小説『ヤグデレラと黒雪姫』

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113ヨッスィー3
いよいよ明日となった、舞踏会。
城の大広間は一変、舞踏会場と化していた。
大きな広間に多くの召使達が会場準備にせわしなく働いている。
そこに、ひとみ王子の姿が有った。
ぐるりと360度見渡してみる。
舞踏会というイメージにこだわった、大広間の装飾。
カーテンもサテンのような輝きを持った紅いカーテンに変えられている。

(明日…ここで…。)

そう物思いにふけり、舞踏会場正面の
王座と王妃座の中間あたりに設置された皇太子席に腰をかける。
足を組んで、顎に手を当てながら働いている召使達を眺めていた。

すると、ひとみ王子の右側から見慣れた人物が話し掛けてきた。

「王子様、いかがですかな?舞踏会場は。」

じいだった。
今回の舞踏会の会場総責任者である。
じいは明日の日を楽しみに、ニコニコしていた。

「なんだ、じいか。別に…まぁ忙しく働いているね。」

「そうでございましょう。皆、明日の舞踏会を楽しみにして居るのでございます。」

「そうかな…。仕事だからやってるんじゃないの?」

「そんなことはございません。少なくとも、じいは明日の良き日が楽しみでございます。」

「良き日になるかな…?」

「なりますとも、必ずや王子様に相応しい女性が現れますとも。」

思い切って、人生経験豊富なじいに今まで気になっていたことを
ひとみ王子は少し恥ずかしそうに尋ねた。
114ヨッスィー3 :02/05/10 00:16 ID:QdrHPWQg
「じぃ…、しょ…処女の見分け方ってわかるか?」

「ハァ?」

顔を真っ赤にしながら、再びもう一度言う。

「だから、処女の見分け方だよ…。」

「ハァ?な、なんとおっしゃいました?」

ビックリしているじい、まさかそんなことを言い出すとは思っていなかったのだろう
しかしながら、ひとみ王子、17歳……………童貞。
初めての相手が処女でなければ格好がつかないと思ったのだろう。
なんとも情けない話しだが、若い男にはよくある考え。
赤面をさらに紅くしながら大きな声でもう一度言った。

「俺ドーテーだから、処女の見分け方教えてくれって言ってんだろおおおおお!!!ゴルァ!!!!」

「ヒッ!!」

その時、会場の召使達の動きが止まり、
全員の視線がひとみ王子に集中した。
そして召使全員が見事に一斉に声をそろえて、こんな表情をした。

( ̄ー ̄)ニヤリッ

「「「「「「「「「「「「「「( ´_ゝ`)フーン…。」」」」」」」」」」」」」」」

(は、恥ッ!!)

「全部じいのせいだ!じいのせいだー!!( ⊃ Д `)」
115ヨッスィー3 :02/05/10 00:17 ID:QdrHPWQg
顔を真っ赤にして、ひとみ王子は舞踏会会場を走り去っていった。
部屋に戻って、思いっきりドアを閉めて鍵をかける。
ベッドへボディプレス並に飛び込んだ。
頭の中で先ほどの光景が巡っている。

「じいになんか聞かなきゃよかったよ…。」

聞かれる可能性のある場所で、そんなことを聞いているひとみ王子にも
問題があると思うが…。

一先ず、赤面が治まるのを待ってから本棚からホットドックプレス
を取り出す。
どうやら、黒雪姫の部屋にもあった、女体解体ページがガビガビになっていた
物と同じ号数の物のようだ。
例外なく、ひとみ王子の女体解体ページも開かなくなっているが…。

『特集処女の見分け方』

こんな内容の記事があるのもこの雑誌ならではでもある。
ひとみ王子はそのページを開いて再度読んでみた。

(いまいち、この雑誌の言ってる事、胡散くせーからじいに聞いたのになぁ…。)

「やっぱ…このページ開けないの痛いな…。可愛い子だったのにな…。」