109 :
ねぇ、名乗って:
「ごめんな、こんな夜遅くに…。」
「いいって。」
就職活動が上手くいかない俺。
彼女の背中を見つめる。
台所で包丁の音がする。
「!あ。お前、飯は、いいぞ。もう遅いんだから、すぐ帰るし。」
「な〜に言ってんの。折角来たんじゃないよ。食べていって。」
…
二の句が告げなくなる。
「あとは沸騰するのを待つだけだから。」
リビングへ戻ってくる。
「このエプロン、可愛くない?買ったばっかりなんだ。」
…苦笑、似合わねぇ。
でも
「うん。かわいいよ。」
「…えっ。」
「お前がな」
抱きしめるとシャンプーの香り。
それが保田。