【伝説】保田圭がそばにいる生活【再び】

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101名無娘。。。
「みんな私にばっかり頼りやがって…」
あいつがぼやいている。

部屋に帰って来るなり、あいつはいきなり愚痴を言う。
いつものことだ。オレは雑誌に目を落としたままやり過ごす。

あいつは頼られている。
年上と言うだけじゃないだろう。
あいつは積極的に前面に出て行ったりはしない。
でもあいつが後ろにいるからこそ、あいつの仲間はトライできている。
ここぞと言うときに助けてもらえるのを知っているからだ。

実力が最上位であることなんか、まわりのすべてが認めている。
だが、あいつは野心よりも老婆心のほうが勝っている。
自分自身のことより他人のことのほうが気にかかるのだ。
だからみんな引け目を感じながら安心して頼ってしまう。
身近な母親として機能してしまうのだ。

あいつは知っている。
頼られるだけの存在にしてしまったのは自分自身だと。
あいつも根っからお母さんキャラをやりたいワケじゃない。
だからこの愚痴はオレに聞いて欲しいんじゃなくて、自分自身に言っているのだ。

あいつの愚痴がひとしきり終わったらオレはおもむろに切り出す。
「焼酎いいのが手に入ったよ。飲む?」
「うん」
憤懣やるかたない体でいたのは演技だったんじゃないのか?
あいつは大きくつり上がった目を細めて答えた。

それが保田。