いよいよ明日となった、舞踏会。
城の大広間は一変、舞踏会場と化していた。
大きな広間に多くの召使達が会場準備にせわしなく働いている。
そこに、ひとみ王子の姿が有った。
ぐるりと360度見渡してみる。
舞踏会というイメージにこだわった、大広間の装飾。
カーテンもサテンのような輝きを持った紅いカーテンに変えられている。
(明日…ここで…。)
そう物思いにふけり、舞踏会場正面の
王座と王妃座の中間あたりに設置された皇太子席に腰をかける。
足を組んで、顎に手を当てながら働いている召使達を眺めていた。
すると、ひとみ王子の右側から見慣れた人物が話し掛けてきた。
「王子様、いかがですかな?舞踏会場は。」
じいだった。
今回の舞踏会の会場総責任者である。
じいは明日の日を楽しみに、ニコニコしていた。
「なんだ、じいか。別に…まぁ忙しく働いているね。」
「そうでございましょう。皆、明日の舞踏会を楽しみにして居るのでございます。」
「そうかな…。仕事だからやってるんじゃないの?」
「そんなことはございません。少なくとも、じいは明日の良き日が楽しみでございます。」
「良き日になるかな…?」
「なりますとも、必ずや王子様に相応しい女性が現れますとも。」
思い切って、人生経験豊富なじいに今まで気になっていたことを
ひとみ王子は少し恥ずかしそうに尋ねた。
「じぃ…、しょ…処女の見分け方ってわかるか?」
「ハァ?」
顔を真っ赤にしながら、再びもう一度言う。
「だから、処女の見分け方だよ…。」
「ハァ?な、なんとおっしゃいました?」
ビックリしているじい、まさかそんなことを言い出すとは思っていなかったのだろう
しかしながら、ひとみ王子、17歳……………童貞。
初めての相手が処女でなければ格好がつかないと思ったのだろう。
なんとも情けない話しだが、若い男にはよくある考え。
赤面をさらに紅くしながら大きな声でもう一度言った。
「俺ドーテーだから、処女の見分け方教えてくれって言ってんだろおおおおお!!!ゴルァ!!!!」
「ヒッ!!」
その時、会場の召使達の動きが止まり、
全員の視線がひとみ王子に集中した。
そして召使全員が見事に一斉に声をそろえて、こんな表情をした。
( ̄ー ̄)ニヤリッ
「「「「「「「「「「「「「「( ´_ゝ`)フーン…。」」」」」」」」」」」」」」」
(は、恥ッ!!)
「全部じいのせいだ!じいのせいだー!!( ⊃ Д `)」
顔を真っ赤にして、ひとみ王子は舞踏会会場を走り去っていった。
部屋に戻って、思いっきりドアを閉めて鍵をかける。
ベッドへボディプレス並に飛び込んだ。
頭の中で先ほどの光景が巡っている。
「じいになんか聞かなきゃよかったよ…。」
聞かれる可能性のある場所で、そんなことを聞いているひとみ王子にも
問題があると思うが…。
一先ず、赤面が治まるのを待ってから本棚からホットドックプレス
を取り出す。
どうやら、黒雪姫の部屋にもあった、女体解体ページがガビガビになっていた
物と同じ号数の物のようだ。
例外なく、ひとみ王子の女体解体ページも開かなくなっているが…。
『特集処女の見分け方』
こんな内容の記事があるのもこの雑誌ならではでもある。
ひとみ王子はそのページを開いて再度読んでみた。
(いまいち、この雑誌の言ってる事、胡散くせーからじいに聞いたのになぁ…。)
「やっぱ…このページ開けないの痛いな…。可愛い子だったのにな…。」