【伝説】保田圭がそばにいる生活【再び】

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129名無娘。。。
「あ〜もう、わかんねぇ」
あいつはさっきから手にしたマンガを何度も読み返したり、
ひっくり返したりして格闘していたけど、
ついにギブアップの声を上げた。

別段難しく考えるほどのものでもないと思うのだが…
あいつにとっては難解至極のものらしい。

「だって大きさも違うのがいくつも並んでいるんだぞぉ」
いや取っ掛かりさえつかんでしまえば、さほど難しいものではないのだが…
くそまじめなあいつには、自由度を持たせた進行というのが
理解の範疇を超えたものに見えるらしい。

あいつは昔からマンガが苦手だと言う。
それをメンバー内でバカにされたのがよほど悔しかったのだろう。
ここへ戻ってくるなり「おもしろいマンガ貸してくれ」と、のたまう。
おもしろいマンガとわかりやすいマンガは必ずしも一致しない。
しばらく悩んだ結果、俺は『ポーの一族』を選んだ。
古典中の古典と言えるマンガだが一筋縄ではいかない内容のものだ。
簡単すぎないから、逆に理解できるんじゃないかと…

「おいっどうせヒマなんだろう?
こっちに来て説明せい!」
あいつはいたずらっぽく命令した。
マンガを読んでみようと言う目的はスッパリあきらめたようだ。
教えてもらうことでマンガを読んだ気になる。
そんな妥協に落ち着いたようだ。
俺はタメイキをつきながら、あいつからマンガを取り上げて隣に座る。
開いたページを指でたどってストーリーを説明する。
「ここでマリーベルは…」
そこで俺はようやくハメられたことに気づいた。
あいつはマンガを理解することになんか二の次なんだ。
こんなに疲れているんだから、マンガなんかに労力使わなきゃいいのに…
あいつは俺の左肩にもたれて目をつむっていた。
俺は静かに寝息を立てるあいつを起こさないように、じっと動かない。

それが保田。