くノ一娘。物語

このエントリーをはてなブックマークに追加
786たぢから
事件は突如起こった。
『大通りに暴走族が集結している。数が多すぎて手に負えない!』
「わかったわ。いますぐ行くよ! ごっちん! よっすぃー!」
「「OK!」」

真里からの連絡を受け、月光三紳士が出撃する。

「圭坊、ウチらも行くで。石川・辻加護は待機な。」
「「「わかりました。」」」

編集長裕子とカメラマン圭も現場に急行する。
787たぢから:02/08/22 23:02 ID:fr4P2O9m
「何て数なの!」
「これじゃ、暴走族のお祭りだよ!」
「ネットで捕獲しかないかなぁ…」
高層ビルの屋上から大通りに集結したバイクや車の群を見て、月光三紳士は頭を抱えた。
ところがその時…!

ブォォォォォォォォン!!!

暴走族達の騒音すらかき消すような轟音が辺りに響いた。

「何? 新手!?」
屋上のフェンスからそっと身を乗り出す三人。
だが次の瞬間、彼女達は信じられない光景を目にする。
788たぢから:02/08/22 23:03 ID:fr4P2O9m
街はずれから物凄いスピードで突っ込んでくる黒い物体。
どうやら改造バイクで、轟音の主のようだ。

何者かは分からないが、こんな派手な登場をされては、他の暴走族が黙ってはいない。
「オラァ! 後から来たクセに目立ってんじゃねぇ!」
「何様のつもりだぁ? うるせぇんだよっ!!」

次々とバイクに跨り、その黒いバイクに向かってゆく暴走族達。
だがその黒いバイクは減速するどころか、更にスピードを上げた。
これは暴走族達を更に過熱させる結果となった。

「愚か者…」
789たぢから:02/08/22 23:05 ID:fr4P2O9m
黒いバイクのライダーはそう呟くと、スロットルを強く捻り、
「ブレイクモード・アクティブ!」

刹那、黒いバイクは黒い炎と化し、集団の中に突っ込んだ。
…ようにひとみ達には見えた。

ドォォォォォォォォン!!

直撃を受けたバイク群は粉砕され、暴走族たちは次々と宙に放られてゆく。
また、黒いバイクから発生した強風によって、半径十メートル程度にいた者も、四方八方に吹っ飛ばされた。

まさに鎧袖一触…
謎の黒い影は、一瞬のうちに光景を様変わりさせてしまった。
そしてそのまま、ゼチィマシティの大通りを抜けてゆく。
790たぢから:02/08/22 23:07 ID:fr4P2O9m
「待てっ!」
ムーンライトひとみは移動用グライダー・ムーンライトウィンガーを出すと、
すぐさま屋上から飛び立ち、黒いバイクを追跡し始めた。

「ちょっとムーンライト!」
「よっすぃー!」
止めようとするなつみと真希。だが既に遅かった。

『なっち! ごっつぁん! 早くよっすぃーを追うんだ! あの黒いのがアイツなら、よっすぃーが危ない!!
後処理はウチらに任せて、早くっ!!』
無線から聞こえてくるのは、機動隊を指揮している真里の声だ。

「真里もそう思うのね… わかった。行くよ、ごっちん!」
「うん…!」
791たぢから:02/08/22 23:09 ID:fr4P2O9m
「そこの黒いの、止まれっ!」
黒いバイクに追いついたひとみは、何とか足止めをしようと呼びかける。
「スモークボール発射!」

ボンッ! ボンッ!

バイクの前方に煙玉を発射し、相手の視界を防ぐ。

「ちっ…! セルフコントロールモード・アクティブ!」
謎の影はそう言うと、バイクから手を離し、ひとみ目掛けて飛び上がってきた。
「えっ!?」

空中で数回体を捻り、ひとみの腹部にきりもみキックをくらわす。
「うわっ!」
完全に予想外の攻撃にひとみは為す術もなく、ムーンライトウィンガーから落下してしまった。
792たぢから:02/08/22 23:10 ID:fr4P2O9m
「ムーンライト!!」
地面に落下する直前、間一髪で真希のハーフムーンウィンガーがひとみをキャッチした。
一方、なつみのクレセントウィンガーは謎の黒い影に回りこみ、足止めをする。

「はっ!」
「たあっ!」

着地し、黒い影と向き合う月光三紳士。
丁度雲が晴れ、月の光が辺りを照らす。
そして、相手の姿が三人に晒された。

「その姿は…!?」
793たぢから:02/08/22 23:11 ID:fr4P2O9m
月光三紳士と同型のコスチュームながら、対照的に黒一色。
そして仮面の奥から、刃物のように突き刺さってくる鋭い殺気。

「お前がMr.ムーンライトか…」
声は低いが、ひとみ達と同じく女性のようだ。

「そうだ。そう言うアンタは何者?」
ひとみは思ったことをそのまま言葉にした。

するとその謎の紳士は、左手に持っていたロッドを前に翳した。
ひとみが持っているムーンライトロッドそのものだが、
先端についている飾りは、真っ黒な円…
794たぢから:02/08/22 23:13 ID:fr4P2O9m
「私は終末の闇… Mr.ムーンシャドウ。全ての悪を闇に葬る為に生まれた者だ。」
「ムーン… シャドウ…!?」

「そんな…!」
「何で…!?」
ひとみとは少し違った反応を見せる真希となつみ。
どうやらムーンシャドウの事を何か知っているようだ。

だがひとみはそんなことに構ってはいられなった。
今はこの謎の人物のことを知る必要がある。
「何故あいつらを殺した!? 何の為に!!」

「あいつらは悪だ。悪は闇に葬るものだ。違うか?」
「…!」
795たぢから:02/08/22 23:15 ID:fr4P2O9m
無感情な言葉を発するムーンシャドウ。
そのあまりに不気味な気配に、ひとみは動けなくなった。

「またお前とは会うことになるかもね。それから、なっちに真希! 私を止められるものなら、止めてみな!!」
「なっ…!」
「あっ…!」
意味深な台詞を残し、ムーンシャドウは消え去った。
夜の闇に溶け込むように…

突如現れたMr.ムーンシャドウ。
ひとみは謎の黒紳士の登場に、何かを感じずにはいられなかった。