くノ一娘。物語

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95たぢから
十分後、出城の奥で爆発音が起こった。これが合図だ。
「よし、皆行くで!」
先ほどの五人ほどではないが、朝組の八人は速やかに侵入した。
混乱に乗じて、地下牢の入り口がある土倉まで一気に突き進む。
何の障害も無く、土倉まで辿り着いた。
「よし、これからは二人一組で行動するよ。人質を牢から出して、私らに渡すんやで。」
中澤の指示で、安倍&福田、市井&矢口が地下牢へと向かう。
残った四名はその場に待機、リレーで人質達を場外へ逃がす役目、
そして、見張りの役目を負う。
96たぢから:02/04/23 22:59 ID:DxRFpm33
「貴様ら何者だ!?」
地下に侵入した安倍達の前に、数人の見張りが立ち塞がった。
「いくよ明日香!」
「OKなっち!」
怯むことなく、二人は一気に突っ込む。
「くらえっ!」
見張りの槍が突き出される。しかし二人はそれを飛んでかわす。
「いまだべ!」
見張りの集中がそれたところで、矢口と市井が睡眠薬を塗った矢を放つ。
即効性らしく、あっという間に見張りは倒れ、眠ってしまった。
邪魔者がいなくなったところで、人質の開放に向かう。
97たぢから:02/04/23 23:01 ID:DxRFpm33
一方上忍の五人組は、火薬庫を派手に爆発(先ほどの合図)させた後、
散らばって複数ある武器庫の処分&武器の押収に向かっていた。
(よし、これでノルマ達成。あとは日の出城の内部資料を・・・ん?)
五つの武器庫を処分した平家は、この騒ぎの中、ある影に気づいた。
城兵がウロウロする中、まっすぐに何処かへ向かう二つの影・・・
(あの方向は確か地下牢が・・・まさか!)
事態の変化に気づいた平家は、近くの上忍を探し始めた。
98たぢから:02/04/23 23:02 ID:DxRFpm33
「稲葉さん!」
平家は太陽組の稲葉貴子を見つけ、呼び止めた。
「平家、どないした?」
「どうもこうも・・・大変です!高速暗殺部隊のうち二人を見かけました。」
「なんやて!?ここにおるって聞いてないで!」
“高速暗殺部隊”と聞いて、稲葉の顔色が変わった。
「私は朝組のところに行きます。あそこが狙われているようですから。」
「分かった。ウチは信田さんや夏師範に知らせておくわ!」
手短に連絡すると、平家は一目散に地下牢入り口へ向かった。
99たぢから:02/04/23 23:03 ID:DxRFpm33
「明日香、あと何人だべさ?」
「ええと、この人で最後だよ。」
安倍達四人は、一番奥の牢に来ていた。
しかしこの牢は頑丈で、力ずくで破壊することが出来なかった。
「仕方が無い。地道に鍵を開けますか。」
矢口が髪留めの一本を抜き、鍵穴に差し込んだ。
100たぢから:02/04/23 23:03 ID:DxRFpm33
ピッキングは矢口の十八番で、数分もしないうちに鍵は開けられた。
「お爺さん、もう大丈夫ですよ。」
囚われていたのは、白髪の目立つ老人男性だった。
栄養不足のためか、歩行に不自由しているようなので、福田が支える。
「よし、上に戻るべ。」
その時だった。