俺は珍しく家に仕事を持ち込んでいた。
単純な画像処理だが少々細かい。
プライベートまで仕事に拘束されたりしたくないが、
それでも会社の非力な端末を使ってストレスをためまくるよりも、
ずーっと精神衛生上悪くない。
なにせ5GのTIFFを取り込んだだけで固まるのだから…
強ばった表情でモニタを見つめる俺がいた。
そしてきょうは珍しくあいつがいる。
普段は俺一人なのに、運がいいのか悪いのかあいつがいる。
こんなに早く帰っているなんていつ以来なんだ?
疑問に思いながらも仕事に没頭。
けっこう細かいマスクをかける。
こんなのをさっさと片づけてあいつと…
真剣な顔の俺の後ろから脇腹を小突くヤツがいる。
犯人はわかりきっているが、あえて無視。
ここであいつをかまって仕事が遅れるよりも、
さっさと切り上げてゆっくりあいつの相手をしたほうが得策だ。
俺の選択
なおもしつこく小突いてくるあいつ。
2回3回4回5回。
くすぐったいっちゅうにぃ。
ついにこらえきれなくて振り向いてしまった。
「てへてへてへ…」
…誰かさんのモノマネ笑い。
こ、これがやりたかったのか?
他人の仕事を中断させてまで…
一気に脱力。
あきれて何も言えない。
だがふと気づく。
さっきまでの度を過ぎた緊張がウソのように晴れていた。
…ふぅ〜ソウデスカ。わかりました。
これで何連敗になるんですか?
それが保田。
No.16