小説『ヤグデレラと黒雪姫』

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16ヤグデレラ1
雨っ!?

「やばいっ!!洗濯物がっ!!」

そう、ヤグデレラは洗濯もやらされている。
乾燥ももちろん仕事の一部だ。
慌てて勝手口から飛び出し、中庭に向かっていった。
予想通り、干していた服は雨にぬらされていた。

「あいたたた…やばいよこれ…。」

ちっちゃな背丈のヤグデレラは精一杯背伸びして
爪先立ちになりながら、服を取り込んでいく。

「あっ!!!!」

やはり爪先立ち、干してあった服をつかんでいたので
服もろとも、ぐちゃぐちゃになった地面へ…。
自分の着ている服どころか、干していた服まで泥汚れ…。

「うわーん、また洗い直しだよぉ〜〜。」
17ヤグデレラ1 :02/04/19 00:01 ID:9HKdufof
ため息をついて、立ち上がり汚れた衣類を拾い家へと帰った。
むろん、いちにち二度目の洗濯が彼女を待ち受けているのだが…。
びしょびしょになったヤグデレラは、服を着替える。
彼女の部屋は台所の一角。
そこに干してある生乾きのツギハギだらけの服に着替える。
頭を拭くのは雑巾。
まったくをもってつらい仕打ちであると痛感する瞬間だった。
ここで洗い直しをはじめるのと同時に彼女には次の仕事が待っている。
それは継母と義理姉達の夕食の準備。
今日もヤグデレラは、たらいに水を張って、汚れた服を漬けると
夕食の仕度をはじめる。
18ヤグデレラ1 :02/04/19 00:02 ID:9HKdufof
「今日の夕食は、インスタントラーメン♪」

今日の…ではない。
今日も…だ。
正直、ヤグデレラは料理が出来ない。
それでもインスタントラーメンは自信作だと言う。
いいかげん、3食インスタントラーメンを食事として出す
ヤグデレラより普通の召使に料理を任せたらどうなのかとも思ってしまう。
インスタントラーメンしか作れないが、具材だけは毎食変えているようだ。
すばやく出来上がるから便利。
10分もかからず3人分のラーメンが出来上がる。

そして、ヤグデレラはお盆にラーメンを載せて、居間へ運ぶと…。

「イタタタタ…。」

「お尻がアツイッ!!」

「ヤグデレラっ!!ちょっとお腹の薬もってきてーや!!なんかに当たったらしいわっ!!」
19ヤグデレラ1:02/04/19 00:03 ID:9HKdufof
3人が腹痛に見舞われていた。
それはそうだ。
満足に風呂も入らせてもらわない特製のフケを飲んだのだから。
ラーメンをテーブルに置いたヤグデレラは
笑いを必死にこらえて、棚から胃腸薬を取り出し、
コップを台所から持ってくると、水差しで水を注いだ。

こんな出来事は週1くらい有る。
まぁ、感づかれぬように週1程度にしているのだ。
薬を飲むと、あつこは立ち上がる。

「あかん…ウチもうねるわ…。」

と、お腹を抱えて居間を離れていった。
続いて義理姉二人も同様に寝室に帰っていく。

「あのっ!おねぇさまっ!!ラーメンは…。」

「ええわ、それどころじゃない…イテテテテ…。」
「圭織も…要らない…。」

ヤター!!
ラーメン独占っ!!
一人居間に残ったヤグデレラは、席について
さっそくラーメンを食べ始める。
いつもは残り汁しか食事として与えられない。
それが今日はラーメン丸ごと三杯。
嬉しい限り。
ニコニコしながらヤグデレラは夕食をたべた…。