くノ一娘。物語

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335たぢから
「お前、生きていたのか。しぶといわね。」
「それが玉にキズだべさ。」
「まあいいわ。見たところ、私に負けたショックでやつれたようじゃない。」
今更言うまでもないが、あみの指摘どおり、安倍の体は以前より痩せたというよりやつれている。
「・・・市井ちゃん、なっちでも無理だよ。あいつは・・・」
「後藤、黙ってて。そしてなっちの戦いを見ていなさい。」
336たぢから:02/05/25 01:36 ID:m5eEO2+t
先ほどあみと戦った後藤は、安倍が敵うとは微塵も感じられなかった。
一度あみに負けているし、その戦いのダメージが癒えてるとは言い難い。
さらに言えば、あみには“修忍の法”がある。
「それでもお前に勝つ!一度は壊れたなっちを救ってくれた仲間の為に!
そして、誰にも譲らないよ。朝組一は・・・この安倍なつみだべさ!!」
その気迫に、あみはおろか、後藤も少し怯んだ。
ただ市井だけは、黙々と後藤の止血処置をしている。
337たぢから:02/05/25 01:37 ID:m5eEO2+t
「戯言ね。そこまで死にたいなら、たっぷりと料理してあげるわ!」
「なっちは一度死んだべ! できるものならやってみろ!」
その次の瞬間、あみの頬に安倍の右拳が減り込んでいた。
しかもその重さは凄まじい様で、あみは軽く林の中へと吹き飛ばされた。
「ぐっ・・・! 迂闊だったわ・・・」
だがあみが無駄口を叩く暇も無く、安倍は信じられない程の激しい攻撃を繰り返した。
その攻撃を避けようとあみは必死になるが、何故かそのスピードに全くついていけない。
先程の後藤との闘いでは無傷だったあみの体に、ダメージが刻まれてゆく。
338たぢから:02/05/25 01:38 ID:m5eEO2+t
数分後、安倍は依然押していた。さすがのあみも、防御がやっとだ。
「右腕一本、貰うべさぁ!!」
安倍の渾身の拳が、あみの利き腕を襲う。
だが、その拳はあみの右手によって阻まれた。
「何だべ!?」
「漸く・・・見切れてきたわ。」
そう、“修忍の法”により、あみの戦闘能力が安倍に追いついたのである。
これには安倍も焦りの色を隠しきれない。
339たぢから:02/05/25 01:39 ID:m5eEO2+t
「地面に頭をこすりつけな!!」
そう言うと、あみは包み込んだ安倍の左拳を軸にして、安倍の体を回転させて地面に叩きつけた。
「市井ちゃん! やっぱ無理だよ。アイツは戦うにつれて強くなるんだっ!」
後藤は堪らず、安倍を助けに行こうとする。しかし腹部の傷が痛み、立ち上がれない。。
「まさか・・・傍から見ていてそうかとは思っていたけど・・・」
市井も驚きの色を隠しきれない。
「なっち!!」
「くっ・・・」
市井と後藤の呼びかけに、安倍は立ち上がる。
だが、先ほどの一撃が強烈で、立っているのが精一杯だ。
340たぢから:02/05/25 01:46 ID:m5eEO2+t
「フッ・・・仲間の声援に応える・・・か。そこまで仲間が大事なら、私が壊してあげる。」
「なっ・・・!?」
突如安倍は動けなくなった。
「なっちに何をしたっ!?」
安倍の異変を感じた後藤が叫んだ。
「金縛りだよ。眼力で威嚇して、安倍の全神経を麻痺させたわ。」
「なんだって!?」
「安倍、お前は大事な仲間が嬲り殺されるのをのんびり眺めているがいい!!」
あみは市井と後藤のほうを向いた。
「後藤は既に倒したも同然、市井はこの二人には及ばない雑魚・・・どう料理しようかしら?」
あみは獲物を前に、獅子・・・いやそれを超越した野獣の目をしている。
341たぢから:02/05/25 01:50 ID:m5eEO2+t
以上が5/24深夜〜5/25アップ分です。
あ゛〜眠い・・・

(●´ー`●)<それより、なっちピンチだべさ・・・

せっかく強そうな登場をしたのに、安倍はあみにまた敗れるのか!?
(↑俗に言う“ピッコロさん現象”)

そして市井と後藤の運命やいかに!?

それではおやすみなさい。
342名無し募集中。。。:02/05/25 02:45 ID:aBzfyGc0
深夜にお疲れ様。しかし ああ、続きが気になるなぁ・・・
343ファンやで!:02/05/25 10:02 ID:83bRM0DI

ヤンジャン恐るべし…。
ココまで強かったら神ですな!

今後、ヤンジャンを凌駕する猛者は登場するのでしょうか?
作者さん、期待しておりまっせ!
344たぢから:02/05/25 23:00 ID:vPrgbY6I
「市井を雑魚扱い・・・ね。半分当たっているだけにムカツクね。」
市井はゆっくりと立ち上がり、あみと向き合った。
(あれ? 市井ちゃんの武器が・・・)
どさくさに紛れて気付かなかったが、市井の帯には二本の鞘が差してある。
これはどういうことなのだろうか?
「でも・・・あくまで半分よ。市井にはなっちや後藤のように才能はないけど、それが全てじゃない!」
「フン。じゃあその残り半分とやらを見せてもらおうじゃない。」
あみは依然余裕だ。市井の言葉など、はったり同然と受け止めている。
「・・・後悔させてやる。市井の力全てを・・・お前にぶつけてやるよ!」
そう言うと、市井は二本の刀を抜いた。
345たぢから:02/05/25 23:01 ID:vPrgbY6I
二本の刀は短い。小太刀だ。
「まさか・・・小太刀二刀流!?」
寺田剣術には無い剣術に、安倍も後藤も驚いた。
「本当は秘密兵器だったんだけどね。でも二人を守る為に、あえて封印を解くよ!」
「確かに、小太刀なんて小室忍軍の情報にも無かったわね。尤も、アンタなんか軽視されてただけかもね。」
完全に市井を見下しているあみ。
もはや向かう所敵無しの状態である彼女にとっては、今更誰が何を持ってこようが関係ないのだ。
「まあいいわ。その小太刀ごと、お前を打ち砕いてやる!!」
あみは刀を抜いた。
346たぢから:02/05/25 23:02 ID:vPrgbY6I
「市井死ねぇ!!」
あみは一気に間合いを詰め、以前安倍と戦ったときに覚えた疾風閃を放った。
市井は片方の小太刀だけで受け止める。
さすがにあみの重量のほうが大きく、若干押されたが。
「甘い! 寺田剣術の太刀筋は全て知ってるわ。そんな真似事ごときで市井は倒せないよ!!」
「何っ!?」
「くらえ双烈斬!!」
「ぐあっ!」
市井は、二本の小太刀をあみの両肩に叩きつけた。
おそらく鎖骨くらいは破壊されたであろう。
「双円斬!」
あみに隙が出来たところで、間髪入れず回転剣舞技に入り、連続してダメージを与える。
市井の予想外の高速攻撃に、さすがのあみも為す術がない。
市井の渾身の技が、あみの体に次々と刻み込まれてゆく。
347たぢから:02/05/25 23:04 ID:vPrgbY6I
「ぐはっ・・・! こ・・・このぉぉぉぉぉ!!」
なんとか負けじと強引に市井に攻撃を掛けるあみ。
しかしそんなあみの攻撃ですら、市井は軽く受け流して小太刀を叩きつける。
ただ、この戦闘能力の上昇は修行だけで得られたものではない。
それ以上に、市井は限界以上の力を発揮していた。
その戦闘能力は彼女の身体に大きな負担をかけていた。
長時間全開で戦い続ければ、当然彼女の身体には絶大な負荷が掛かり、最後には崩壊する。
だが市井はそのことは承知の上で、あえて限界に挑んでいた。
そうでなければ、鈴木あみには勝てないと判断したからである。
348たぢから:02/05/25 23:05 ID:vPrgbY6I
市井が念頭に置いていたのは、言うまでもなく“修忍の法”によるあみのパワーアップだ。
“修忍の法”の名はともかく、その内容は安倍の戦いを通して理解している。
いくら自分が強くなっても、早めに片付けなければ、立場は逆転する。
自分の強さがあみのパワーアップにつながる・・・“諸刃の剣”の戦い方なのだ。
それでも市井は全身全霊の攻撃をあみにしかけた。
あみが自分の戦闘能力を上回る前に倒さなければならない。