小説『ヤグデレラと黒雪姫』

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120黒雪姫5
そのころ小人の家では小人たちと黒雪姫が仲良く暮らしていた。
限りなく純粋な黒雪姫の人柄に小人も心惹かれていったのだ。

「じゃぁ、今日は舞踏会の日なんれすか…?」

「そうよ♪ののちゃん♪でも…もう無理な話なの…いけなくなっちゃったの…。」

モップで床を拭いながら、今日の本当は舞踏会に行く日であったことを
黒雪姫は小人たちに話していた。
とても辛そうな顔が、小人たちの心を痛める。

「ほな、ウチらで今晩連れてったろ。なぁ、みんな。」

「「「「「そうだ!そうだ!」」」」」

「え…でもいいわよ…お洋服舞踏会向きじゃないもの…。」

続けてイノキ顔の小人:小川真琴がそんなネガティブな黒雪姫を諭した。

「気持ちだコノヤロ!服なんて関係ないぞコノヤロ!」

「「「「「そうだ!そうだ!」」」」」

「そうよね…気持ちよね♪わかった、黒雪姫カンバル♪」
121黒雪姫5 :02/05/12 23:13 ID:wwUUf8AO
その微笑に小人全員が微笑みで返す。
ちょうど9時になり、時計の鐘が鳴り響く。
小人たちのリーダー、通称おばちゃんの保田圭は小人全員に呼びかける。

「ちょっとっ!!はしゃいでないで話を聞きなさいよっ!!もう9時よっ!!仕事いくわよっ!!
点呼っ!!」

「1」
「2れす」
「3やで」
「4だコノヤロ」
「コネッ」

「よし、全員居るわねっ!仕事いってくるわっ!!黒雪姫、家事頼んだわよっ!!
お昼前には帰ってくるわっ!!」

「はい♪いってらっしゃい♪」

見送りに入り口まで出て、黒雪姫は手を振っていた。
小人たちも何度も振り返りながら、
いつものように小人たちは仕事に出かけていった。

見送りを終え、家の中に入ろうとすると小鳥達が
黒雪姫の周りに集まってきた。
この森のあらゆる動物達が彼女を好いている証拠だったのだ。

「あら♪小鳥さんたち、おはよう♪」

小鳥達のさえずりは朝そのものであると彼女に教えてくれる。
122黒雪姫5 :02/05/12 23:14 ID:wwUUf8AO
「そういえば、パンの残りがあったわ♪小鳥さん達に上げるわね♪」

そう言って、家の中へ一旦入ると、黒雪姫は
食べ残ったパンを持ってきて、小鳥達の真ん中に座り
分け隔てなく、小さくちぎって与えていく。
小鳥達はその黒雪姫の行為が嬉しかった。

そうして、餌を与えたあと家事をして約2時間の
時間が過ぎていった頃。

ふと、時計を見る黒雪姫。

「もうすぐ小人さん達が帰ってくるわね♪お料理の仕度も終わったし、
洗濯した服を干しましょうか♪」

洗い終わった衣類を持って黒雪姫は外へと出る。
そして、服を干し終わったとき一人の怪しい老婆が
黒雪姫を尋ねて来た。