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「ねぇ、なんでそんなに早く歩くの?ちょっと待ってよっ」
「・・・・・・・」
あいつは小走りに、俺にぴったりとくっついてきた。
ギュッと手を握られる。
「ねぇ、最近冷たいよね?」
あいつがもう少しでいなくなるって思うと、あんまり親しくできなかった。
別れる時に、余計に悲しくなるから・・・・。
「黙ってろよ。こうやって、2人でいるだけでいいんだから・・・・」
「うん・・・・・」
ちょっと手が緩んだ。
この道を歩くのも、あと何回もない。
一生会えなくなるわけでもないのに、言いようのない不安でいっぱいいっぱいになる。
「・・・・そんな・・・・悲しい顔しないでよ・・・」
あいつが沈黙を破った。
「一番別れたくない・・・・悲しいのはアタシなんだから・・・」
俺はその場で立ち止まり、痛いくらいにあいつを抱きしめた。
それが保田。