1 :
名無し募集中。。。:
誰か反応してやろうよw
3 :
:02/04/04 17:27 ID:E+Dzf7ah
Σ(゚д゚)
反応しましたが、何か?
4 :
L.O.D:02/04/04 20:10 ID:nWvF/OAV
第一章 石川梨華
深夜零時の部屋。
食器の上に置かれた真っ白なショートケーキは
銀色のフォークで切り崩され
色鮮やかなピンクの口紅に彩られた唇に運ばれた。
「でね・・・・・・」
部屋の主 石川梨華の顔はどこか優れない。
「うんうん」
テーブルを挟んで向こうにいる吉澤は
パウダーがたっぷりかかったチョコレートケーキを食しながら
うなづいてみせる。
「なんかこう、前に出ていけないというか」
「うーん・・・・・・」
悩み相談。
いつもの事だった。
時間のある時は、どこかケーキ屋さんで買ってきて
今はコンビニにもケーキや甘い物は置いている。
こうして、石川の好きな物を食べながら
吉澤は結局最後は溜息で終わる長い長い悩みを
聞いてあげるのである。
「ラジオとかじゃ、しゃべれるんだけどなぁ」
「そうだよね」
「しゃべれてるよね、ラジオは」
「台本通りだけどね」
「うん、、、アドリブが効かないのがねー
これで、よっすぃみたいに
おもしろい事とか出来たらいいんだけど」
「梨華ちゃんは梨華ちゃんなりでいいんじゃない」
「そうかなぁ」
吉澤の目に映るのは、白いクリームがついてる石川の唇。
そっと横に移動して、背にしてたソファの上に座る。
「おいで」
「よっすぃ・・・・・・」
「私とキスしたら、嫌な事なんて忘れちゃうよ」
細くて綺麗な指が、石川の唇を撫で、
ついてたクリームを舐め取ると
吉澤は優しく微笑んだ。
5 :
L.O.D:02/04/04 20:11 ID:nWvF/OAV
石川が恥ずかしそうにしてるのを見て
少し力強くその身体を抱き寄せながら、唇を奪う。
「んぅ・・・・」
「ふっ・・・・・」
「舌、出して」
「?」
上からかぶさるように見つめられるのが
凄く淫美に感じて、石川は目をつぶる。
差し出された舌に自ら絡んでいく吉澤の舌。
粘膜と粘膜が触れあい
ピチャピチャという音を立てる。
「目隠ししちゃお」
「え、、あ、、、、怖いよ」
「大丈夫、私がリードしてあげるから」
吉澤の手はそこら辺にあったタオルを取り
石川の目の辺りを覆ってしまう。
布の中で目を開けた石川が見たのはうっすらとした光の世界。
何も見えず、ただ白い空が広がる。
だけど、いつもより、吉澤の温もりや感触を近くに感じて
石川は手を伸ばした。
「どうしたの?」
「抱き締めて・・・・」
「怖い?」
「ううん、、気持ちいいから」
「目隠し、、、、いい?」
「うん、いいよぉ」
「そっか、目隠し好き?」
「好きかも・・・・・」
6 :
L.O.D:02/04/04 20:12 ID:nWvF/OAV
「服、脱がせるよ」
吉澤がボタンを開けていく音が聞こえる。
自分の身体が自分のものじゃないような感覚。
恥ずかしさ。
それ以上に、吉澤の視線が気持ちいい。
「梨華ちゃん、もう濡れてるよ」
「や、、、」
「目隠ししてるだけなのにね」
「だって、、よっすぃが見てるから」
「見られてるだけで濡れてるの?」
「うん、、、、なんかすっごいHだよぉ」
「へぇー」
「よっすぃ、触って」
ショーツの上から優しく撫で回す吉澤の手の動きさえ
敏感に感じ取ってしまうほど
全身の感覚が敏感になってる感じがする。
「真っ赤になってるね」
「恥ずかしいんだもん」
「かわいいよ」
「ね、、、ねぇ」
「なに?」
「もっと強くして?」
「なにを?」
「弄るの、、、」
「ここ?」
自分でも熱くなってるのが分かってた
左手でショーツをどけ、右手の人さし指が
グリッとえぐるようにクリトリスの皮を剥いてしまっただけなのに
「ふあぁあああっ!」
石川は腰をビクッとさせていた。
「ちょっとぉ、梨華ちゃん、それは感じすぎじゃない?」
「あぁあ、、、よっすぃ、すごいいいのー」
「そんなによかったの?」
真っ赤に熟れたイチジクの実のような紅。
吉澤は、嬉々とした表情で
石川の肉壁に口をつけていった。
いつものように。
7 :
L.O.D:02/04/04 20:12 ID:nWvF/OAV
翌日。
石川は楽屋の扉を開ける。
今日も仕事。
辛い事は少なくないし
優しくもない。
だけど、仕事は嫌いじゃないし
なにより、モーニング娘。という
このグループが好きだった。
「おはようございまーす」
「おはよ」
「おはよー」
先に来てたメンバーが挨拶を返してくれる。
その中で1人、眼鏡をかけて、本を読む矢口の姿が
目に入って、石川は駆け寄った。
「あらー、矢口さん、眼鏡なんかかけてー」
「似合う?」
「似合いますねー、石川、なかなか似合うのないんですよ」
「かけてみる?」
赤いセルフレームの細めの眼鏡だった。
8 :
L.O.D:02/04/04 20:13 ID:nWvF/OAV
石川は矢口から受け取って、かけてみる。
「あー、似合わないわ、あんた」
保田が真っ先に言う。
「早いですよ、保田さーん。
でも、似合わないですね・・・・」
「きゃはははは」
眼鏡は矢口に返し、荷物を置いて
とりあえずそこら辺に座る。
手持ち無沙汰にテーブルに置いてあったポッキーに手を伸ばす。
袋を開けながら、厚い本を黙々と読んでる矢口を見てる。
「私も本読もうかなぁ・・・・」
「あんた、パソコンでも覚えたら?」
「買わなきゃヤバいですかねー?」
「中卒だしね」
「ですよねぇ、、矢口さん、中退でしたっけ?」
「え、やぐっつぁん、中学中退?」
さっきまで部屋の隅で寝てた後藤が目を覚まして
ポツリとつぶやいた。
「なんでだよ!!」
「さすがにうちの事務所でも、中学は卒業させるわよ」
「だよねー、ビックリしたよー」
「一応、矢口は高校3年までは在籍してたからね。
バカだったけど」
「なんかいいんだか、悪いんだか分かりませんね」
「石川は一言多いの!」
すねたようにそっぽを向いて、また本を読み始める矢口。
石川はくすりと笑った。
9 :
L.O.D:02/04/04 20:14 ID:nWvF/OAV
「お疲れさまでしたー」
ラジオの収録が終わる。
ブースから出て、ディレクターやスタッフに一礼したり
世間話をして、廊下に出た後は
飯田と並んであるいていた。
「石川」
「はい?」
「最近、がんばってるね」
「飯田さんは大丈夫ですか?」
「圭織?」
「リーダーになって、交信する時間は減ったんですけど
お薬とか飲んでるみたいだから・・・・・」
「あぁ、うん。やっぱ、裕ちゃんがいなくなっちゃったから」
そう言って、飯田は苦笑してみせる。
「ダメですよぉ、身体壊したりしたらー」
「ほんとだね、そういう時は助けてよ、石川」
「やぁー、私もまだまだ自分の事で手一杯ですよ」
「あははは、そっか」
玄関の風は少し生暖かくて
季節の変わり目を感じさせる。
「じゃぁね」
目の前にいたタクシーに先に乗り込む飯田。
「お疲れさまでしたー」
すぐに後続のタクシーがやってきて
石川はそれに乗り込む。
自宅の場所を告げると、すぐに走り出した。
窓の外に街が見える。
鞄からそっとMDウォークマンを取り出して
イヤホンを耳に差し込む。
流れ出した音楽が、無駄な思考を掻き消していく。
流れていく景色を見ながら石川は1人、
昨日の夜の吉澤の温もりを思い出してた。
(よっすぃ・・・・・・)
そして、それは全ての始まりだった・・・・・・
第一章 終
10 :
gattu:02/04/04 20:55 ID:vtxa+tWS
よかとばい
LOD乙です
いまからマターリよみまする
12 :
L.O.D:02/04/05 09:23 ID:C3XbgqRK
第二章 加護亜依
部屋に差し込む光はレースのカーテンが優しく遮られ
起きたばかりの加護の意識を
うっすらと目覚めさせていく。
(あぁ、、もう朝かいな)
もぞもぞと布団から抜け出し
しばらくベッドの縁でボーっとする。
昨日はミニモニ。の新曲のレッスンで遅かった。
もうちょっと眠っていたいが学校がある。
どうせほとんど行けてないのだから
仕事を減らすか、通信教育にしてくれとも思うのだが
同期の吉澤が頑張って、高校を受けたのを見ると
そういうのも1つの仕事なのかとも思う。
(朝ご飯食べな・・・・・・)
居間に向かうと、焼き立てのトースト。
卵焼きにベーコンなどのつけ合わせ。
牛乳の飲めない加護に合わせ
オレンジジュースも出されていた。
フッと庭を見ると、婆ちゃんが花の手入れをしている。
「いただきまーす」
それらを胃の中に放り込んで、
顔を洗って、歯を磨き
所用を済ませば、
もう登校の時間だ。
制服を着て、学校用の鞄と仕事用の鞄を持つ。
今日は午前で終わりだから
給食は食べれない。
(給食食べて、仕事遅れていこかな・・・・・・
どうせ安倍さん、遅刻するんやろし・・・・・・)
そんな事を考えながら、歩いていれば
すぐに学校には着いてしまい
授業は始まるのである。
13 :
L.O.D:02/04/05 09:24 ID:C3XbgqRK
「・・・・・・」
教科書に載ってる人物写真にボールペンで
ひげや青筋を書いていた。
学校に来た途端、生理が始まって、かなり鬱だった。
吉澤なら明確に具合悪そうなので
まだ待遇もしてもらえそうなものだが
痛みはほとんどなく、ただ鬱だった。
(こんなん覚えて、何になるちゅーねん)
写真の下に書いてあって名前を
『ペリー』から『ペリカン』に変えたところで
飽きてしまったらしく、机から携帯電話を取り出して
メールをチェックした。
まずは、一通目。
『現場来る時に、肉まんとチョコまんとポッキーとアイスよろしこ なっちより』
(熱いのか、冷たいのかはっきりせぇや 次はののか。)
『ケーキがうまく焼けたよー』
(どうせ1人で食うんやろ?太るで、ほんま。次、狛犬)
『石川にプレゼント買おうと思うんだけど、なにがいいと思う?』
(美白ファンデーションでも買っておけ。えー、次はロボット)
『あのね、髪の毛って大切だと思うの。
でね、やっぱり汗とかってかきっぱなしになってると汚れちゃうじゃない。
そのままにしておくのってダメなのね。
ちゃんと洗う時は美容室みたいに頭皮をやさしくマッサージしながら
洗わなきゃダメなんだよ、分かった、加護?』
(長っ!読んでられるか!読んじゃったけど。ハゲ言うな、ボケェ!)
『ヒマ マキ』
(き、、木彫りの熊、ま、、、真希。ってなんでしりとりせなあかんねん!)
『ハァ〜イ、ピエールデェス』
(ヲタの電話より訳わからへんがな!)
『ね、あいぼん、よっすぃの携帯がつながんないのー』
(着信拒否られてるんちゃうんか?)
『学校早退して早く来い ヤグチ』
(命令かよっ!あい、オヤビン!!なんてな。)
14 :
L.O.D:02/04/05 09:24 ID:C3XbgqRK
「加護さん?」
先生の声で突然自分の名前を呼ばれて驚いてしまう。
「あ、あいぃ!」
「具合悪いの?」
「あ、、はい」
「保健室行く?」
「すみません・・・・・・」
そろーりと教室から出ていく。
大人を騙すなんて簡単だ。
生まれてから、ずっと誰かを騙してきた。
いい子を演じた。
おもしろい子を演じて、
みんなが喜んでくれて
その輪の真中に自分がいる事が
気持ちいい事なんだという事は
幼い自分でも分かってしまっていた。
いつからなんてものは分からない。
加護亜依は誉められる事だけを糧にして
今まで生きてきた。
怒られるのは嫌いだった。
誰かとぶつかるのも嫌いだった。
そういう類いのものは全て避けて通ってきた。
本当の自分は誰なんだろうか。
答えは見つからないまま
毎日、仕事をしていた。
仕事をしていると、忙殺されて
悩まなくなった。
笑って、おもしろい事を言えば
誉めてもらえるし
何か怒られるような状況でも
しゅんとしたフリをしておけば
なんとか切り抜けてしまえた。
女子トイレの個室に入って
スカートを軽くたくしあげると
ショーツに手をかけた。
15 :
L.O.D:02/04/05 09:26 ID:C3XbgqRK
血がベットリとついたナプキンが見える。
はずして、なんとなく拡げてみる。
ヤケにその赤が鮮やかに見えた。
軽く匂いを嗅ぐ。
「オェ・・・・・・」
なんとも形容しがたい匂いが鼻孔を犯す。
屑篭に放り込んで、トイレットペーパーを手にすると
血で濡れた股間を拭う。
「んぅ・・・・」
(あかん、しばらくしてへんかったから、感じやすくなってる、、、)
薄い恥毛の下にぷっくりとした肉丘が見えていた。
授業中に学校のトイレで、しかも
自分はモーニング娘。であるにも関わらず
こんなところで感じてしまっているという事実が
さらに淫微な雰囲気を作ってしまう。
加護の幼気な指は陰唇を割り、なぞる。
血なのか自分の性器から溢れ始めた汁なのか分からない
ただヌチャヌチャという卑猥な音を立てて
自らの指で攻め立て始めた。
(すごい、、いいけど、、、声出したらあかん、、、)
ハッと思い付いて、胸のポケットに入ってたハンカチを
3つに折ると、噛みしめた。
ハンカチで閉じられた口から漏れるのはくぐもった声。
「んぅ、、、んぁ、、、、、、、」
右手がグチャグチャになってるのが分かる。
止めたくなかったが、右手を開いてみると
真っ赤な血に混じって、透明な液体が
ヌラヌラと光を放ちながらダラリと手の平を流れ落ちていく。
(なんや、、すごいエッチィなぁ)
指を2本膣口の辺りに這わせると
腰が砕けそうなくらい感じてしまう。
その度に聞こえる汁をかき混ぜる音がまた
耳から入ってきて、加護の思考を狂わせる。
レイク氏の原作のファンだったんで、それ以上の完成度じゃないと納得しないよ。
もちろん、自信があるからリメイクしてるんだよね?
激しく期待してるよL.O.Dたん。
17 :
L.O.D:02/04/05 09:36 ID:C3XbgqRK
(なんでや、、、、なんで、こんな感じんねやろ、、、、?)
「ふっ、、、は、、、、、はぁっ」
身体をくの字に折りながら、立ったまま
前屈みになって、自分を慰めるその行為が
こんなに感じるなんてひさしぶりだった。
(あぁっ、、、なんか、、、なんか入れたい、、、、)
トイレの中を見回す。
飛び出してはいるが、水を流すノブは無理だ。
手の動きを止める事なく、顔を動かすと
ちょうど手元にあったのは
トイレットペーパーホルダー。
まだ残ってるトイレットペーパーを力まかせに外して
ホルダーのプラスチックの芯を手にする。
理性などで制御は出来なかった。
「ふぐっつんんぅ」
アイドルが学校のトイレでトイレットホルダーの芯でオナニーをしている。
誰かに見つかれば、もうこの学校にはいれないこの状況は
加護の手をいやがおうにも速め、羞恥心を煽ってくる。
早くしないと・・・・・・
誰かに見つかったら・・・・・・
ポタリと床に血がしたたり、ジワーッと広がっていく。
その様が目に焼き付く。
「んぶ、、んぅぐふぅう!」
恥肉をかき回す芯。
「ふっうぅ、、、ふぐぅううんん!!」
18 :
L.O.D:02/04/05 09:38 ID:C3XbgqRK
目をギュッとつぶって、やってきた絶頂に浸る。
壁に手をついて、腰が震えるのを感じる。
頭が真っ白になって、便器に身体を預ける。
額から滲んだ汗が頬を伝い、流れていった
(なにやってんやろ、うち・・・・・・)
頭の奥底で授業終了のベルが鳴ってるのを聞きながら
未だ入ったままになっていたトイレットホルダーの芯を抜く。
鮮血といやらしい汁にまみれた芯。
加護亜依のオナニーの後の残骸。
(憂鬱やな)
手をそのまま便器の中につっこみ
じゃぶじゃぶとそれを洗うと
なにごともなかったように
ホルダーにセットし直して
そしらぬ顔でトイレから出ていくのであった。
「加護ちゃんでGacktさんです!」
真っ赤な厚手のカーテンが開く。
特注した派手な椅子に腰掛け
スーと前に進む加護は幼げな指でサングラスを押し上げ、一言。
「この、、ハロモニっていうの、、、、
番組、、、、おもしろいね、、、」
「あはははははっ!」
これでいい。
スタッフの人も笑ってる。
みんな、笑ってる。
喜んでる。
モノマネを終えると、加護はすぐに列に戻る。
(・・・・・・?)
反対側の列には辻がいた。
無意識に辻を見ていた・・・・違う。
辻がこっちを見ていたのだ。
その目は親しみの欠片もない
まるで値踏みするような憎々しさが
込められたものだった。
第二章 終
19 :
L.O.D:02/04/05 09:41 ID:C3XbgqRK
『休憩中』
また夜にでも更新しよ・・・・・・
>>16 自信ってほどのもんでもありませんが私もこの作品は好きですから
ぞんざいには扱いませんよ。
更新中にレスしてスマソ。
レイク氏の短編集ネタも入ってるんだね。
21 :
L.O.D:02/04/05 21:11 ID:cDkWHalV
第三章 辻希美。
テレビ局の廊下は長いから嫌いだ。
歩いても歩いても着かない感じが嫌だ。
加護亜依も嫌いだった。
媚びたように笑いを取ろうとする。
一緒にいたくないのに付いてくる。
嫌い。
嫌い。
嫌い・・・・・・
「辻」
突然、呼ばれて、身体がビクッとなった。
振り返ると、そこには矢口がいた。
「矢口さん・・・・・」
「これからなっちの家でご飯食べるけど、来る?」
「あー・・・・・」
「二人で食べるのもなんだからさ
なにもないなら、おいでよ」
「行きますー」
「じゃ、ロビーで待ってて」
楽屋に戻っていく矢口。
まだメイクを落としてなかったからいつになるのか分からない。
辻は、ロビーで缶ジュースを買って、待つ事にした。
思い出すのは、さっきの収録の事。
加護の満足そうな笑み。
吐き気がする。
22 :
L.O.D:02/04/05 21:15 ID:cDkWHalV
「ごめんねぇ、矢口、まだかかりそうだわー」
「いいですよ、矢口さんですから」
「そっかぁ、ミニモニ。で一緒だから分かってるか」
二人は顔を見合わせてて、いたずらっぽく笑う。
どこか子供っぽい人だった。
一緒になってふざける事もあった。
だけど、仕事をする時はすごく真剣で
先輩の風格を感じる事がある。
大好きな先輩。
「なに食べよっかー?」
「うーん・・・・」
「お肉は飽きたしなぁ、、、」
「エビチリ・・・・・」
「エビチリ、、中華の素あったはずだなぁ
まだスーパー開いてるから、寄っていこうね。
お酒も買わなきゃいけないや」
「あのぉ、辻、カクテルが飲みたいです」
「あらっ、辻ちゃん、飲むのかい?」
「うん、だって、二人とも飲むのに
ののだけ飲まなかったら・・・・・・」
「あー、そうだね、仲間はずれになっちゃうもんね
じゃ、帰りに買ってこうねー?」
「はーい」
長い廊下の向こうにバッグを手にした矢口が見える。
ごめんごめん、と手を振ってる。
安倍と辻は立ち上がって、彼女を迎えいれた。
「矢口、遅ーい」
「化粧濃いーー」
「薄いよ!」
23 :
L.O.D:02/04/05 21:18 ID:cDkWHalV
何時間経っただろう。
視界がボヤけてる。
調子に乗って飲み過ぎた。
というより、自分がどれだけ飲めば
酔うのかが分からなかった。
「辻、こっち来な・・・・」
呼ばれるままに擦り寄っていくと
誰かの唇が口を塞ぐ。
舌を伝って、何か飴玉のような物がねじ込まれる。
「んぅ、、これ、、、、なんですかぁ?」
「合法ドラッグだよ」
「気持ち良くなれるお薬だからね」
「気持ち良く・・・・・・」
「気持ちいいの好きでしょ」
「うん」
「じゃ、みんなで気持ちよくなろうね・・・」
後ろから抱き締めてるのは安倍の腕。
いとも簡単に脱がされていく。
口の中に広がるのは、甘い蜜林檎の味。
喉元を過ぎると、それは熱に変わり
火照った身体が熱く感じる。
「ベッドに行こ」
そっと手を引かれ、横たわった場所は
フカフカとした心地良いベッド。
24 :
L.O.D:02/04/05 21:20 ID:cDkWHalV
「辻・・・・・・」
耳元で聞こえたささやくような声。
甘噛みされた耳たぶ。
外耳の形状にそって、矢口の舌がカーブしていく。
ザワつくような快感の波をはっきりと感じる。
これだけなのに、足が震えるくらい気持ちいい。
オナニーとは全然違う。
安倍の手が触れたのは、未発達の胸の先にある肉芽。
まだ開発されてないその器官も
ドラッグによって、十二分な感覚を得た
辻にしてみれば気持ち良くなる方法の1つになり得た。
コリコリと固くなり始めた乳首を
丹念にいじわるく、執拗に攻めあげる。
「んぁ、、んあぁああ!」
「あぁ、辻ちゃん、大きい声だね」
「感じちゃってるねぇ」
「らってぇ、、、すごい気持ちいんだもん、、、」
「毎日してあげるよ」
矢口の手がお腹を通り、まだ生え揃わぬ恥毛を撫でる。
その下のクレバスをゆっくりと押し割っていく。
濡れている。
「まい、、、、にち?」
「そう、私達と一緒にいたら、毎日してあげる」
甘い囁き。
ふわっと香る林檎の匂い。
25 :
L.O.D:02/04/05 21:21 ID:cDkWHalV
「辻は、もっと気持ちよくなりたい?」
「・・・・・・なりたいですー」
安倍は矢口と視線を合わせる。
彼女の股間には、そそり立つ紛い物の男性器。
辻の肉壁に押し当てると
それは、辻の絶叫のような声と共に
飲み込まれていった。
「ふあぁあああぁあああ!!」
「あはぁ、全部入っちゃったよ」
「私のもしてね?」
乱暴に身体を突き上げる激しい動きに声を殺す辻の顔に
熱く潤んだ矢口の秘貝が近付く。
辻は、無意識に舌を伸ばして、それを舐める。
まるで、顔に自分の愛液を刷り込むように
押し付け、腰を振ってみせる矢口の表情は
嬉々としていた。
身体を反転して、グチョグチョになった辻の顔を見て、言う。
「矢口もなっちも辻の事が大好きだよ。」
「・・・・・・」
「だから、ずっと一緒にいようね」
「・・・・ぁい」
「ずっとずっと気持ちいい事しようね」
「・・・・ぁい」
「矢口の言う事聞いたら、いつでもしてあげるよ」
「・・・・矢口さん」
辻の幼げな手を取り、そっと薬指を口に含んでみせる。
ぬらぬらとした口内でしゃぶられる快楽に
辻の頭の中は真っ白になっていく。
辻希美が堕ちていく。
26 :
L.O.D:02/04/05 21:23 ID:cDkWHalV
それから、何度イカされただろうか。
ただ部屋に充満した愛液の匂いと汗の匂いが
頭がクラクラするくらい濃くなっていた。
「立てる?」
ベッドの縁に座った安倍が手を伸ばす。
辻はそれに引っ張られながら、立ち上がる。
「さ、シャワー浴びようね」
「うん・・・・」
リビングを横切ると、裸のまま
矢口が眼鏡をかけて、新聞を読んでる。
灰皿の中でタバコの火がオレンジ色に燃えていた。
広いシャワールームだった。
少し熱めのシャワーをかけられると心地良かった。
「あのぉ」
「ん?」
「安倍さんはぁ、矢口さんといつからシてたんですかー?」
「そうだなぁー、いつだろう、ずっと前からだよ」
「いいなぁ、うちはずっと1人だから、、、」
「辻ちゃん、加護の事嫌いだもんね」
「え?」
「分かるよ・・・・」
そう言って、笑ってみせた安倍。
辻は黙って、そのまま抱きついた。
何も言わず、強く抱き返してくれて
もう一度キスをした。
大好きな先輩。
「辻ちゃんにはうちらがいるからね・・・・」
「もっとぉ気持ちいい事してくださぁい」
「そうだね、もっとしようね・・・・・・」
辻は満面の笑みを浮かべる。
とても、幸せそうな顔だった。
リビングでタバコを吸う矢口は、自分の鞄から
茶封筒に入った写真を取り出す。
そこに映っているのは、石川梨華。
目隠しをされ、頬を赤らめながらも
激しく濡らした淫乱な牝猫の姿があった。
「ふふっ・・・・・・」
第三章 終
27 :
:02/04/05 21:38 ID:yeVemkuH
リアルタイム〜♪
もしかしてこれから急展開が!?
とても楽しみです!
というわけで、交信おめ。
28 :
:02/04/05 21:39 ID:yeVemkuH
あああ!
ageちまった…
L.O.D編もなかなか・・・いや、かなりイイね〜
30 :
L.O.D:02/04/06 23:32 ID:KbwBBUU8
第四章 吉澤ひとみ
人間は人と共存して生きていく。
常に人と関係して生きていく。
これは、自然の摂理であるのだが
それを超えると、依存と呼ばれる。
真っ暗な部屋で、吉澤ひとみは身体を震わせながら
携帯電話を握りしめる。
彼女にとって、それだけが救いであり
誰かとの関係であった。
鳴ったのは、ミニモニ。じゃんけんぴょんの着メロ。
3コールで出た。
「矢口さんっ!!」
『あぁ、よっすぃ、起きてたの?』
「だって!まだ矢口さんから電話来てないからっ」
『写真見たよ』
「ちゃんと撮れてますよね」
『うん、綺麗に撮れたね』
「これで、今晩、会ってくれますか」
『今日は遊ぼうね』
「ありがとうございます!!」
電話の向こうから聞こえる温かな言葉は
頭の中で一言一言響いていく。
声で犯されてる気がする。
気持ちいい。
もっと聞きたい。
もっと欲しい。
『あとは夜ね』
無情にも切れてしまう。
だけど、吉澤は笑っていた。
「夜・・・・・・」
夜になれば、抱いてもらえる。
あの小さな手で蹂躙される。
御褒美がもらえる。
また、今日も生きていられる気がする。
31 :
L.O.D:02/04/06 23:33 ID:KbwBBUU8
矢口とこういう関係になったのは
もうデビューしてすぐの事だ。
地方の仕事で同じ部屋になった時
少しナイーブになってた吉澤に気付いた
矢口に優しく抱き締められ
『矢口はよっすぃの味方だよ』
と、囁かれた時から
この人だけは信じれると思った。
吉澤の全ては矢口のもの。
恋愛とかそういうものじゃない関係。
あの人がいなければ、生きていく事も出来ないから。
楽屋に行っても、まだ矢口の姿はなくて
平静を装って、後藤と一緒に雑誌を読んでた。
ドアが開く音が聞こえる度、
矢口が来たんじゃないかと思って見てしまう。
吉澤が来てから、10分過ぎた頃だったろうか。
やっと、来た。
このタイミングはまずい。
あまりに不自然すぎる。
「おはよ、よっすぃ」
「あ、おはようございます」
身体の奥がギュッと熱くなった。
たったそれだけの事なのに。
32 :
L.O.D:02/04/06 23:33 ID:KbwBBUU8
(あぁ、すごい、、、ちっちゃい。
顔も手も足も・・・・・・
かわいい・・・・欲しい・・・・)
矢口が荷物を置いて、何をするでもなく
眼鏡を弄っているのを見て
吉澤は立ち上がりながら、言った。
「矢口さん、トイレ行きません?」
「んー、いいよ」
柔らかく重ね合わせられた指。
楽屋から一歩出た瞬間、矢口はキョロキョロと
辺りを見回し、誰も入ってない楽屋を見つける。
「欲しかったんでしょ?」
「・・・・・・は、はい」
「我慢出来ない悪い子だもんなぁ、よっすぃは」
矢口がポケットから飴玉を取り出し
吉澤の口の中に入れてやる。
潤んだ大きな瞳。
ただ快楽を欲しがる雌犬の目。
33 :
L.O.D:02/04/06 23:34 ID:KbwBBUU8
その日の夜、石川梨華は郵便受けに入った茶封筒を見つける。
「誰だろ・・・・・・」
パソコンで印刷された住所。
ハサミで口を切り、中身を開ける。
(写真・・・・・・)
裏返しで机の上に散乱した数からいっても
相当な枚数の写真である。
ヲタの嫌がらせか、盗撮とかだったら
しばらく凹んでしまいそうだ。
ゆっくりとその中の一枚をひっくり返した
「!!?」
目隠しされた全裸の女性。
それはまぎれもなく自分の姿だし
寝転がってるそれは、
今、目の前にあるソファだ。
ハメ撮り写真。
(いつ、、、目隠しって、、、、、、よっすぃと、、、、)
(ウソでしょ、、、?ウソだよね、、、、)
写真の山の中から手紙を見つける。
ゴシック体で書かれた内容。
「いやぁあああああああああーーーーーーーーー!!!!!」
泣き叫びながら、引き千切られた手紙は
空中をヒラリヒラリと舞っていく。
石川の身体は力なく床に倒れ込んだ・・・・・・
34 :
L.O.D:02/04/06 23:35 ID:KbwBBUU8
同じ頃、吉澤は事務所が通学用に用意してくれてる
マンションの一室で矢口に愛されていた。
真っ白な肌に食い込むのは、朱色の縄。
スポーツをやってただけあって
ほどよい筋肉がありながらも
女として成長し始めた身体には
脂肪もついてきて
縄は一層の事厭らしく演出してくれる。
身動きを完全に封じられた吉澤は
ボールギャグで言葉も奪われていた。
「ふ、、、ふぁ、、、、」
勝手に垂れてしまう唾液。
それすらも自ら管理出来ない状況が
自分を人間以下に貶めていく。
「あははは、そんなに二穴攻めいいの?
よっすぃもすっかり変態になっちゃったねぇ
お尻にこんなのくわえこんで・・・・・・」
矢口の足が四つん這いの吉澤の尻に刺さっている
バイブの先をグリグリと押し込んでいく。
縄で器用に固定され、力んでも出ないようにされたバイブは
さらに奥へと押し込まれ、腸壁をえぐった。
35 :
L.O.D:02/04/06 23:36 ID:KbwBBUU8
「ふふぃぃいい!!」
「さてと、、私も楽しませてもらおうかな」
矢口が取り出したのは、カテーテルと巨大な注射器。
それを見た吉澤は眉をしかめる。
何をされるか分かってるからだ。
吉澤の身体をひっくり返すと
M字型に固定された足と、意図的に剃られた陰毛のおかげで
太股まで愛液を垂らしただらしない性器も
丸見えになってしまう。
透明な手袋をはめた矢口の指が尿道を探る。
「ふっ!ふぐぅ!!」
薬で敏感になった感覚はそれだけでイカされそうになる。
だけど、待っているのは、苦痛。
拡張された尿道にカテーテルがズルリと入れられていく。
管が身体の中に入っていくのが分かるのだ。
尿道壁を圧迫しながら進むその痛みは
体験したものにしか分からない苦痛だ。
「ふぐあぁあああ!!あぁああああ!!」
「うるさいなぁ」
矢口の手がいじわるく、15センチ近くカテーテルを引き抜く。
「ふぁあああああああああああああああ!!!」
絶叫に近い声だった。
吉澤はビクビクビクッと身体を震わせて、果ててしまう。
「あははは!!イッちゃったの?
すっごーい、尿道でイッちゃったんだぁ」
吉澤の頬を流れる涙を舐め取る矢口。
手はなおも吉澤の身体の中にカテーテルを送りこむ。
ある点でそれも止まる。
そこは、膀胱だ。
矢口は洗面器に、生理食塩水を開け
注射器で500cc近く吸い取ると
カテーテルの先に差し込んだ。
ゆっくりと注射器を押していけば
水がカテーテルの中をどんどん進んでいく。
36 :
L.O.D:02/04/06 23:37 ID:KbwBBUU8
吉澤の顔は真っ青になっていく。
膀胱が膨らんでいくのが見るからに分かる。
下腹部の上の辺りがボコンと膨らんでいくのだ。
どれくらい入れただろうか。
矢口が注射器をはずした頃には
吉澤の全身が震えて、声も出なくなっている。
尿意以外の全ての事を考えられなくなってしまっている。
「出したい?」
「・・・・・・」
小さくうなづくと、矢口は吉澤の手足を自由にしてやり
自分の腹の上にまたがらせた。
手を伸ばして、カテーテルの先をつまんでいたピンをはずす。
「ふあぁあああああああ!!」
プシャァアアアっと音を立てて
矢口の身体にブチまけられる吉澤の小水。
みるみるうちにシーツを黄色く汚していく。
自分の汚物が矢口を汚す快楽。
洩らす快楽。
様々な物が入り交じりながら吉澤を犯していく。
ひとしきり出たところで矢口は
吉澤の髪の毛を掴んで引き寄せると、こう言った。
「綺麗にしてよ」
「はい・・・・・」
吉澤は口元で笑みを浮かべながら
矢口の小さな身体を舐め始める。
小水の苦味と塩辛さを感じつつ
丹念にへその中まで舌を入れる。
「よっすぃは私の物だよ」
「はい・・・・・・」
「今度は誰を仲間にしよっか?」
「ごっちんとか・・・・」
「いいねぇ、後藤にしようね」
矢口の手が優しく頭を撫でた。
それだけで満たされていく全て。
吉澤ひとみの全ては、矢口の愛。
第四章 終
わ…笑える小説だと思ってきたのに…
38 :
L.O.D:02/04/07 13:34 ID:Wd7uQXdl
第五章 後藤真希
風呂上がりのゆったりとした時間。
後藤も他聞に洩れず、自分の部屋でテレビを見ながら
仕事の疲れを癒していた。
テーブルの上の携帯電話が鳴って
液晶を見てみると、そこには、石川梨華の文字。
「どうし・・・・・・」
「ごっちん・・・・・」
「梨華ちゃん?」
通話口から聞こえた嗚咽に混じる悲痛な声。
ただ事じゃないのは、一瞬にして分かった。
「助けて・・・・」
「ど、どうしたの?」
「よっすぃが・・・・・・」
「今、どこ!?」
「お家・・・・・・」
「行くから!!待っててね!!?」
大きな通りに出ると、すぐにタクシーを捕まえて
石川の家の住所を告げた。
距離としてはそんなに遠いところでもないのだが
無性に長く感じる。
不安で歯がガチガチと音を立てるのが嫌で
痛いくらいにグッと噛み締めてみた。
辿り着いたマンション。
エレベーターがまどろっこしくて
階段で昇ると、すぐに息が切れて
石川の部屋の前に行く頃には
大きく肩で息をしていた。
「梨華ちゃん!!?梨華ちゃん!!」
何回もベルを鳴らすも
一向に出てくる雰囲気はない。
何気なくドアノブに手をかける。
ゆっくりと回っていく金属のノブ。
引いてみると、いとも簡単に開いてしまった。
39 :
L.O.D:02/04/07 13:36 ID:Wd7uQXdl
「梨華、、、、ちゃん?」
物音1つしない部屋。
後藤は靴のまま上がっていく。
「梨華ちゃん、どこにいるの?」
床に転がったカッターナイフで切り刻まれたらしきソファ。
家具がめちゃめちゃに散乱している。
居間にはいない。
風が吹き込むような寒さを感じて、後藤は振り向く。
そこは寝室で、部屋の中央に、彼女はいた。
幼き子供のように、薄汚れたうさぎのぬいぐるみを抱え
小さくうずくまって、泣いていた。
「り、、、かちゃ、、、ん?」
「いやぁあああああああ!!」
肩に触れると、気が狂ったように叫びながら
こっちに物を投げ付けてくる。
慌てて、後藤は払い除けると
うさぎのぬいぐるみは布が引きちぎられ、
無惨にも綿が飛び出していた。
「いやぁあああ!!来ないで!来ないで!!」
「梨華ちゃん!うちだよ!!後藤だよ!!!」
ピンク色のカーテンが強い風に揺らめいている。
窓際には砕けたガラスが散らばり
入り込む月の光を反射し
キラキラと煌めいていた。
石川の足の裏はそれを踏み締め、
流れ出した血が白い毛足の長いカーペットを
紅く染めていく。
闇夜に浮かぶ石川のシルエットは
やけに綺麗で、後藤は息を飲む。
「ごっちん・・・・・・」
「な、、、に?」
「人間って悲しいね・・・・・・」
笑っていたように見えた。
そのまま、石川の身体がゆっくりと
窓から空中に自ら投げ出される。
「梨華ちゃん!!?」
ダッ!!
後藤は腕を伸ばし、その細い腰を抱いていた。
力なくグッタリと垂れ下がる身体。
「ダメだよ、、、、梨華ちゃん、、、、、」
窓から石川を部屋に戻し、
強く抱き締めて後藤は泣き出した。
石川の目は中空を見たまま、戻る事はなかった・・・・・・
40 :
L.O.D:02/04/07 13:37 ID:Wd7uQXdl
どんなに長い空白の時間だっただろうか。
病院のロビーは非常灯のような小さな光しかついてない中で
皮ばりのソファに腰掛け、俯いたまま
何時間も1人でいた気がする。
足音が聞こえて、誰か来た事に気付き
顔をあげると、そこには保田がいた。
「後藤、、、なにがあったの?」
「分からない、私はただ梨華ちゃんから電話があって
なんかすごく慌ててた感じで、梨華ちゃんの家にいったら
めちゃめちゃ混乱してて、私を見た途端に
窓から飛び下りようとしたんだよ・・・・・・」
「そんな・・・・・・」
「ただね、よっすぃがなんか関係してる気がする。
電話でね、よっすぃが、、って言ってたの」
「吉澤?」
保田が電話をかけようとする手を止める。
「?」
「ダメ。ずっとかかんないの」
「そう・・・・なにしてんだよ、あいつ・・・・」
保田は苛立たしげにつぶやきながら
タバコを取り出すと、一角に作られた喫煙スペースに歩いていく。
後藤はそれに付いていく。
「吸う?」
「うん」
一本貰い、火をつけてもらうと
深く吸い込み、肺まで煙を送る。
そして、溜息まじりに吐き出した。
「落ち着きなさい」
肩を抱かれ、グッと寄せられる。
他人の温もりが今は嬉しかった。
そのまま甘えるように
保田の肩に頭を乗せる。
「ひっぐ、、、、ひっく、、、、」
「後藤・・・・・・」
いつしか漏れ出した嗚咽。
それから数分後には他のメンバーもやってきた。
姿を現さないのは、矢口と吉澤だけ。
41 :
L.O.D:02/04/07 13:38 ID:Wd7uQXdl
「矢口、、、まだ来てないのかい?」
「いないですねぇ」
「ごめん、遅れた」
眼鏡をかけた矢口がそこには立っていた。
後藤はポツリとつぶやくように言う。
「やぐっつぁん、よっすぃ知らない?」
「よっすぃ?うちにいるよ?」
「なんで連れてこないの?」
「どうしても行きたくないって言うんだもん」
そう言い終わるか終わらないかの時には
後藤は走り出していた。
矢口もその後を追う。
「私がいなきゃ、鍵開けれないよ」
「ごめん!」
「よっすぃがどうかしたの?」
「よっすぃが梨華ちゃんになんかしたんだよ、きっと」
「ごっちんは、どうする気?」
「もし、、、もし、本当だったら、よっすぃを許せないよ、、、」
二人は外に飛び出す。
通りかかったタクシーを止め、乗り込んだ。
もう深夜近くなり道にも人陰は少ない。
会話はなく、ただ緊張感だけが
その空間を支配し続けている。
窓の外を見てた矢口が話しかけた。
「ごっちん、ルビンの盃って知ってる?」
「ルビン、、、?」
「そう、一見見ると、盃の絵なんだけど
見方を変えると、向かい合った女の人の顔になるの」
「へぇ、、、」
「この世の中の事ってさ、みんなそうだよね」
「・・・・・・」
「よっすぃだってそうだよ。
梨華ちゃんと仲良くしてるフリして
梨華ちゃんを壊しちゃうんだもんね」
「そっか・・・・そうだよね」
「そういうのって悲しいね」
「うん・・・・・・」
後藤は、矢口の口元に浮かべられた
微笑に気付く事はないまま
過ぎ行く街並を見てた。
42 :
L.O.D:02/04/07 13:47 ID:Wd7uQXdl
都内のマンションの一角。
矢口が鍵を取り出し、真っ白なドアを開ける。
一緒にいた後藤は翌日の仕事の関係などで
東京にいなければいけない時用などに
借りているものなのだろうと思いながら
そこに一歩踏み込むと
確かに吉澤の靴があった。
履き慣らしたバスケットシューズ。
靴を脱ぎ捨て、リビングに殴り込む。
「よっすぃ!!」
真っ黒な皮のソファに寝転ぶ
真っ白な裸の吉澤がいた。
「ごっちん・・・・・・」
「梨華ちゃんに何し、、、!!?」
後藤は指先にまで強烈な電撃を感じ
一瞬にして意識を失ってしまう。
後ろに立っていた矢口の手にはスタンガンが握られてる。
「よっすぃ、ごっちん連れてきたよ」
「ありがとうございます、矢口さん」
「さぁ、ごっちんも連れていってあげようね」
「はい!」
「ふぅ・・・・・・」
それから、数時間後のリビングには
1人、紅茶を飲む矢口がいた。
テレビに映るのは、お互いの性欲をむさぼり食う奴隷が二人。
「人間なんてそんなもんだよね」
膝の上に開いていた本を畳み
ソファの上に置く。
人間心理学と銘打たれた厚い本。
「後藤を手に入れた・・・これで、あとは3人・・・
あとちょっとで、娘。は私の物なんだね。」
壁の向こうから漏れる喘ぎ声。
矢口は1人、無表情でつぶやいた。
「娘。は私の物・・・・・・」
第五章 終
更新だ〜♪
実はこれの元ネタを読んだ事があるんですが、
その時は(自粛)という結末だったので、
同じ結末になるのか、それとも違う結末になるのか楽しみです。
あと、27ではageてしまってすいませんでした…
俺これさがしてたらからマジ嬉しい
45 :
L.O.D:02/04/08 13:29 ID:zalm+AaT
第六章 飯田圭織
楽屋に会話がなくなった。
石川の事件があってから、みんな
互いにどこか距離を置いてるように感じる。
リーダーとしてこれじゃダメだって思いながら
飯田は為す術もなく、途方に暮れる日々が続いていた。
帰りに、また病室に寄ってみよう。
石川が目を覚ました時、側にいてあげたいから。
窓の向こうに陽が翳っていく。
最近、少しだけ夜になるのが遅くなった気がする。
夜は不安を呼ぶ。
そんな時、いつも飯田は目の前に横たわる
この人を思い出した。
「石川・・・・・・」
一点を見つめたまま、身動きもしない。
なんて綺麗な顔なんだろう。
そっとその頬に触れてみる。
体温が冷たく感じる。
目を開けたまま、死んでしまってるんじゃないかと思う。
口元に耳を当てると、細いながらも呼吸はしてたし
胸に耳を当てれば、心臓の音が聞こえてきた。
46 :
L.O.D:02/04/08 13:30 ID:zalm+AaT
「・・・・・・」
豊かな胸。
女性ながらに、この胸は触れてみたくなる。
パジャマの上から触れるだけでも
そのほどよい弾力性とはちきれんばかりの柔肌が分かる。
検査の用意を簡単にするためか、ブラジャーは着けておらず
手の中にその感触がしっかりと残っていた。
「本当はね、圭織、石川の事大好きだったんだよ」
パジャマのボタンを2つ、3つとはずしていく。
魔が刺した。
動けない事をいい事に抱き締める事も出来なかった
その人を手に入れたくなった。
今、確かに、自分の腕の中に
石川梨華はいるのだから。
「石川の乳首、桜色だね・・・・・・」
ゆっくりと味わうようにその小さな乳首を
舌で嘗め回すと、次第に固くなり始め
頬が赤くなる。
「感じてくれてるんだね、、、」
しばらく、胸を愛撫した後
飯田の手は、下腹部に触れた。
「少し湿ってるかな、、、、」
いけない事だって分かってた。
だけど、ここまで来ておいて
欲望を抑える事は出来ず
石川のパジャマに手をかけると
ショーツごとずらした。
案の定、肉ひだは濡れていた。
「嬉しい・・・・・・」
指についた石川の愛液をじっと見つめるだけで
自分も濡れてきてしまっていた。
「綺麗だね、、、石川」
撫でた手が腰の細さ、その下の豊かさを明確に感じ取る。
女らしい身体つき。
うっとりとした表情で石川の顔を見ると
目から一筋の涙が零れだし
飯田は急激に罪悪感に苛まれる。
「あ、、、、、ごめん、、、ごめんね!」
パジャマを着せ、布団をかけると
彼女は病室から逃げ去るように
消えていったのだった。
47 :
L.O.D:02/04/08 13:31 ID:zalm+AaT
夜は誰にも訪れる。
24時間という時間の中で
人は生き、眠り、食べ、遊び、悩む。
静かな部屋の中で
音楽もかけず
1人、椅子に腰掛け
キャンバスに向う時間。
今日は、悲しげな色ばかり使ってる気がする。
「・・・・・・はぁ」
(なんて事しちゃったんだろう)
誰にも見られてなかったと思う。
石川は目を覚ましたら、あの事を覚えているだろうか。
自責の念に狩られる。
眠ってしまって、全てを忘れたいけど
眠る事は出来無さそうだった。
48 :
L.O.D:02/04/08 13:32 ID:zalm+AaT
翌日、タンポポのラジオがあって
石川の代わりに矢口が来た。
ミニモニ。での仕事があったのだが
盟友飯田のためとマネージャーを押し切って
こっちに来てくれた。
さっきからしきりに電話してるのも
ミニモニ。の方の事なのだろう。
確かに、ミカに辻と加護をまかせるのは不安だ。
収録の間、ずっと向かいにいる矢口を見ながら
昨日の事を彼女に告白してしまえば
楽になるんじゃないかと思っていた。
だけど、言い出せぬまま
帰りにエレベ−タ−の中で
二人っきりになった。
「あ、圭織」
「なに?」
「具合悪そうだけど、大丈夫?」
「うん、、、、」
「倒れたりしないでよ」
「大丈夫だよ」
「そういやさ、オールナイトで
圭織が見たがってたDVD取ったんだよね
もしよかったら、家まで取りにおいでよ。
今夜は空いてるでしょ?」
エレベーターの扉が開いて、
矢口が先に降りていく。
飯田はその袖の端を掴んだ。
「今晩、泊めて・・・・・・」
「いいよ?」
「本当?」
「今日はこっちにいるつもりだったし」
「ありがと」
つないだ小さな手。
今まで何度、この手に助けられただろうか。
5年という時間は嘘をつかないから。
49 :
L.O.D:02/04/08 13:34 ID:zalm+AaT
「はい」
熱いコーヒーが出され、砂糖のポットから
角砂糖を二個取り出して、カップの中に入れた。
「ちょっと待ってね〜。
ケース見つけたけど、どっか入っちゃってるみたい」
「ゲーム、いっぱいあるね」
「そうさ、DVDのケースとプレステのケース同じだから
よくこっちに入ってたりするんだよねー・・・・」
矢口の小さな背中を見ながらコーヒーを飲む。
年下なのに、しっかりしてて
二人だけでタンポポをやってた頃
バックステージでギュッと握られた手の温もり。
「あぁ、これかな・・・・・・」
テレビに映ったのは、病室。
「こんなシーンあっ・・・・・・え?」
石川が映ってる。
その横にいるのは、自分。
石川の身体を陵辱し始める。
「なんで?なんで、こんな、、、?」
振り向いた矢口はニヤリと笑う。
「あーぁ、梨華ちゃん・・・・・・」
「ねぇ、矢口、、、なんなの、これ!?」
「なにって見れば分かるじゃん。
飯田圭織、病室でレイプ事件だよ」
「!?」
突然、羽交い締めにされて
身動きが取れなくなる。
「ちょっと!!やめなさいよ!」
暴れて、逃げ出そうとした飯田は
その人物を見て、抵抗をやめてしまった。
吉澤に、後藤。
「なっち、あれ持ってきてよ」
「はーい」
別な部屋から、銀色のトレイを持って
安倍が現れる。
その後ろには、辻がいた。
「矢口、あんた・・・・・・」
「辛い事はさ、気持ち良くなって全部忘れちゃいなよ」
目前で注射器から何かの薬が勢いよく吹き出す。
左腕に感じる小さな痛み・・・・・・
50 :
L.O.D:02/04/08 13:42 ID:zalm+AaT
代わる代わる眠る事も出来ぬまま
犯され続ける夜。
見慣れたメンバーの顔が
ピンク色のもやに包まれながら
ぼんやりと見えていた。
何度も何度も繰り返し聞かされる
愛の言葉。
そして、快楽。
はっきりとした思考がない。
それより、私は誰なんだろうか。
矢口の小さな手が目の前にかざされてるのだけは
はっきりと分かった。
「圭織はね、矢口の奴隷なんだよ」
ドレイ・・・・・・
強く頭の中に焼き付いていくイメージ。
「矢口の言う事は何でも素直に聞くんだよ」
小さくうなづいてみせる。
「みんな仲間だからね」
パチンと耳元で指を鳴らす音が聞こえた。
急に意識が現実に戻され、はっきりとした。
一糸纏わぬ姿だけど、恥ずかしくもなんともなかった。
飯田圭織は矢口真里の奴隷だから。
広いリビングには、メンバーもいる。
迎え入れられた飯田は次々にキスされる。
「いいらさぁーん」
最後に辻の幼げな肢体を抱え
幾度もキスをした。
その向うに矢口の横顔が見える。
朝の光に照らされたその顔はどこか悲しげにも見え
不気味に微笑んでるようにも見えた。
吉澤が背中から抱き締めたところで
辻にとうとう押し倒され
後の事は知らない。
第六章 終
あえて原作を読まず、新しい作品の気持ちで楽しみにしております。
保全
か〜相変わらず読ませるねえ・・・
ほぜ
保全
55 :
L.O.D:02/04/12 22:37 ID:8pUdq0yT
第7章 保田圭
いつからだろう。
矢口が自分を避けてるように感じたのは。
同期で入ってきて、半ば嫌がらせのような目にも会いながら
ここまで一緒にやってきた戦友だった。
局のタレントクロークの喫煙所。
幼いメンバーもいる楽屋で吸うわけにはいかないので
吸うなら、こっちでと言われている。
保田は、シガレットケースから一本取り出して、火をつけた。
最近は、矢口だけじゃない。
他のメンバー同士もだ。
モーニング娘。自体が、どこかうまく機能していない感じを
うっすらとだが感じていた。
飯田がリーダーというのがやはり無理があったのか。
いや、それなら逆に最近の方が、何かあった時
うまく誘導してくれてる気がする。
ジジッと煙草が焼けて、灰と代わる。
灰皿に叩き落とす。
誰かが近付いてきたのに、気付いて
顔をあげると、矢口がセーラムの箱を片手に立っていた。
「火、貸して」
「・・・・・・」
ポケットからジッポーを取り出して
セーラムの細い芯に火をつけた。
会話につなげる事が出来ないまま
保田のタバコは終わる。
無言で立ち上がろうとした保田を呼び止める声。
「圭ちゃん、ひさしぶりにさ、ご飯食べにいこうよ?」
「誰か呼ぶ?」
「みんな、一緒だよ」
「ふーん・・・・・・」
「仕事さぁ、バラバラだから
ごっちんにお店教えておくから
先に始めていいよ」
「分かった・・・・・・」
矢口の笑顔は、保田が知っている
少し生意気な女の子 矢口真里の笑顔。
保田も微笑み返して、楽屋に向かって歩き始めた。
56 :
L.O.D:02/04/12 22:38 ID:8pUdq0yT
雑誌の取材が終わって、6時半を少し過ぎた頃
保田が後藤と吉澤に連れてこられたのは
壁全体が石造りで、照明は天上に埋め込まれたダウンライトと
時折置かれてる蝋燭や、間接照明の類いだけで
店全体がどこか小奇麗と言うより
アンダーグラウンド的な怪しげな雰囲気を漂わせている。
予約を入れてたらしく、なんなりと奥の小部屋に連れていかれる。
店員がいなくなったのを見て、保田は二人に聞いた。
「ねぇ、、、あんた達はここ来た事あるの?」
「なにー、圭ちゃん、怖いの?」
「いや…だって……ここ、何屋さん?」
「フランス?」
後藤は、隣に座る吉澤を見る。
「Oh〜〜〜、フラァ〜ンス」
「でも、、なんだろねぇ」
「ソビエトですよ、保田さん」
「ソビエトってどんな料理なのよ!」
「んー、、ピロシキとかぁ」
「Yahーー!ピロシキねーーーー」
とか言って、若い二人でもっともらしい説明ごっこ
(怪しげな外国人役の二人がやけにハイテンションで騒ぐだけ)
こうなると、しばらく妄想の世界から帰ってこない。
保田はバッグからタバコを取り出す。
フと一瞬、この光景を第三者の目として
自分は見た事がある。
いつの事なのだろう。
ゆっくりと思考を巡らせる。
お座敷。
たぶん何かの打ち上げ。
お酒を飲んで、バカみたいにはしゃぐ安倍と矢口。
いつか吸ってみたかったあのタバコの匂い。
そう、初めて買ったタバコはあの人と一緒だった。
頬杖をついて、そんな二人を見ながら
幸せそうに微笑んでいた中澤の目。
はっきりと思い出した。
今の自分は、あの時の中澤と一緒だ。
(裕ちゃん・・・・・・)
57 :
L.O.D:02/04/12 22:39 ID:8pUdq0yT
食事には、石川と加護を抜いた全員が参加していた・・・・・・
・・・・ような気がする。確か、みんないた。
お酒はそんなに飲んでいなかった。
人から見れば、飲んでいる方なのかも知れないが
いつも泥酔する事なんてなかった。
目を覚ました時、目の前では飯田が全裸で四つん這いになり
椅子に座った矢口の足を舐めてた。
「おはよ」
とても落ち着いた声だった。
元気のよい矢口でも
怒った矢口でもない。
言うなれば、無感情というか
どこか、全ての感情を乗り越えたような
そんな声に聞こえた。
口元に浮かべた微笑がなおの事
矢口を分からせなくする。
そこで、保田は自分の身体が拘束されてる事を知る。
何も着ていなかった。
後藤などに比べれば、魅せる身体つきではないが
そこは、大人の魅力とごまかしてる・・・・・・
「なによ、、、、これ?」
「さっすが圭ちゃんだね」
「矢口、、、なんの悪ふざけなのよ、、、!
それに、圭織、あんた、なにやってんのっ!?」
「圭織はねぇ、矢口の奴隷なんだよねぇ」
飯田の頭を掴むと、その顔に向かって、ツバを吐きかける。
それを、飯田は嬉々として、顔に塗り込む。
異常な世界。
保田が記憶してる二人ではない。
「圭ちゃんならさぁ、意図的反転図形って分かるでしょ?」
「見方を変えると、まったく別な絵に見える絵、、、、」
「本当だと信じてた事なんて、自分が信じてただけなんだよ」
矢口は立ち上がり、保田の目をじっと見る。
「見方を変えれば、真実は別にあるんだ」
「矢口・・・・・・」
「バカじゃないから、分かるよね?」
暗闇に目が慣れてきて、今まで見えてたのはライトで煌々と
照らされてた場所だけだったのだと知る。
部屋の様々な場所で、全裸で抱き合い
激しく口付けしあったり、愛撫し合うメンバーの姿が
うっすらと見えてしまった。
「梨華ちゃんを壊したのも矢口だよ」
「・・・・・・!?」
「私はね、モーニング娘。が欲しいんだ。
モーニング娘。の全てが欲しいんだ・・・・」
「矢口、あんた、もしかして、、ゆ、、、、、」
パシィインッ!!
58 :
L.O.D:02/04/12 22:40 ID:8pUdq0yT
一瞬、全員が動きをやめて、真ん中を見た。
みるみるうちに赤くなっていくのは、保田の頬。
「ごっちん、アレ頂戴。」
「はい・・・・・・」
強い白色灯の光の中で、キラキラと輝く黄金色の飴玉。
口元に近付けられ、絶対に開かないようにしようと
強く閉じる。
続けざまに3発、平手を喰らうが
保田は睨み付けた。
「強がっちゃって」
矢口の横に立った辻の手には、見るからに拷問系の怪しげな物。
保田の後ろに回ると、顔を抑えつけ、革のベルトについたフックを
口の中や鼻につけ、一気にベルトを締め付けた。
「あぁああ〜!!はがぁああああ!!」
何を怒鳴っても言葉にはならない。
「圭ちゃんには、特別なのあげるよ」
矢口が部屋の片隅に置かれたフラスコを火にかける。
「みんな、媚薬で堕としたけど、圭ちゃんはね
同期のよしみで特別、すっごい効く麻薬で
天国に連れていってあげるね」
扉を開けて、他のメンバーは部屋から出ていく。
最後に安倍が全ての電気を消した。
「じゃぁね、圭ちゃん」
ゆっくりと、、煙が充満していく。
(吸っちゃ、、、ダメ)
その思いが断ち切れるのは、これから
1時間過ぎた頃の事だった・・・・・・
59 :
L.O.D:02/04/12 22:41 ID:8pUdq0yT
3日後・・・・・・
矢口はあの扉を開ける。
鼻をつくような汗の匂いと、牝の匂い。
一瞬、顔をしかめ、扉を閉める事は出来ずに
中に入った。
「矢口!」
保田は、矢口の姿を見つけると駆け寄り
ギュッと抱き締める。
「さ、帰ろうか」
「どこへ?」
「私のお家」
「矢口の家?」
「そう、みんなの家だよ・・・・・・」
矢口の手が保田の身体を撫でる。
乳首につけられた大きなピアスを見つけ
指で少し強めに引っ張ってみせる。
「あぁあっ!」
「これは、誰がつけてくれたの?」
「ごっちんとよっすぃが、、、開けてくれたの」
「そう、、、圭ちゃんの身体は矢口の物だから
ちゃんと分かるように目印つけて置かなきゃダメだよね」
丁寧に剃られた下の毛の痕を撫でながら
備え付けられた産婦人科にあるような分娩台に乗せる。
目の前にこの3日、乾く事のなかった赤い肉がある。
出血はないが、ただれたようになっていた、、、
術式用のゴム手袋をはめ、矢口は微笑んだ。
片手に握られたのは、棒状のボディピアスを身体に刺すための機械。
金属のひやりとした感触が保田の両方の肉壁を挟み込む。
「え・・・・・・」
「へへ・・・・」
「矢口、、、、それって、、、、」
ガシャァン!という重厚な何かが撃ち込まれる音と、
ブチッ!!という肉が破壊される音。
それに、保田圭の絶叫が混ざって
矢口の頭をかき乱していく。
「もっと泣いてよ!泣き叫んでよ!!」
「うわぁああああああああああああああああああ!!」
第7章 終
60 :
L.O.D:02/04/12 22:45 ID:8pUdq0yT
『最後に向かう前に』
お休みしてる間に、免許取りました(笑)
免許おめ!&一日一保全
車の免許だすか?
保是
63 :
レク:02/04/14 14:38 ID:vXCmFHOW
おひさしぶり!
ってことで免許取得祝い祀りsage&保全
64 :
64:02/04/14 23:56 ID:WlrvYIOO
免許取得おめ!
小説『OLやぐたん 其の弐?』がdat落ちしたけど、
其の参を立てる予定は?今書いてるのは此処だけ?
66 :
L.O.D:02/04/15 01:25 ID:OLBVr7G7
なかなか書くヒマが見つからない・・・・・・
datしちゃいましたね。これが終わったらこれを沈めて
向うを消費してやろうと思ってたんですが・・・・・
次のスレは其の三ではなく、新しい名前にしようかな、と。
( ´D`)y−~~<わ!つい、実は「加護パシリ日記〜わてが一番かわいいねん」
が初めて読んだ娘。小説らったんれすよね。
また始まるなんて。すごいすごい。たのしみにしてまふ♪
68 :
L.O.D:02/04/18 01:10 ID:rbtCmTK/
第8章 Kago's Madly Diary
近頃、時折、ヌメッとした・・・・・・
そう、生理の時の経血によく似た、そんなイメージを
楽屋の中にいると覚える事がある。
それがなぜか、なんなのか分からないまま
加護は黙ってもやってくる仕事を
こなすしかなかった。
「加護?」
気がつくと、矢口が目の前に立っていた。
「はい?」
「ミニモニ。の仕事だよ」
辻が自分の鞄を持って、ドアから出ていく。
「はい・・・」
荷物はまとめてあったから、バッグを抱え
加護もそれに続く。
小さな身体が、ドアを抜ける瞬間
何かに引っ張られるように
楽屋の中を見回した。
そこには、石川梨華はいない。
69 :
L.O.D:02/04/18 01:12 ID:rbtCmTK/
全員が事務所のバンに乗り込んでも
加護は1人、後部座席に座る。
カシャカシャという飴玉の袋を丸める音。
背もたれの間からチラチラと見えるのは
顔を寄せ合い、その飴玉を口の中で行き来させる
矢口と辻の姿。
加護は俯き、携帯を取り出す。
メールが一件入ってた。
気付かなかったが、ほんの少し前に来てた松浦亜弥からのメール。
初めてハロプロのリハーサルで顔を合わせた時から
年はそんなに変わらないのに、どこか大人びた
松浦が気になっていた加護は
3人祭の時にいっぱいしゃべって、仲良くなった。
今もメールが一日に3通は届く。
ちゃんと返してる。
この前のオフは、石川と3人で遊びに行った。
石川の声で回りにばれそうになったが
必死で逃げて、汗をかいて
3人でカフェで冷たいものを飲んだ。
加護はコーラフロートにチョコパフェ。
松浦はアイスカフェラテ。
石川は苺ミルク、だったような気がする。
向いの席に座った石川が物憂げな表情で
窓の向こう、ビルの7階に位置するそこからは
ずっと下に見える交差点を眺めながら
ただの手遊びでストローを回し続けてた苺ミルク。
半乳白色のパステルカラー。
石川の好きな女の子らしいピンクの色。
なぜだか、すごく印象に残っていた。
70 :
L.O.D:02/04/18 01:13 ID:rbtCmTK/
加護は松浦にメールの返事を書く。
『また変だったよ、なんか』
すぐに返信が帰ってくる。
『そっか、梨華ちゃんがあんなになっちゃったから
みんなピリピリしてるのかな?』
『かなぁ・・・・・・』
『かごちゃんがそんな顔でテレビ出てたら
ファンが心配しちゃうぞっ、元気!!』
『うん、頑張るわー』
鞄の中に携帯をしまう。
フッと顔を上げると、頬を紅潮させた辻の横顔が見えた。
「・・・・・・」
見なかった事にして、無造作に鞄の中に手を突っ込んで
MDウォークマンのイヤホンを探る。
途中でリモコンに触れてしまったらしく
握った手の中から漏れだした音楽。
『とぉーさん かぁーさん ありがとぉ』
「・・・・・・あ」
小さく声を上げ、加護は誰にもその意味を知られぬように
ずっと、ずっと、車が現場に到着するまで
俯いて、車の壁にもたれかかっていた・・・・・・
71 :
L.O.D:02/04/18 01:18 ID:rbtCmTK/
『復活?』
げふぅ、大学始まって、やっと1週間のサイクル決まってきたよ、、、
えー、、今週中に終わります。
というか、終わらせます。
少しずつ狂い始める加護亜依の日記・・・・・・
L.O.Dガンガレ!!
73 :
ROM:02/04/18 06:24 ID:aPgyC3Bk
どうなるんだ?
原作では(自粛)と言う事だったが…
あ、忘れる所だった。
更新お疲れさまです。
74 :
:02/04/19 19:44 ID:CqNqo0aR
応援sage
75 :
L.O.D:02/04/20 14:34 ID:yz1q6H/h
それから、数日後の事。
テレビの番組収録の途中
機材のトラブルのせいで収録が完全にストップになってしまい
メンバーは皆、楽屋に引き返してきていた。
加護は小用のためにトイレへ行こうと
楽屋の扉を後ろ手に閉めた。
2歩、3歩、歩いたぐらいのところだったろうか
遠いところではスタッフの喧騒も聞こえる中で
それとはまったく関係ない声が
今、出てきた楽屋の反対側から聞こえたのである。
それも、ドアの向うから聞こえたという生易しいものではなく
確かに漏れ聞こえたのである。
(・・・・・・覗き見なんてそんなんあかんて)
なんて最初は思ったものの、好奇心が勝ってしまい
小さく開けられたままになっていたそのドアの隙間から
そっと中を覗き見る。
「・・・・・・か・・・り」
「ん・・・あぁ・・・・・・」
76 :
L.O.D:02/04/20 14:35 ID:yz1q6H/h
聞き覚えのある声。
荒い呼吸。
まるで溜息のように吐き出される甘い吐息。
粘膜が重なり合い、求めあい
交わされるいやらしい音。
(飯田さんと、ごっちん?)
二人の足が絡み合ってる。
女性らしい肉付きの良い、真っ白な足と足が
まるで互いを摩りあうように
艶かしく動いているのである。
ドアの隙間から見えるのは、それだけ。
でも、床に脱ぎ捨てられた靴は確かに
二人のものだったのである。
「あぁあ、、ごっちん、、、もっとぉ」
「もっとなにしてほしいの?」
「カオのオマンコいじってぇ、、、」
「恥ずかしい子、自分でオマンコなんて言っちゃって」
「や、、、いじわるしないでよ、、、、」
「じゃぁ、圭織も私の触って、、、、」
二人の声が今度は鮮明に聞こえたが
加護はゴクリと息を飲むと、いたたまれなくなり
その場から逃げ出す。
77 :
L.O.D:02/04/20 14:37 ID:yz1q6H/h
(なに!?なにしてるん!!?メンバー同士で!)
誰とも目を合わせないで、廊下を走り抜け
女子トイレの中に飛び込んだ。
洗面台に手を付き、息を整える。
驚き。
それ以上に、あの絡み合う足の美しさが焼き付いて離れない。
加護だってなにをしてたのか分からないわけではない。
だが、飯田と後藤がそういう事をしてたという事が
加護にとってショックだったのである。
ハッと我に返ると、誰かが個室で嘔吐してた。
「?」
なぜかは分からない。
その誰かがいる個室に魅入られて
加護はじっとそこを凝視したまま
動けない。
嘔吐が終わり、個室のドアが開く。
水の流れる音がしない。
「矢口さん・・・・・・」
無表情な矢口真里の口元から一筋
真っ赤な血の跡が見える。
78 :
L.O.D:02/04/20 14:37 ID:yz1q6H/h
加護の視線はその背後の便器の中に注がれる。
真っ白な便器の中を彩る真っ赤な血。
それは紛れもなく矢口が嘔吐したものである。
「ねぇ、、」
「はいぃ」
「加護は、モーニング娘。好き?」
身体が震えてるのが分かる。
矢口が怖かった。
血の跡をぬぐい取る手。
「す、、、好きですよぉ」
「みんなと一緒にいたい?」
「・・・・・・」
ためらう。
加護にとって
モーニング娘。とはなんだったのだろう。
79 :
L.O.D:02/04/20 14:41 ID:yz1q6H/h
加護亜依は器用だ。
幼い頃から先生に好かれ、友達に好かれ
いつも話題の中心にいた。
自分からそうなろうとしていた。
いい子と誉められたかった。
仲間はずれにされるのが怖かった。
だから、本当の事はいつも言わないようにしてた。
傷つけないように。
「あいぼん、お茶買ってきて」
吉澤が財布から金をだし、加護の前に置く。
「いいよ」
「私もお願い」
後藤も自分の財布を取り出す。
他のメンバーはそれに対し、何も言わない。
モーニング娘。において
加護亜依はパシリだった。
彼女は自分からそうなった。
自分が、自分がという自己顕示欲の強い人間の中で
一歩引いておく事によって意味のない無視を
される事もないし、派閥の間に入る事もない。
加護亜依にとって
モーニング娘。とはなんだったのだろう?
80 :
L.O.D:02/04/20 18:12 ID:yz1q6H/h
病室。
天井を見つめたままの石川の横に座って
1人、ずっと話しかける。
「なぁ、、うちにとってモーニング娘。ってなんやろ?」
「・・・・・・」
返事はない。
「今日な、、、、ごっちんと飯田さんがHしてるの見てもうてん。
梨華ちゃんがいなくなってからみんな、おかしいねん!」
鬱積した感情が爆発するように
加護は叫んだ。
しかし、その声は次第に涙声に変わる。
「戻ってきてよぉ・・・・・・」
ギュッと握った手はまるで死人のように冷たかった・・・・・・
81 :
L.O.D:02/04/21 16:42 ID:EGZZROOU
家に帰ってきた時にはもう午後10時をとうに越していて
泣き疲れた身体を湯舟に入れて
ドロドロと絡み付く色々な思いを
洗い流したかった。
風呂から上がりパジャマ姿の加護に出されたのは
ガラスの皿に入れられたっぷりと練乳がかけられた苺。
「あ・・・・・・」
今日見た矢口が嘔吐したあの血の赤と
苺の真っ赤な色が加護の思考の上で被さる。
椅子に座り、用意されたフォークで
ぐちゃぐちゃと苺を押しつぶす。
肉と種が少しずつ分離していき
透明な泡と共に、それが元は苺とは思えない
何かに変化していく。
加護はその行為を無表情のまま
飽きるまで続ける。
皿の中に残ったのは引きちぎられた赤い断片。
「・・・・・・」
ベチャ
台所の片隅の三角コーナーにそれを捨て
加護は自室へと消えていった。
82 :
L.O.D:02/04/21 16:44 ID:EGZZROOU
都内の矢口の部屋
リビングのソファで横になってた安倍は
メンバーの声が聞こえるベッドルームから
フラリと出てきた全裸の矢口を見た。
「どうしたの?」
「・・・・・・」
ガラステーブルの上のセーラムに手を伸ばす。
一緒に置いてあるジッポーで火をつけると
深く深く煙を吸い込んだ。
「・・・・」
安倍の手が優しく矢口の頭を抱く。
「まりっぺ・・・・」
「なっち・・・・・」
「うちがいてあげるからね」
「・・・・・・」
「うちはまりっぺのためにいるから」
安倍の柔らかな胸元にもたれかかるように
矢口は身体を預ける。
「みんな、矢口のためのものなんだよ」
「・・・・・・」
「みんな、矢口のためにあるんだよ」
「・・・・・・」
矢口の口元がうっすらと笑みを浮かべる。
吐き出された煙はすぅっと天井を昇る。
「そうだよ、なっち、全部、私のためにあるんだ」
「うん」
「モーニング娘。は私のものなんだ」
それまで抱かれてた腕を解き
逆に矢口の方から安倍を倒して
強く口付けした。
(人の心を手に入れるなんて、簡単な事)
真っ白な肌の首元に触れ、
ゆっくりと下に下げていく。
(欲求を解消してやれば、疑いもしない)
飯田の大人っぽさとはまた違う
優しげな裸姿の安倍の身体を
撫で回していく手。
(それを続ければ、言う事を聞かざるを得なくなる)
恥丘の上に茂る毛は柔らかく
矢口の手はその上から
軽く刺激を与え続ける。
(それでもダメなら壊してしまえばいい)
「あぁああ、、矢口ぃ、もっといじってぇ!」
「そんな大きな声出しちゃだめだよ」
テーブルの上のキャンディポットから
丸い飴を一個取り出して
自分の口に含む。
「あぁ、、、なっち、それ好きぃ、、、」
「そう、、じゃぁ、これ舐めて
もっとエッチな声を矢口に聞かせな」
紅潮した頬で、飴を求め、舌を伸ばす淫美な表情。
(モーニング娘。は私のもの、、、、
モーニング娘。は私のもの、、、、
全てが私の自由、全てが私のため、、、)
矢口真里は沸き立つ思いを抑えきれず
笑っていた・・・・・・・・・・・・
83 :
L.O.D:02/04/21 16:46 ID:EGZZROOU
暗闇の中にサイドテーブルに置かれたベッドランプが放つ
橙色の灯だけがボゥッと部屋を照らし
薄手の布団を胸元までかけた中澤裕子の
年の割にはきめ細やかな肌を映す。
「なぁ、つんくさん」
彼女の瞳はその向うにいる半裸の男の背中に向けられる。
「なんや」
「ほんまにあれでよかったんですか」
「しゃーないやろ」
「うちがやめてから、確かにあの子達は変わったけど、、」
「お前を娘。に入れたんは、芸能界という厳しさの前に
お前を挟む事によって、あいつらの不安を軽減するため。
欲求不満になった奴を解消させるためや。
それ以上でもそれ以下でもない」
「でも・・・・・・」
「石川があーなったんは、もしかしたら
センターっちゅストレスかも知らんけど
あれに耐えれな、娘。なんてやってられんで」
中澤は、それ以上言葉を返せない。
つんくが吸うタバコの匂いが
やんわりと漂ってきた。
中澤もサイドテーブルの上の
セーラムに火をつけた。
ゆっくりと肺の中に取り込みながら
少し昔の事を思い出す。
84 :
L.O.D:02/04/21 16:47 ID:EGZZROOU
一番甘えん坊だったのは、市井だった。
泣き虫で、よく部屋に来ては
中澤の飲んでた酒を奪って
泣きつかれて、床で眠ってしまった。
保田はどっちかというと
中澤の話を聞きたがる方だった。
だが、時折、無言で抱き締められに来る事があった。
後藤は3回目の地方の時だったと思う。
シャワーを浴びて、ビールを飲んでた時
ドアを叩くと、枕を抱えた後藤がいた。
一晩中、添い寝してあげた記憶がある。
辻と加護は、どちらかが喧嘩をして
部屋をたたき出されて、困ってしまって
来る事が多かった。
まだ何も知らなかったから
酔った勢いでキスすると
黙ってうけとめてくれた。
その姿が可愛かった。
吉澤はあまり弱きになったところを
他人に見せようとしないというか
その前に努力してカバーしてしまおうとするが
それでも、プッチモニに入りたての頃なんかは
保田に甘える事も出来ず
中澤のところに来たりした。
石川は、本当にネガティブ全開で
説教してしまう事が多かったが
泣き止んだ頃に抱き寄せると
素直にされるがままだった。
安倍は、その点、焼きもち焼きなとこがあって
酷い時は3日に一回は部屋に来た事があった。
だけど、本当は純朴な子だから
安心すると、大人しくなる。
矢口は・・・・・・・・・・・・
85 :
L.O.D:02/04/21 16:48 ID:EGZZROOU
『ゆーちゃん?なに、読んでんの?』
1人でゲームをするのに飽きたのか
ソファに座りながら、本を読んでた中澤の顔を
覗き込んでくる矢口。
『お、そや、ルビンの盃って知ってるか?』
『しらなぁーい、なんなの?』
『これの事やねんけど』
中澤は読んでいた本を矢口に見せる。
『騙し絵?』
『まぁ、そういうこっちゃな』
『ふーん、、、矢口、よく分かんないや。
心理学なんて裕ちゃん、難しい本読むんだね』
『まぁね』
あまり興味はなかったらしく
矢口は本を持つ2つの腕の間に身体を滑りこませ
中澤の視界いっぱいにまで近付く。
『好きだよ、、裕ちゃん』
『ウチもやで』
そして、ゆっくり交わされる唇。
それは、ただの欲求不満解消なんかじゃなかった。
愛してた。
大好きだった。
離したくなかった。
離れたくなかった。
86 :
L.O.D:02/04/21 16:50 ID:EGZZROOU
だけど、モーニング娘。が大きくなるにつれ
最初の頃の物とは大きく姿を変えていた。
中澤にとっても、いつまでも居れる場所ではなくなっていた。
誰が嫌いだったわけでもないし
何が嫌だったわけでもない。
ただ、そこにもう自分の居場所を感じなくなっていたのだ。
元々が中澤はモーニング娘。に歌手として
入れたわけではなかったというのを
つんくから聞かされていた。
いや、ある種、中澤自身が寝取ったという表現も
ハズれてはいないような気がする。
オーディションの時に肉体関係を持ったのである。
そして、年下のメンバーの面倒を見るという形で
モーニング娘。に入ったのだ。
やめる決意をする前から、少しずつソロでのオファーが
来てる事を知らされ、それは中澤の気持ちに拍車をかけていた。
モーニング娘。をやめる。
待っていたのは、別れだった。
皆が泣いた。
だけど、矢口にだけはその前日に告げたのだった。
87 :
L.O.D:02/04/21 16:51 ID:EGZZROOU
『矢口・・・・・・』
『なに、裕ちゃん?』
『あんな、、、もうこの関係終わりにせーへんか?』
『は?』
『うち、娘。やめんねん』
『やめるって、、、、裕ちゃんが?』
『あぁ、、お互いのためや、、、、
ソロになったら時間も合わんくなる。
寂しいだけやから、、、な、別れよ』
『やだ、、、矢口、なんも悪い事してないもん!』
『そんなんちゃうけど、、、このままじゃ
絶対、矢口に寂しい思いさしてまうから』
『待ってる!!矢口待ってるもん!!』
『もうあかんねん、、、うちは決めたんだから、、、』
『ずるい!勝手だよ!!ねぇ、やめてよ!!』
玄関へと歩いていこうとする中澤の手を引っ張って
引き止めようとする矢口の頬には
幾筋もの涙が溢れ、零れていた。
『うっさい!!もうそういうのに飽きたんや!!』
手を払い除け、乱暴にドアを閉める。
ぺたりと、床に座り込み
ぼーっとそのドアを見ていたが
次第に身体が震えだし
悲しみが押し寄せてくる。
『うあわぁああああああああああああ!!』
88 :
L.O.D:02/04/21 16:52 ID:EGZZROOU
窓の外
走り行く車の波が通り過ぎていく。
傍らの安倍も眠ってしまい
隣の部屋からも声が聴こえなくなった午前3時。
矢口は思い出していた。
「はぁ・・・・・・」
箱の中身のなくなったセーラムを左手で握りつぶして
テーブルの上に転がした。
「・・・・・・」
(娘。が壊したかった。
あの人が好きな娘。を壊したかった。
涎を垂らして、性行為を求める
淫らな肉奴隷になっていったメンバー。
裕ちゃんがこんなみんなを見たら
なんて言うだろう。
あぁ、、、悲しむだろうか、、、、)
「ふふっ・・・・・・」
矢口の手が、近くのチェストに伸びる。
棚を開けると、そこには茶色の紙袋。
中から出てきたのは小型の拳銃。
矢口でも扱えるようなものだが
十二分に人を殺せるだけの威力を持った
本物である事には間違いはない。
(もう終わらそう・・・・・・
全部、終わりにしよう・・・・
矢口もね、本当はちょっと苦しいんだよ?)
89 :
L.O.D:02/04/22 01:46 ID:xUrUn+fN
朝の光が漏れる電車に乗って、会いに行く。
今は何もしゃべらない貴方に。
貴方しかいないから。
貴方にしか話せないから。
貴方の側にいたいから。
色褪せた緑色のシート。
加護は人の少ない車両を選んで、座る。
学校はさぼった。
行きたくなかったから。
静かな教室で繰り返される公式より
今は貴方に会いたい。
鞄から携帯を取り出す。
あの子にはこの事をしゃべろう。
『おはよう』
短く打ったメールを送信する。
『おはよ、かごちゃん』
『今からりかちゃんとこ行ってくる』
『もう一ヶ月だね』
『うん』
『りかちゃんに会いたい?』
『会いたいよ』
『きっと会えるから』
『ありがとぅー。』
『授業始まるや、またメールちょうだい』
『うん、ごめんなぁー。愛してるよ、あやや』
無表情で交わされる言葉。
抑揚のない文字だけの会話。
なのに、松浦から返ってきた返事は
どれも加護にとって力強く感じる。
ギュッと携帯を握り締める。
石川の病院へはもうちょっと。
90 :
L.O.D:02/04/22 01:47 ID:xUrUn+fN
ツンと鼻を付く雌臭で目を覚ました吉澤ひとみは
隣に眠る後藤や革のソファに横たわる保田を起こさぬよう
ベッドから抜け出して、リビングに行く。
安倍が寝てるところに辻が潜り込んだらしく
2人は一緒に寝ている。
「矢口さん?」
矢口の姿がない。
トイレや台所を覗くが、どこにもいない。
テーブルに書き置きを見つけ、手にする。
「用事があるので、、実家に戻る。
その後、仕事に行くから
みんなで朝ご飯食べて、、、、か
おはようのキスしたかったのに」
残念そうにつぶやくと
吉澤は台所に行き、冷蔵庫を覗く。
100%のオレンジジュースを見つけ
グラスに注ぐと、一気にそれを飲み干す。
少し目が覚めた。
何度、この場所でこうして朝を迎えただろう。
少しずつ仲間が増えた。
厭らしい声を上げ、鳴いてみせる飯田や
物を入れてと喘ぐ保田
小さな身体を震わせ感じる辻
美しい太股の内側を濡らす後藤に
時に優しく、時に厳しく苛める安倍
快楽という鎖でつながれた関係。
その時、床に何かが落ちてるのを見つけて、拾った。
「あ・・・・・・」
石川に目隠しをした時につかったもの。
言われるまま、石川の乱れる姿を写真に納めた。
そして、石川は飛び下りた。
それを聞いた時、矢口の事が怖かったが
だけど、もう離れる事は出来なかった。
目をつぶっても、眠っていても
頭の中には矢口の事だけ
「矢口さん・・・・・・」
会えるのは、あと5時間後の事。
5時間後会ったら、何をしてもらおう。
そんな事の繰り返し・・・・・・
91 :
L.O.D:02/04/22 01:49 ID:xUrUn+fN
薄手のピンクのパジャマに身を包んだ石川は
言葉を失った人形のように今日もまた
天井をずっと見つめていた。
「・・・・・・」
朝早く開いていた花屋で自分が買えるだけの花束を
買ってきた加護はしばらく立ち尽くし
そんな石川をジッと見ていた。
「綺麗やなぁ」
つぶやいてから、その同じ一言を
いつかどこかで石川に言った事があるような気がして
それがいつだったか思い出す。
確か、それは、石川が加護の家に遊びに来た時。
もうお風呂にも入って、寝ようという時の事。
互いに寝巻に着替えてたのだが
加護はチラッと石川の方を見たら
なんとも形容しがたい
どう見ても、こっちを挑発してるとしか
思えないような、シースルーのピンクのネグリジェ。
「エロッ!」
「えぇ〜?そう?」
「あかんて、それは」
「可愛くない?」
「可愛いちゅーか、エロいわ」
「エッチかなぁ?」
頬を染めて、照れる石川。
薄桃色の布から透けてみえるその身体。
滑らかなボディラインに加護は
目を奪われて、つぶやいた。
「綺麗やなぁ」
「?」
「ん」
「寝ようか」
「いや、そんなん着てるのとは寝れない」
「なんでよぅー」
「襲いたくなるもんーーー」
布団に入ろうとしてた石川の上に飛び乗る。
キャッキャッとはしゃぎながら
夜が更けていく。
92 :
L.O.D:02/04/22 01:50 ID:xUrUn+fN
加護は石川には甘えれた。
喧嘩もしたけど、モーニング娘。の中で石川だけは
加護を対等に見てくれた。
家族が一緒じゃなくて寂しい時
仕事に失敗した時
いい子でいるのが疲れた時
石川は側にいた。
石川がいたから救われた。
「水、変えな・・・・・・っ!」
ベッドの脇に置かれた花瓶を手に歩き出そうとしたその時
手が滑って、花瓶が床に落ち、粉々にくだける。
「あぁっ!、、、痛っ」
あわてて、拾い集めようとして
欠片で人さし指の先を切る。
溢れ出す真っ赤な血。
紙で切り裂かれた刺すような痛みではなく
じんわりとした鈍痛が指の感覚を奪う。
「手、見せて?」
「!!?」
背後からかけられた声に驚き
加護は振り向く。
「り、梨華ちゃん!!?」
「ほら、絆創膏張ってあげるから」
「梨華ちゃん!梨華ちゃん!!」
傷を見ようと加護の手を取った石川の手を
さらに上から握りしめてブンブンと振る。
目からは涙が流れ出す。
「もー、あいぼん、騒いじゃだめだよ」
「どうして!騙してたの!?」
「ううん、、、たまに意識はあったんだけど
そういう時に限って、1人だったから、、、」
「そっか、、、大丈夫!?痛くないん?」
石川の表情が少し翳る。
「あいぼん、今から言う事をよく聞いて・・・・・・」
「う、うん・・・・・・」
「全部ね、矢口さんのせいなの・・・・」
「矢口さんの、、、?」
93 :
L.O.D:02/04/22 01:51 ID:xUrUn+fN
二ヶ月前、あるオフの日。
突然、吉澤に呼び出されて
2人がよく行くカフェで待ち合わせした。
帽子を目深にかぶっても
すぐに吉澤を見つけ
向いの席に座る。
メニューを手にしようとする手を止められ
サングラスの向うに見える
吉澤の目がいつになく真剣な事に気付く。
石川は、吉澤の真剣な目が好きだった。
まっすぐに見つめる。
「梨華ちゃん、私ね」
「ん?」
「梨華ちゃんが欲しいんだ」
「へ、、、?」
「いつも側にいたいんだ」
「え、どうし、、、」
ナチュラルウッドのテーブルを乗り越え
薄くグロスを塗った唇を塞ぐ口。
甘ったるい苺みるくの味。
「付き合ってくれるよね?」
「・・・・・うん」
断る理由なんてなかった。
合宿の時から何度もその類い稀なる美しさを持つ
吉澤が気になっていたんだから。
その後は、その時の苺みるくのキスのように
甘い甘い日々だった。
仕事が終わって、互いに時間が空いてる時は
食事も共にして、夜は抱き合いながら眠る。
学校がある時は、石川が食事を作って
吉澤はそれを食べて、学校に行く。
一通の封筒と一本の電話がそれを壊した。
94 :
L.O.D:02/04/22 01:52 ID:xUrUn+fN
吉澤の影が散らつくこの部屋を消したかった。
ソファを切り刻んでも
テレビを叩き壊しても
そこに吉澤の匂いが染み付いてる
なんでだろう
消えない
消してしまいたいのに。
なんでだろう
消えない
消えてしまいたい
床に座り込み、泣きながら
うずくまり、もうどれぐらいの時間が経っただろう。
そこへかかってきた矢口からの電話。
「やぐ、、、ちさん、、、」
『あぁ、梨華ちゃん、届いた?』
「え、、、」
『私からのプレゼント』
「やぐち、、さ、、んから?」
『ごめんねぇ、よっすぃはさ
あんたなんかこれっぽちも好きじゃないよ』
「そ、、んなぁ、、、、、」
『あぁあ、、、、』
電話の向こうに聞こえるのは、何度も聞いた
吉澤ひとみの喘ぎ声。
頭が真っ白になっていくのが分かった。
『矢口さんがぁ、、、、好きですぅ』
『分かった?』
「いやぁあああああああああああああ!」
ガシャァアアン!
窓ガラスが砕け散り、床に散乱した。
液晶も壊れた携帯電話。
薄れそうになる意識で石川は手を伸ばす。
後藤ならこんな嘘、否定してくれそうだから。
最後の望みへと、手を伸ばす。
「っ・・・・・・」
携帯を手にすると、ガラスの欠片も一緒に握ってしまって
手からドクドクと血が流れていく。
鮮やかな紅色の血は真っ白なカーペットを汚す。
『どうし・・・・・・』
「ごっちん・・・・・」
『梨華ちゃん?』
「助けて・・・・」
『ど、どうしたの?』
『よっすぃが・・・・・・』
95 :
L.O.D:02/04/22 01:53 ID:xUrUn+fN
「そうなんか、、、、」
「きっとね、、矢口さんがこんな事するにはわけがあるの」
加護の顔を見る石川の目に涙はない。
「わけ?」
「矢口さんはモーニング娘。をどうにかするつもりじゃ」
「どうにかって・・・・・・」
「きっと私だけじゃない、よっすぃだけじゃない
みんな、矢口さんに何かされてるんだよ」
加護は思い出す。
後藤と飯田が楽屋で性行為をしてた事
そして、矢口の言葉。
「うち、どないしたらええ?
まだなんにもされてへん!」
「中澤さんのとこに行くの・・・・・
中澤さんならきっと・・・・・・」
「梨華ちゃんは大丈夫?」
「私は、ほら病院の中にいるから、ね
あいぼん、早く行って!」
「うんっ!」
病室から駆け出していく加護の後ろ姿。
遠ざかる足音を聞いて
石川は枕の中から携帯を取り出して
誰かにメールを打つ。
『終刻』
96 :
L.O.D:02/04/22 01:55 ID:xUrUn+fN
「ま、、、松浦」
「ふっ、、、、んぅ、、、ふあ」
制服姿の松浦亜弥はレコーディングスタジオのトイレで
つんくを立たせたまま、舌奉仕していた。
「あかん、、、」
腰を引こうとするも、なお強くストロークする。
口の中に放出される熱い精液。
くちゃくちゃと噛んでから、飲み込んでしまう。
「中澤さんの事はうまくいった?」
「あぁ、、、松浦の言う通りに、、、」
「これで失敗したら、もう知らないから」
「そんなん言うなや、俺、プロデューサーやで」
「雇われじゃないですかぁ」
個室から出てきた松浦は振り向いて、そう言う。
どこでつけたのか、中学生とは思えぬ性戯で
事務所社長を織り成し、業界の人間に取り込み
作り上げられていく松浦亜弥の世界。
つんくでさえも彼女にとっては駒の1つ。
鞄で携帯が鳴っている事に気付く。
「あ、梨華ちゃんからだぁ」
浮かべる笑みはあどけない少女の笑み。
だけど、その本性は、えげつない悪魔。
97 :
L.O.D:02/04/22 01:56 ID:xUrUn+fN
背伸びして、呼び鈴を鳴らす。
中澤の家は比較的近くて、すぐに着いた。
『・・・・・・かご?』
ものすごい寝起きっぽい声が聞こえる。
「あのっ、、、開けてください」
『待ってな』
ドアの向こうからこちらに近付いてくる音が漏れる。
そっと開けられたドアから覗く中澤の顔
「中澤さぁあんっ」
「ちょ、、加護、どないして、、、、
とりあえず中入りなさいっ」
薫り高いコーヒーの匂い。
テーブルの下にはビールの缶が
何本も転がっている。
「で、こんな時間にどうしたん」
「あのですね・・・・・・」
加護の口から語られるのは
中澤にとっては残酷な真実。
話が進めば進むほど
中澤はゆっくりと全ての中心を掴み出す。
セーラムの火が終わりまで灰に変えた頃
ポツリとつぶやく。
「全部、うちの責任や」
「中澤さん・・・・・・」
「矢口を変えたのはきっと、うちや」
木製のグラス棚の中に置かれた写真立てを取り出す指。
中に入ってるのは、矢口と中澤の写真。
矢口の字でいたずら書きがしてあって
『ダイスキユウコ』とパールイエローの文字。
中澤はそれを抱き締め、振り向く。
「加護」
「はい」
「石川のところに行こう、あいつにも謝ってからや」
98 :
L.O.D:02/04/22 01:57 ID:xUrUn+fN
2人を乗せたタクシーは
朝のラッシュを過ぎた道を走る。
加護の小さな手を握る中澤の指は
鮮やかに彩られていて
沈みゆく気持ちを少しだけ引き上げてくれる。
「いつから付き合ってたんかなぁ」
「・・・・・・」
「でもな、ほんまにほんまに好きだった」
「・・・・・・」
「もっと、、、ちゃんとしたったらよかったんかな」
「・・・・・・」
加護は無言で、手を握り返す。
中澤の不安な気持ちがそこから伝わってくる。
「あぁ、ごめんな、うちの方がしっかりせなあかんよな」
首を横に振る。
その後、2人は黙ったまま、病院へ向かった。
99 :
L.O.D:02/04/22 01:58 ID:xUrUn+fN
矢口真里は、真っ赤な薔薇の花束を抱えて
無機質な廊下を歩いていく。
最も奥の個室。
ドアにかけられた石川梨華という名札を確認する。
ドアを開けると、そこには天井を見つめたままの少女。
「石川・・・・・・」
手を取り、花束を渡す。
「うちね、もう終わりにしようと思うんだ」
返事は返ってこない。
わざと大きな声で話す。
「みんなを手に入れたはずなのに空しかった。
ぽっかり空いた穴は埋めれなかった。
石川をこんなにしてまで
私はなにをしたかったんだろうね」
「矢口、あんた・・・・・」
「裕ちゃん、、、いたんだ」
振り返らない。
「加護から全部聞いた、、、あんた、なにを、、、」
「裕ちゃんが悪いんだよ?矢口を置いていくから」
「なんで、メンバーに手を出したんや、正々堂々と、、、、」
バッ!!
矢口の手には拳銃が握られてる。
さすがにそれを見て、中澤も怯んだらしく
言葉がぷつりと切れた。
「正々堂々としたよ。」
「・・・・・・」
「一緒に死のうよ、もうやだよ・・・・・・」
「矢口・・・・・・」
「最後に真里って呼んでよぉお!!」
有らん限りの声で叫んだ。
感情が爆発した。
だけど、中澤の腕はそれすらも抱き締め、包み込む。
「ごめんな・・・・・」
「ゆ、、う、、、ちゃ、、、、」
「ごめんな、真里。あんな事して。
真里が殺したいんなら殺せばええ。
好きにしてええよ、、、ほら」
矢口の手を取り、冷たい銃口を自らの胸へ押し付ける中澤。
矢口の奥歯がガチガチと音を立てる。
見るからに手が震えているのが分かる。
中澤はそれでも優しく微笑んでいた。
あの、2人の日々と同じ笑顔だった。
「うわぁあああああああんんんっ!!」
「真里っ!!」
力なく崩れ落ちた矢口の身体を
中澤は受け止めて、強く強く抱く。
「はい、かっとぉ〜」
まるでそんな緊張感を打ち砕くように
声をあげたのは、松浦亜弥。
病室のドアのところに加護の肩を抱いて、立っていた。
「松浦、、、?」
「はぁ〜い、中澤さん、矢口さん、臭いお芝居御苦労さん。
とっても感動しましたよぉ〜」
「な、、、なんやねん、お前、、、、」
「分かってないんだねー、可哀想ーーー」
松浦の腕の中の加護は不思議そうに松浦を見ている。
「全部ねー、私とぉ、梨華ちゃんが仕組んだ事だったんです」
「どういう、、、、意味や?」
「ルビンの盃って分かります?」
「見方を変えると、別な絵が見える・・・・・・」
「そうですねー、中澤さん、心理学の本、誰からもらいました?」
「つんくさん、、、」
「それも松浦があげたものなんですよぉ」
「松浦、、、あんた、なにをしたんや・・・・・」
少しずつ、彼女のほほえみの裏に見える真実が露になる。
「私がトップアイドルになるのに、娘。が邪魔だったんで
ちょこちょこっと心を操らせてもらいましたー」
「操るって、、、そんな事」
「現に今、中澤さんはそれがいつ行われたかも知らない」
大きく見開かれる目。
「中澤さんは、LOVEマシーンの後、娘。の脱退を考え始める。
私はもうその少し後にはつんくさんに会ってるんですねぇ。
そして、私はまずつんくさんを操った。
次に、つんくさんを使って、中澤さんをやめさせた。
中澤さんはつんくさんの言う通りにせざるをえない。
矢口さんとも別れさせた。
そこで、私は、矢口さんに接触して、洗脳したんですよ」
まるで彼氏との甘いデートの思い出話でもするように
浮き浮きと語る松浦に向けられたのは
中澤の憎しみの視線。
「でもね、バレたらやだから、梨華ちゃんを洗脳したんです」
松浦の手は石川の頬を撫でる。
その手が目の上にかざされて上下に振られると、
石川はうっとりとした表情で松浦を見る。
「私の手ほどきを受けた梨華ちゃんが
矢口さんに施した洗脳は『娘。を壊せ』
中澤さんへの思いを娘。を壊す事に向けたんです。
いやぁー、よっぽど憎んでたんでしょうね。
保田さんなんて普通のセックス出来ない身体になっちゃいましたよ」
石川がベッドから降り、床に転がった拳銃を手にする。
「石川、、、、お前、、、や、、、め」
なんのためらいもなく引かれた引き金。
「あ、、、あぁ、、、、、」
「矢口、、、、?」
背中から腹部に向けて、一瞬の事だった。
乾いた銃声。
真っ白なブラウスがみるみるうちに赤く染まる。
好んで履いていたデニムのミニスカートにも血が滲んでいく。
タイルの床にも流れ出す、鮮血。
真っ赤な血が零れていく。
「これで、モーニング娘。は使い物にならなくなったですね〜」
吐き捨てるようにつぶやく松浦。
ドアへと向かって、歩いていくその背中に
中澤が問いかける。
「お前、こんな事して何がしたかったんや、、、、」
「だから、言ったじゃないですかぁー
ちゃんと聞いてくださいよぉ。」
震える矢口の身体を抱きかかえる中澤の顔を見て
松浦はこれほどないくらいの笑顔を見せる。
「私がトップアイドルになるんですよー
それで、やっぱり1人ってのも寂しいんでー
梨華ちゃんとぉ加護ちゃんと一緒にやろうかなって」
「え・・・・・・」
何も知らない加護は石川と松浦の顔、それに中澤の顔を見る。
隣に立つ石川が膝を折り、抱き締めてきて、耳元で囁く。
「一緒になろ・・・・・・?」
加護亜依にとって
モーニング娘。とはなんだったのだろうか。
加護亜依にとって
仲間とはなんだったのだろうか。
カゴアイニトッテ アイトハ・・・・・・・・・・・・
ダレニアイサレテタ?
加護は、小さくうなづいた。
石川が加護の手を引いて、病室を出る。
松浦はドアの手前で振り返り
深々と頭を下げる。
「じゃ、中澤さん、矢口さん、さようならでした」
「てめぇええええええええええええ!!!」
「・・・・・・」
閉まるドア。
中澤の手には溢れ出す矢口の赤い、赤い、真っ赤な血・・・・・・
epilogue
カーステレオから流れるAMラジオ
『それではお聞きください、デビューシングルです
衝撃!乙女のサンバカーニバル!』
軽快なラテンのリズムにシンセサイザーの音と
派手な打ち込みが重なり、ハッピートランスな世界を
これでもかというくらいに響かせる。
さらに、そこに加護のロリータキッチュな声と
石川のハイトーンアイドルボイス
松浦の表情のはっきりとした唄が重なっていく。
「・・・・・・」
運転席を倒して、それを聞いていた中澤は身体を起こし
セーラムに火をつけた。
紫色の煙は少しだけ開けられた窓から流れ出す。
「次は、どこ行こうか」
答えはない。
助手席に座る彼女は全ての罪と共に
言葉と記憶を失ったから。
「・・・・・・真里」
窓にもたれかかって眠る顔。
中澤は席を戻し、エンジンをかける。
仕事はやめた。
矢口と一緒にいる事を選んだ。
失った物を取り戻し
失った時間を取り戻すために。
ゆっくりとアクセルを踏めば、
車は動き出す。
そう、まるで深い闇から逃れるように・・・・・・
「かごちゃん、苺、食べる?」
松浦が差し出した手の平には赤く熟した苺。
1つ手にして、口にすると
甘酸っぱい味がした。
「美味しいでしょ?」
「うん」
END
【終演】
前作を書き終わってから、モチベーションが下がってしまって
全然書けない日々が続いてたところにレイク氏から
既存の作品のリメイクという新たな手法のアイデアを頂き
そこから、パシリをリメイクする事になりました。
まぁ、うちのHPを見てた人はどれくらい苦悩したか
分かってるかも知れませんが、それはそれは苦行でしたよ。
やっぱり元々が有名な作品ですから、せめてもそこに
追い付く出来でなければいけないというプレッシャー。
うまく軌道に乗り出すと、それがよい刺激にはなりました。
自分で書いていても、決して抜けるエロではないんですが
狂気というものをキーワードに進めていきましたが
どうだったんでしょうか。
よろしければ、レスの方、よろしくお願いします。
なお、このスレはこのまま放棄となりますので
感想レスが終わり次第、保全せずに放置でお願いします。
ありきたりの言葉しか思いつかないが、原作にも劣らぬ力作でしたね。
次回作まで気長にお待ちしております。
脱稿おめでとうございます。
最後は3人祭でしたね。
僕は原作の方も知っていたんですが、
その時は(多分)松浦は1回も出てこなかったので、
意外な登場に驚いています。
僕が勝手に同じ結末を予想していただけと言うのもありますが。
最後に謎を残す書き方はとてもよいと思います。
番外編は……もしかけたら掲載お願いします(ここじゃなくてもいいので)。
なるほど。こーゆー結末にしたか・・・。
うん、レイクオリジナルとは違った面白さがあった。
109 :
レイク:02/04/22 23:12 ID:UyIMqrN/
脱稿おめでとうございます。
こういう結果なのかぁ〜と、まったく別の作品
という感覚で読めました。
提案したはいいものの、
逆に苦しめちゃったのかなぁと思いました。
でも、加護パシリ日記のリメイクで、
LODテイストの加護パシリ日記を楽しめました。
お疲れ様でした、次回作を心よりお待ちしております。
110 :
レク:
単純にハッピーエンドじゃない終わり方ってのがすごくいいと思いました。