjP
誰か他の小説書いて
136_
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