小説『ヤグデレラと黒雪姫』

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45ヨッスィー1
城下を颯爽と馬で滑走していく姿には城下の若い女性は目を奪われる。
整った顔、白い肌、そして大きな瞳。
もちろん、城下の民の一人であるヤグデレラもそんな一人だった。

ヤグデレラはこの日、買出しに出ていた。
汚れたみすぼらしい格好をしている。
ヤグデレラが、出店の青果を手にとっていると
町中がざわついたような騒ぎが聞こえる。
翌々聞いてみれば、ひとみ王子が馬でこちらに向かってくるというではないか。
世の女性の心をつかんで話さない彼の話をヤグデレラも聞いていた。
ただ一度も会っていなかったが、どのような男性なのかと心ときめかせていたものだ。

「どうしよ…。」
みすぼらしい格好をしているのに、必死で髪を整えるヤグデレラ。
すると、馬の蹄の音がヤグデレラの耳に届く。
その方向をみると白い馬に乗った若い男の人がこちらへと向かってくるではないか。
手を組んで胸のあたりに持ってくるヤグデレラは夢見る少女。
少し妄想が入る…。

(止まって「おや、なんと美しい、どうかお嫁になってください…。」とかいわないかなぁ…。)

そんな願いは所詮届かないものだ。
颯爽と駆け抜ける横顔を見るだけに終わった。
46ヨッスィー1 :02/04/24 00:04 ID:Vw2Fxz4q
でも…。

「かっこいい〜♪」

ポッとピンク色になるヤグデレラの頬。
一瞬でしかなかったが、あまりの美しさに一瞬で惹かれた。
白肌で、目が大きく、スタイルがいい…。

そんなピーマン1個握って陶酔している乙女の心を打ち砕くかのように

「あんた、それ買うの!?買わないの!?」

という濁声の青果店店主の声が耳の傍で聞こえた。

「あ、はい…3個ください…。」
47ヨッスィー1 :02/04/24 00:07 ID:Vw2Fxz4q
そのころ、城下を駆け抜けたひとみ王子は国境である通称『小人の森』に来ていた。
この森には小人が住んでいる事が知られており、そこから小人の森と名づけられていたのだ。
すこし、馬に長く乗っていたため、疲れたのかひとみは馬を止め小さな泉で休みを取ることにした。

「空気がうまいな…。」

小鳥のさえずり、流れる雲、心地良い風、揺れる水面。
泉の周りでごろんと寝転がるひとみ王子。

「嫁か…。綺麗で萌えぇ〜な女の子が良いな。」
むくっと起き上がると、小石を泉に投げた。

チャポン。

「!!!!!」