くノ一娘。物語

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325たぢから
「あーっはっはっはっ!!」
勝利に陶酔し、大声で笑い続けるあみ。
彼女に、背後から迫ってくる気配など気付く余地も無かったであろう。
尤も、背後からの刺客もあみに気付かれぬ様に気配を限界まで消してはいたが…
「・・・!?」
自分自身の直ぐ後ろから殺気が急激に沸き上がってくる事をあみは感じ取った。
…だが、彼女が後ろを振り返った時には既に彼の胴体は何者かの腕によって締め付けられていた。
そして次の瞬間、あみは急激な上昇によるGの変化を体感した。
326たぢから:02/05/23 23:02 ID:+rs9YnwO
「・・・!!」
激しい轟音と共にあみの頭部は地面に減り込み、あみ自身は口から唾液を垂らして気絶していた。
安倍を、後藤を完膚なきまで叩きのめしたあみが、何者かによって気絶させられたのである。
気絶させた張本人は・・・黒のマントを羽織り、黒の忍び装束をまとった少女だった。
ジャーマンスープレックスであみを気絶させた為、その身体は上に反り上がっている。
暫くして黒尽くめの刺客が起き上がる。
あみの身体は力無く刺客とは反対の方向に倒れ、うつ伏せの状態になった。
327たぢから:02/05/23 23:03 ID:+rs9YnwO
後藤・・・
後藤・・・
「後藤っ!」
「う・・・」
漸く後藤は反応を示した。
この重体の身体からもはや手後れと思われたが、何とか呼び掛けに答える事が出来た。
呼び掛けの声の主は、市井紗耶香であった。
「・・・市井ちゃん!? ・・・どうしてここに?」
「炸裂弾の爆音が聞こえたからね。それより傷を見せて。手当てするから。」
「駄目だよ・・・鈴木あみが・・・」
後藤は立ち上がって市井を制しようとしたが、今の彼女には無理だった。
「大丈夫よ後藤。あみなら・・・」
市井と後藤の視線の先には、倒れたあみと、黒ずくめの刺客がいた。
328たぢから:02/05/23 23:06 ID:+rs9YnwO
「ぐ・・・ 何なんだ今のは・・・」
あみは重い身体を何とか起こし、立ち上がった。
だが、先程首に掛かった負荷が余りにも大きく、未だ鈍痛が彼女の頭部を廻っている。
それでも首を折っていなかったのは、強靭な肉体のお陰といったところか。
…と、彼女の目の前には後藤の代わりに、黒尽くめの刺客が立っている。
「さっきの不意打ちはお前か・・・何者だ?」
「何者だって?・・・この顔、忘れたとは言わせないべ!」
すると黒ずくめはマントを取り払った。
「!? ・・・お前は・・・安倍!」
そう、例の刺客の正体は安倍なつみだった。
「鈴木あみ!今度こそお前を倒すべさ!」