くノ一娘。物語

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376たぢから
「相変わらず無茶するね、二人とも・・・」
矢口は安倍と市井の包帯を替えながら呟いた。
「いやぁ、それほどでもないべさ。」
「なっち・・・誰も褒めてないって・・・」
「まあまあ。夕飯持ってくるから待っててよ。」

あみとの戦いで限界を突破した安倍と市井は、全身に包帯を巻かれていた。
出血がさほど多くなかったのが幸いし、大事には至らなかったものの、
一ヶ月近くの休養を余儀なくされた。
その間の二人の仕事は、後藤が全て受け持つことになり、
まだ完治していないにもかかわらず、既に里を出ている。
元々は後藤を助ける為にこうなったので、後藤は文句一つ言わなかった。
377たぢから:02/05/30 23:06 ID:WUzohkjD
矢口がいなくなったところで、安倍が切り出した。
「紗耶香さぁ、小太刀二刀流なんていつの間に身につけたの?」
「訓練を始めたのは後藤が上忍になった頃かな。」
「そんなに早く!?」
半年以上人知れず訓練していたことになる。
「ものに出来るようになったのは、丁度なっちの謹慎期間中だったんだよ。」
「どうして小太刀を?」
市井はすぐには答えなかった。だが、やはり自分の本心は伝えたいと思い、口にした。
「・・・負けたくなかったから・・・なっちと後藤に・・・」
「え・・・?」
378たぢから:02/05/30 23:07 ID:WUzohkjD
「小太刀二刀流は秘密兵器って言ったでしょ? 実は対なっち&後藤用の秘密兵器・・・だったんだ。」
「・・・」
さらに市井は続ける。
「朝組の刀技って、基本的には寺田流剣術だけでさ、どうしても優劣は出てくるよね。
市井にはなっちや後藤みたいな才能は無いからさ・・・背伸びしても敵わないところがあるんだよね。
元々なっちに対して憧れもあったけど、それ以上に才能という面でコンプレックスもあったの。
なっちと同じタイプの後藤が入ってきてから、それを心のどこかで強く意識するようになってた。
でも、それだけじゃただの妬み以外の何物でもないよね。」
「・・・」
「だから自分にあった武器や技を模索したの。任務の合間をぬってね。勿論お頭や師範にも相談したよ。
それであえて寺田流剣術には無い小太刀二刀流を選んだの。真似事じゃ、なっち達を越せないから・・・」
「あっ・・・!」
安倍は思い出した。市井があみと戦っている最中、あみに同じ事を言っていたことを。
あれはあみに対してと同時に、自分にも言い聞かせていたのだ。
379たぢから:02/05/30 23:08 ID:WUzohkjD
「紗耶香・・・すごいね。」
「ううん。なっちがいなかったら、市井は今の市井じゃなかったよ。
忍びとして今生きているのも、更なる強さを目指しているのも、なっちのお陰なんだよ。
今でも市井の目標はなっちだし、いつか自分の力で追いつき、追い越すつもりだよ。
最強奥義の疾風雷光閃だって、絶対破ってやるからね。」
市井の目は真剣だった。彼女にとって、安倍なつみの存在こそがある種の生き甲斐だったのだ。
安倍はその思いを全て受け止めようと決めた。そして・・・
「言ったなぁ・・・じゃあ、なっちが疾風雷光閃を完璧なものにするのが先か、
紗耶香が疾風雷光閃破りを編み出すのが先か、勝負しよう。」
市井に向かって手を差し出す安倍。
「OK。これからもよろしく、なっち!」
二人は固く握手を交わした。
380たぢから:02/05/30 23:09 ID:WUzohkjD
「あれ・・・? 二人とも箸がすすまないね。そんなに怪我が酷いの?」
せっかく持ってきた食事に、安倍も市井も箸をつけないので、矢口は不審に思った。
「い・・・いや・・・その・・・」
「・・・大丈夫だべさ・・・」
でも二人とも右手がちっとも動かない。
普通ならこの二人の間に何かあったのかと思うところだが、矢口は違った。
「遠慮することは無いって。ヤグチが食べさせてあげるよ。まずなっちからね。ほら、あ〜んして!」
「あ・・・あ〜ん・・・」
「次は紗耶香! ほれ!」
「あ〜ん・・・」
「もう二人とも甘え下手だなぁ。」
「・・・」

二人は何も言えなかった。固く握手をしたばかりに、手を余計に痛めてしまったとは・・・
381たぢから:02/05/30 23:10 ID:WUzohkjD
-interlude5-
ヽ^∀^ノ<ひっさびさの顔文字トーク、やるぞぉ〜!!

(●´ー`●)<今日もいちなちコンビ全開でいくべさ!!

( ´ Д `)<後藤も混ぜてよ! 娘。系小説初(?)の『いちなちごま』三角関係!!

(〜^◇^;)<この小説ってさ、そういう王道カップル系だっけ?

(●´ー`●)<う〜ん・・・とりあえずエロいシーンは今のところゼロだべさ。

( ´ Д `)<作者の力量によるよね。・・・ってか未来永劫ないでしょ?

从#~∀~#从<オイコラァ! んなことよりオレにも出番よこせぇ!! やぐちゅーは無いんかぁ!?

川゜皿 ゜)‖<ソーダ! デバンヨコセ!! ターゲット・ロックオン!!

( `.∀´;)<カオリの扱い・・・前回と変わってないよ。でもアタシもこの小説でキャラ立ちしたい!!

( ` ・ゝ´)<さぁ〜て、次回の「くノ一娘。物語」は?(アタシも前回と変わらないね・・・)

(〜^◇^)<サブタイトル(なんてあったかな・・・?)「センチメンタル矢口向き」!? わっかんねぇ!!

(●´ー`●)( ´ Д `)ヽ^∀^ノ<♪なちごまどぅ! いちごまどぅ! いちなちどぅ!

(〜^◇^;)<主役はヤグチじゃ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!