翌朝、柊は寝込みを急襲された。
情報を入手した警察の突入である。
「おまえたちは待ってろ!」
二人の刑事が先に中へ入り、
出てきた小太り男を撃った。
小太り男は胸を撃たれて斃れる。
そして柊の寝室へ飛び込むと、
驚いて起き上がった彼の胸に一発。
逃げだした矢口の背中を撃った。
「あとは中澤だな」
刑事たちは娘たちの部屋に踏み込む。
悲鳴を上げる娘の中から中澤を探した。
「中澤裕子は?」
「は・・・・・・はい」
中澤が手をあげると、
一人の刑事が拳銃を向けた。
「バカ、向こうでやるんだ」
刑事二人は中澤を引きずってゆき、
廊下で彼女の背中を撃った。
そして拳銃を柊に握らせると、
刑事たちは警官隊を突入させた。
事件は意外なかたちで報道された。
数週間後の新聞で、大々的に報じられたのである。
「モー娘。矢口、中澤死亡!」byサンケイスポーツ
「矢口真里・中澤裕子殺される」by日刊スポーツ
「射殺!矢口真里・中澤裕子死亡!」by東京スポーツ
「ヤク束!原監督、ヤクルト打倒宣言!」byスポーツ報知
UFAの策略だった。
これ以上、マスコミを抑えるのも面倒だったので、
警察を買収し、不要な二人を始末したのである。
犯人の二人と計四人。これで一千万円は安い。
さらに、すでにモー娘のお荷物となっていた、
飯田・安倍・保田の三人を、まとめて脱退させられる。
ところが、三人の脱退記者会見では、
とんでもないことが起ってしまった。
三人が賃金未払いの訴訟を発表したのである。
それは柊が用意した各種書類だった。
会見の席には、そのコピーを持ち込んだのである。
UFAでは即座に三人の解雇を決定した。
しかし、柊の書いたシナリオは完璧である。
毎日のようにワイドショーが三人を追いかけ、
ついに東京地検が動き出したのだった。