くノ一娘。物語

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664たぢから
ACT13.FIGHT TO THE DEATH
Dr.TKの要塞の最深部…
只ひたすら続く回廊… そこにはもはや、誰もいなかった。
先ほどの波動拳でTK軍団の兵士は全滅、そして数々の防衛網も壊滅…
あるのは、奥の方から漂ってくる黒い邪悪な気のみであった。
ナツミは、足音を空間に響かせながら歩いていた。
蒼く透き通る彼女の瞳は、鋭い輝きを発していた。
そう、彼女の先にはDr.TKが… この悲しい戦いの首謀者であるDr.TKがいるのである。
ナツミは自分を生かしてくれたアスカの為に… Dr.TKがいるであろう場所へと足を進めていた。
そんなナツミの前方に、一人の人影ともう一つの影が現れてきた。
665たぢから:02/07/20 23:10 ID:NKiRXGaA
「フフフ… 素晴らしいよ、ナツミ。一人でここまで辿り着くとは、実に素晴らしい。
さてと、直ぐにでも私とお手合わせ願いたいのだが、生憎私のペットがそれを許してくれなくてね。
何しろ、私に刃向かう者の始末は全てこれに任せているのでね…」
Dr.TKの足元には、番犬型レプリロイド“トモガーダー”が、殺気を漂わせている。
「それではナツミ、君と戦える事を心より願っているよ。ハハハハハ…」
すると、Dr.TKは霧のごとく闇に溶けこみ、その場から消え去った。
そして…

「ウォウォ〜〜〜〜ン!!」

番犬トモガーダーがナツミに飛び掛ってきた。
666たぢから:02/07/20 23:12 ID:NKiRXGaA
「お前の相手など…してる暇はないわ!!」
瞬時にナツミの殺気が増したかと思うと、彼女は拳をトモガーダー叩きつけた。
「キャオ〜ン!!」
呆気なく吹っ飛ばされる犬。だがそれだけでは済まない。
トモガーダーは全身が凍りついていたのだ。
そう、先ほどの拳はただの拳ではない。
アスカのパーツを得たことで、威力が上昇したショットガンアイスだったのだ。

やがてトモガーダーは氷の塊のまま、バラバラに砕け散った。
「Dr.TK… さっさと出てきなさい!」
667たぢから:02/07/20 23:16 ID:NKiRXGaA
ナツミがそういい終わらないうちに、闇からDr.TKが姿を現した。
「見事だ、ナツミ。それでこそ、あのアミーゴをが倒した女だ。」
するとDr.TKは羽織っていた黒いマントを脱ぎ去った。そしてその下は…
「…そのボディは…!」
「フッ…私は一科学者だ。自分に相応しい戦闘用ボディを作り出すことなど朝飯前なのだよ。」
重厚で、かつ工学的に優れたデザインのボディ… 一目見ただけでその能力を判断するのは難しい。
しかし経験豊富なナツミは、その力を肌で感じ取っていた。強い…
「でも…負けるわけにはいかないわ! 倒れていった友の為にも…ね!」
ナツミは銃口をDr.TKに向けた。
「…では望み通り私が相手をしてやろう。この私にたてついた事を、あの世で後悔するが良い!!」
Dr.TKは懐から緑に光るビームサーベルを取り出した。
「いくぞっ!!」
668たぢから:02/07/20 23:18 ID:NKiRXGaA
二人は同時に猛突進して、互いに己の武器を相手の首に翳した。
高出力のバスターとビームサーベルの衝突は、激しい電撃を生じさせた。
「くっ…!」
「ぐっ…!!」
互いに想像以上の高出力により、双方の腕に振動が走った。
「うおおおおおおおおおおお!!」
しかし、Dr.Tkはそのまま連続でナツミに斬りかかって来た。
戦闘用ボディの力なのか、Dr.TKの剣裁きは相当の速さである。
しかしナツミのバスターの速射性も、比べ物にならないほどに進化した。
衝突の度に空間に激しい電撃が走る。
互いの武器が一回力強く衝突してから、二人は一旦間合いを置いた。
669たぢから:02/07/20 23:20 ID:NKiRXGaA
(あのサーベルの出力も凄いけど… 科学者レプリロイドが操っているなんて信じられないわ。)
(ナツミは進化するレプリロイドだと聞いたことがあったが… 本当らしいな。)
Dr.TKの右腕は、衝突の時に生じた衝撃で痺れていた。
だが、すぐさま彼は腕に力を入れ、ビームサーベルを強く握った。
そして次の瞬間、Dr.TKはサーベルからカッター状のエネルギー波をで撃ち出してきた。
しかしナツミには掠りもしなかった。
「ムッ! どこへ消えた!?」
ナツミは瞬時に、溜めカメレオンスティングで全身をカモフラージュしていたのだ。
Dr.TKの視界から消え去ると、すぐさま後ろに回りこみ、貫通力の高い刃を放った。
見事カメレオンスティングの刃は、Dr.TKの背中に幾つかの筋を刻み込んだ。
670たぢから:02/07/20 23:21 ID:NKiRXGaA
「後ろかっ!」
Dr.TKは後ろを振り返った。
すると溜めカメレオンスティングの効果がきれ、姿が丸見えになったナツミがいた。
だが、ナツミの鎧の色は、緑から紫に変化していた。
「ストームトルネード!!」
ナツミの掌から放たれた竜巻が、Dr.TKに襲い掛かり、彼のボディを削ってゆく。
「ぐおおおお…小娘が、調子に乗るのもそこまでだ!!」
再びDr.TKはナツミに猛突進し、高速で彼女に斬りかかって行った。
「ローリングシールド!!」
ナツミはバリアを展開してDr.TKの攻撃を総てで受け止めた。
…だが高出力のエネルギーを抑えきれず、すぐにバリアは消滅してしまった。
その隙をつかれ、ナツミは顔をDr.TKに蹴られ、その衝撃により後方へ勢い良く飛んだ。
671たぢから:02/07/20 23:23 ID:NKiRXGaA
「とどめだ!」
Dr.TKはビームサーベルを両手で宙に翳し、エネルギーをチャージし始めた。
それに対しナツミは、空中で姿勢を立て直して着地し、素早く彼に接近して行った。
「攻撃はさせないわ!」
「遅いわああああ!!」
そう叫ぶとDr.TKは、ナツミの接近よりも速く、彼女に向かって大技を繰り出した。
「うるああああああああ!!」
Dr.TKがビームサーベルを思いっきり振り下ろすと、地面に巨大な衝撃波が発生した。
特に技名はついていないが、これがDr.TKの戦闘用ボディから繰り出される最強必殺技だ。
ボディの身体剛性ギリギリの戦闘能力を瞬時に引き出し、サーベルを通して敵にぶつけるのだ。
その威力は山一つくらい軽く消し去ることが出来るという。
だがナツミは何と衝撃波を避けようとはしなかったのだ! そして…
672たぢから:02/07/20 23:24 ID:NKiRXGaA
「…波動拳…!」
ナツミの両手が激しく発光した次の瞬間、閃光が衝撃波を突き破り、瞬時にしてDr.TKに襲い掛かった。
「うおおおおっ!!」
伝説の波動拳により、Dr.TKは大きく後方へと吹き飛ばされていった。
波動拳が発動した次の瞬間、そのエネルギー総てが衝撃波を相殺したのである。
Dr.TKにとって不幸中の幸いはそこで、波動拳のエネルギーが総て衝撃波と相殺された為、
彼にぶつかった時にはそのエネルギーは殆ど無く、その結果死だけは免れたのである。
だが、最強必殺技もナツミの前には無力であった。さすがのDr.TKも遂に焦り始めた。
「バカな… 私の計算ではこの技は完璧だったはず… なのに… アイツには敵わないというのか!?」
Dr.TKは何とか立ち上がった…が、もはや成す術は無かった。
もう手は尽くしたのである。目の前には、ナツミが自分を鋭く捕らえていた。
(…だが、この女は… 天才科学者の私を侮辱した張本人のこの女は… 絶対にこの手で倒す!!)
673たぢから:02/07/20 23:26 ID:NKiRXGaA
Dr.TKは諦めなかった。強い執念を持って、ビームサーベルを構え直して再びナツミに立ち向かっていった。
「うおおおおおおっ!!」
それに対し、ナツミも構えに入っていた。どうやらこれでDr.TKに止めを刺す様だ。
ナツミの鎧の色は… 橙!!
「とどめよ! エレクトリックスパーク!!」
「うおっ!?」
Dr.TKがサーベルを振り下ろすよりも数瞬早く…
紫色の電撃の壁が、彼のボディを貫いた。

「バ…バカ…な…」

Dr.TKのボディに亀裂が入ったと思うと、全身が一気に罅割れ、爆発、四散した。