くノ一娘。物語

このエントリーをはてなブックマークに追加
894たぢから
ガキィィィィィィンン!!

「え?」
「ギリギリセーフ!」
「お前は…!!」

真希の目の前で止められたシャドウサーベル。
そしてそれを止めたのは白い刃… ムーンライトソード。

「正義の光・Mr.ムーンライト参上! Mr.ムーンシャドウ、いや市井紗耶香! 月に代わってお仕置きだぜ!!」
間一髪、ひとみが駆けつけたのだった。
895たぢから:02/09/06 23:12 ID:+AMsJPWa
「ちょっと待ってよ。私達もいるのよ!」
「…ったく一人で突っ走るなよ。」
と呆れ顔のMr.クレセントなつみと明日香。

「アンタ達… どうして!?」
驚きを隠せない紗耶香。
それもそのはずで、あの怪我でひとみもなつみも動けるはずはないと思っていたのだから。

「紗耶香、悪いけど私達は死なない限り、何度でも立ち上がるわ。アンタを止める為にね。」
「何っ!?」
なつみがそう言うと同時に、ひとみが紗耶香の前に立ち塞がる。
「今からアンタの相手はこの私が… 吉澤ひとみがする!!」
ひとみは自分の仮面を投げ捨てた。
896たぢから:02/09/06 23:13 ID:+AMsJPWa
「何を今更… お前との勝負は既についているわ。」
「二度、同じことが起こるかしら?」
「一度あることは二度ある。…いや、二度起こしてやるよ!!」

その次の瞬間、シャドウサーベルの切っ先が、ひとみの左胸を襲った。
だが、剣はひとみを貫くことなく、空を斬った。
シャドウサーベルが貫いたのは、白いマントのみだった。

「変わり身の術。このくらいの芸当は私にも出来るよ。」
「黙れっ!!」

我武者羅にサーベルを振るう紗耶香。だが少しもひとみに当たらない。
897たぢから:02/09/06 23:14 ID:+AMsJPWa
「やっぱり違う。」
「何が!?」
「別にアンタの事を知ってるわけじゃない。でも、今のアンタはごっちんの知ってる市井紗耶香じゃないね。」
「なっ…!?」

思わず動きが止まる紗耶香。
ひとみはある程度間合いを取ると、ムーンライトソードをその場に捨てた。

「何の真似?」
「今のアンタには私すら殺せる力もないよ。嘘だと思うなら、来いよ。」
「ふ… ふざけるなぁ!!」
898たぢから:02/09/06 23:15 ID:+AMsJPWa
ムキになってひとみに飛びかかる紗耶香。だが…

ガシィィィン!!

シャドウサーベルはひとみの左手一本で押さえられた。

「こんなアンタじゃ、正義を語ることは出来ないっ!」
「何だと? “棚からぼた餅”でムーンライトになったお前に何がわかる!?」
「確かに私はタナボタでムーンライトになったも同然だ。だけどっ…!」

ひとみが紗耶香を押し返す。

「だけど、今の私には守るべきものがある! 何が正しいか、常に自分の頭で考えてる!
戦う理由がある! それが今のアンタにはない! だから私は負けない!!」
ひとみはすぐさまムーンライトソードを抜き、シャドウサーベルを弾き飛ばした。
899たぢから:02/09/06 23:16 ID:+AMsJPWa
ガッ!!

シャドウサーベルは勢い良く地面に突き刺さった。

「この前とは逆になったね、市井さん。」
ムーンライトソードの先を紗耶香に向け、追い詰めるひとみ。
勝利宣言も同然だった。

「市井ちゃん、大人しく降伏して。もう戦うのは… 苦しいのは嫌だよ。」
「紗耶香、私もごっちんと同意見だよ。これ以上…」
真希となつみが紗耶香の説得にあたる。だが…

「黙れ黙れ黙れっ! まだだ… まだ負けるわけにはいかないんだっ!!」