くノ一娘。物語

このエントリーをはてなブックマークに追加
357たぢから
壱・弐・参・肆・伍・陸・漆・捌・玖!!!

「ぐあっ!!」
唐竹・袈裟斬り・左薙・左切上・逆風・右切上・右薙・逆袈裟・刺突・・・
突如九つの斬撃が、同時にあみを貫いた。
言うまでもなく“風乱刃・九極殺”で、放ったのは他ならぬ安倍だ。
「安倍・・・お前何故!?」
「知るか! だけど・・・仲間をむざむざと殺させてたまるかぁ!!」
安倍は間合いを詰めあみを蹴り飛ばした。そしてそのまま疾風閃を叩き込んだ!
「がはっ!」
あみは為す術無く、吹っ飛ばされた。
だが、そんな絶好の機会を安倍が逃すはずは無い。
さらに、あみの腹部に旋風刃を連続で叩き込んだ。
358たぢから:02/05/27 23:13 ID:eFaQi6mo
「くそぉ・・・『仲間への思い』ってヤツか? 冗談じゃないねっ!!」
安倍の連続攻撃からあみは強引に上空へ脱出した。だが・・・
「逃すかぁっ!!」
すぐさま安倍も飛び上がり、瞬時にあみの後ろを取った。
「墜円斬!!」
空中で高速の縦回転を始め、あみの背中を連続的に斬りつける。
「うおおおおおおおおお!!」
対するあみは、空中で旋回、強烈な回し蹴りを安倍に喰らわせた。
墜円斬の体勢では真横からの攻撃に弱く、安倍は地面に落下した。
359たぢから:02/05/27 23:15 ID:eFaQi6mo
「くっ・・・!」
安倍は傷を負った腹部を左手で庇う。
一方あみは、空中で刀を下方に構えた。
「調子に乗るなよっ!」
「降墜撃? ・・・違うっ!」
あみは、降墜撃の構えに高速回転を加えて急降下してきた。

「うあっ!」
あみの高速攻撃をかわしきれず、安倍は左腕を負傷した。
それと同時に、回転により30メートル程撥ね飛ばれた。
「今のは結構きいたべ・・・」
刀を杖代わりにして立ち上がる安倍。
「でも・・・まだまだそんなんじゃなっちを殺せないよ!」
安倍は見るからに満身創痍のはずだ。だが闘志は衰えてはいない。
「いい根性してるわね。」
「言ったはずだべ。仲間の為に、負けられないって!」
360たぢから:02/05/27 23:16 ID:eFaQi6mo
「何が仲間だ! 群れなければ何も出来ない軟弱集団がっ!!」
「軟弱集団で結構だべ! 一人ぼっちのお前には、仲間のすばらしさなんて分からないべさ!!」
安倍は懐を一瞬で取り、あみの顔を殴り飛ばした。
「くっ・・・黙れっ!!」
口から血を流しながら、あみは安倍の顔面を同じ様に殴り付けた。
「見せてやる!仲間などにとらわれない孤高の強さを!!」
「こっちこそ見せてやるよ!仲間に支えられた強さを!!」
安倍とあみは熾烈な殴り合いを始めた。
もはや普通の人間にはその動きを捉える事が出来ない位の早さであった。
361たぢから:02/05/27 23:20 ID:eFaQi6mo
安倍とあみは全力・・・いやそれ以上の力で戦い続けた。
「らああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
互いに相手の瞳を睨み付ける二人。
その形相は、今までに見せた事の無い位激しく勝つ熾烈なもの・・・
漲る殺気と相成って、それは正しく“鬼”に限りなく近いものだった。