小説『ヤグデレラと黒雪姫』

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21黒雪姫1
ヨッスィー王国の隣り、チャーミー王国の王宮内でもヤグデレラ同様な
境遇に置かれている一人の女の子が居た。
彼女は黒雪姫。
容姿の肌黒さから、誕生時にそう名づけられた。
彼女は王である父に育てられた。
母親である王妃は病に冒され、黒雪姫が12の時になくなった。
数年前に王は新しい王妃を名門中澤家からもらった。

「黒雪っ!!ここ汚れとるでっ!!拭いときっ!!ホンマ使えへん!!」

この王妃、名は「裕子」と言う。
前妻との間の子である黒雪姫を疎ましく思い、
本来、家来の仕事である掃除をこの、黒雪姫に押し付けて
家来には王妃が仕打ちをする事について
王に黙っておく事と、黒雪姫をかばうような事はするなということを言いつけていた。
誰もが王妃が怖くて、黒雪姫を助けられないのが実情である。

黒雪姫は素直だった。
暑い日も寒い日も、裕子のいい付けに従いせっせと働いた。
22黒雪姫1:02/04/20 00:02 ID:Mn17AcDy
「よいしょっ、よいしょっ。」

姫とは思えないほど、扱い。
これには最初は反発もしたが
今では継母である裕子の愛のムチと思い従っている。
王妃:裕子は愛のムチなどとはちっとも思っていないが…。
そんな黒雪姫に床掃除を命令し、裕子は何をしているかと思えば
自室で鏡に向かって語りかけていた。

「おいっ!!鏡っ!!でて来ぃ〜!!鏡の精っ!!」

大きな鏡。
この鏡は魔法の鏡といわれ、チャーミー王国に伝わる家宝である。
この鏡は何故魔法の鏡と言われるか?
魔法の鏡には鏡の精という、自縛霊のような物が取り付いており、
近隣の美女と言う美女を認識し、品定めをしている精なのだ。
23黒雪姫1 :02/04/20 00:03 ID:Mn17AcDy
『お呼びですが?』

「いっちゃん美人誰や?」

『…それはお妃様です。』

「やろ?ゆーちゃんかわいいもんなぁ〜。」

ジガジサーンカコワルイ
そう、裕子は自分の名前を呼ばせることで自分に酔っているのだ。
明らかにナルシストである…。
年を隠すように施す化粧は2時間はゆうにかかると言う。
いつまでも自分の美貌を保っていられないのはわかっているが、
もし自分の美貌を抜くような者がいるなら殺してしまえば良いと考えていた。