くノ一娘。物語

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709たぢから
『怪傑! Mr.Moonright』プロジェクトはトントン拍子で進んだ。
…というより、プロデューサの準備が非っ常によろしくて、
衣装もシナリオも製作スタッフも何もかもが出来上がっていた。
あとは役者だけ。

「これ本格的だべ!」
「いいんじゃない。」
あのあと、私たちは控え室で台本を読んでいた。
最初っから乗り気のごっちんと安倍さんは、『Mr.Moonright』の世界にのめり込んでいる。
でも私は… 正直馴染めなかった。

こんなことをやりたいが為に“モーニング娘。”になったわけじゃない。
710たぢから:02/07/26 23:08 ID:NPcYgi1E
確かに私は、お世辞にも歌が上手いわけじゃない。

歌手になりたいが為に娘。となった者…
“モーニング娘。”になりたいが為に娘。となった者…

自分の歌のレベルと、娘。入った時期を考えれば、
私は後者と言われても仕方が無い。

でも、プッチモニでの初ソロは、嬉しかった。
生放送ではずしても、自分の歌を歌えることの喜びを知った。

だけど…
今の“モーニング娘。”はどうだろう?
吉澤ひとみは何だろう?
711たぢから:02/07/26 23:10 ID:NPcYgi1E
当初からメインでありながら、何度と無くソロ計画が白紙になった安倍さん。
早くからソロで活動するも、本人とはかけ離れたイメージの歌しか歌わせてもらえないごっちん。

今の娘。の現状を見ると、私なんかよりこの二人の方が嫌なはずなのに…

何で乗り気なの?
何で笑顔なの?

何で… 何でおかしいと思わないの?

「よっすぃー、どうしたの?」
「そんな怖い顔してないで、早くセリフ合わせしようよ!」
712たぢから:02/07/26 23:12 ID:NPcYgi1E
ああ、もうこの二人は慣れ切ってしまったんだ。今の娘。に。
これはある種の中毒だ。

「分かったよ。」
とっさにウソの笑顔を作り、私は台本を持って二人に近づいた。

「じゃあ、名乗りのシーンやろう。」
「ヒーローの定番だね。でも、結構長いね。」

定番故に、そのセリフは非常に馬鹿げていた。
713たぢから:02/07/26 23:14 ID:NPcYgi1E
※ムーンライト(吉澤)=M、ハーフムーン(後藤)=H、クレセント(安倍)=C、悪党=悪

C「そこまでだ! 悪党ども!!」
H「ボク達が来たからには…」
M「好き勝手にはさせないよ!!」
悪「なっ… 何だおまえらは!?」
C「友情の光! ミスター・クレセント!」
H「勇気の光! ミスター・ハーフムーン!」
M「正義の光! ミスター・ムーンライト! お月様にかわってお仕置きだぜ、ベイベー!!」

友情・勇気・正義… これはいいんだけどさ、
私の締めの言葉って、某・愛と正義のセーラー服美少女戦士の名乗りのパクリじゃないですか!?
まあ、ミスター・ムーンライトの設定からこう来るとは想像ついたけどね。

それでも私はミスター・ムーンライトを演じなければならなかった。
…というか、ごっちんと安倍さんがあんまりにも演じきっている(さすが女優経験あり)ので、
迷惑をかけるわけにはいかなかった。

はぁ…