77 :
黒雪姫3 :
そんな時、継母に当たる王妃は帰宅をしていつものように自室の鏡の前に立った。
「おいっ!鏡っ!?鏡の精出て来ぃ〜やっ!!」
『お呼びですか?』
「この世でいっちゃん美人だれやねん。」
今日ももちろんの事、自分の名前を呼び上げるものだとばかり
思っていた。
しかし、今日の鏡の精は別人の名前を挙げたのだ。
『それは黒雪姫様でございます。』
「はぁ?なんてゆーた?今。よぉ聞こえんかった。」
無論自分の耳を疑い、裕子はもう一度言うように
鏡に言った。
『黒雪姫さまでございます。』
「あぁ!?ぶち壊すで!?自分っ!!」
椅子を持ち上げで、鏡を脅してみるものの
それでもやはり『黒雪姫』と答えるばかりだった。
一番聞きたくない名前が告げられる。
裕子はギリッと歯をかみ締めて、召使を呼んだ。
78 :
黒雪姫3 :02/05/01 00:02 ID:2sQaITDb
「およびですか?お妃様。」
「ちょお和田呼べっ!!」
「はっ、かしこまりました直ちに。」
何事かと、呼び出された和田は思っていた。
お妃の呼ばれることなど、ないといっていいほど少なかったのだ。
つまり、相当な理由でない限り呼ばれないということであろう。
一抹の不安を抱え、おきさきの部屋の前に立つと
和田は静かにノックして部屋に入った。
「およびですか?お妃様。」
「あんた、黒雪姫の世話係昔やっとったそうやな?」
「はい…。」
「世話係最後の仕事や、黒雪姫を殺して来ぃ。」
「はっ!?」
「せやから!!殺してまえというとるんじゃヴォケ!!」
79 :
黒雪姫3 :02/05/01 00:03 ID:2sQaITDb
訳がわからない。
何故、黒雪姫を殺さなければならないのか。
今日はお妃と黒雪姫は顔もあわせてないはず。
なのに、何故いきなり殺せといってくるのかがわからなかった。
「ですが…な…」
「ですがやない!!殺せ!!殺さへんとお前も、お前の家族も処刑や!!」
「もうなんもいわさへん。殺せ!!殺せ!!殺せ殺せ殺せ殺せ!!!
殺してその証拠にあいつの心臓を持ってかえって来ぃ!!!」
「わかりました…。」
そう言うと、和田は一礼して裕子の下を去っていった。
「気がお触れになったのか…王妃様は…。」
腰に当てている剣に手が伸びる。
殺せるのか…?今まで面倒を見てきた黒雪姫を…。
しかし殺さなければ自分は殺され…家族も殺されてしまう…。
そうして、一路和田は、黒雪姫の部屋へと向かった。