くノ一娘。物語

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886たぢから
「…終わった。これで全て…」
紗耶香は倒れている真希に近づいた。
シャドウサーベルを真希の首元に突きつける。
「かつて妹分であったお前の首くらいは、この市井紗耶香直々に…」

「…お断りだよ!」
「!?」

突如真希が起き上がり、隙だらけの紗耶香を蹴り飛ばした。

「ぐあっ!」
突然のことに受身をとることも出来ず、紗耶香は廃工場の床に叩きつけられた。
887たぢから:02/09/05 23:34 ID:/FnrbaJb
「そんなバカな! シャドウサンダーストライクをまともに受けたはずなのに…」
驚愕する紗耶香に対し、真希は余裕の笑みを浮かべる。

「さっきの言葉、のしつけて返すよ。そっちこそ、月光紳士を見くびってない?」
「なんだと!?」
「残念だけど、なっちの件で紳士スーツは耐電能力がアップしたんだよ。
スーツそのものがアースの役割を果たして、体には一切電撃は流れないのさ。」
「じゃあさっきのは演技だというの?」
「そ。アカデミー賞もんだね。女優に転向しようかな?」
「ふざけるなっ!!」
888たぢから:02/09/05 23:35 ID:/FnrbaJb
ガシィィィィィン!!

二本のサーベルが交わり、激しく火花が散る。
だが、紗耶香が二本の腕でサーベルを操っているのに対し、真希は右手一本で支えている。

「ふざけてるのは… そっちじゃないかっ!!」

ドカッ!!

真希は空いている左拳で紗耶香の頬を殴った。
その衝撃で衝撃でムーンシャドウの仮面がはずれ、紗耶香の顔が晒された…
889たぢから:02/09/05 23:37 ID:/FnrbaJb
「真希…」
真希の迫力に、市井は返す言葉が無い。
呆然としたまま、真希に襟元を掴まれる。

「多くの人を殺して、かつての仲間さえ傷つけてまで求める正義なんて認められない。
こんなのが正義なんて… こんなのが正義であってたまるかぁ!!!」

そして、真希もまた、自分の仮面を捨てた。

「…真希っ…!?」

襟元をつかみ、紗耶香にせまる真希は… 泣いていた。
890たぢから:02/09/05 23:38 ID:/FnrbaJb
「市井ちゃん… もうやめようよ…! 昔の市井紗耶香に戻ってよ…! 私苦しいよ… 苦しすぎるよ…!」
「や… やめろぉ!!」
真希の顔を真正面から見ることが出来なくなった紗耶香は、
真希の腕を強引に解き、彼女を突き飛ばした。

「あうっ!!」
尻餅をつく真希。
だがそのすぐ目の前には、シャドウサーベルを掲げたムーンシャドウがたっていた。
激しい呼吸で、目も血走っている。

「市井ちゃん…!?」
「真希ぃ… うおおおおおおおおっ!!」
そして、黒い刃が振り下ろされた。