モームス最大トーナメント

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832舞台裏 D
さあ4つの対戦が一斉に始まる!と思ったその時、誰かさんの声がそれを止めた。
「盛り上ってるとこ、ごめん。ひとつ提案があるんだけどさー」
お面だ。それまで黙っていたお面の女が急に残りの七人に声を掛けてきた。
不信がる七人、そしてどこかで聞き覚えのある声。
「七対一でいいよあたし、その方がはやいでしょ。」
誰も意味がわからずにいた。この女は何を言っているのか。自分でわかっているのか?
「なんなのあんた、邪魔すんなよ」
当然、気分を害されたさきっちょが、お面の女につっかかる。
バタン。次の瞬間、さきっちょは地面にうつぶせていた。すでに意識もない。
「はいはい、あと六人。ちゃっちゃと行こう。(うーん、私って作者思い)」
誰も理解する間もないまま、舞台裏に戦慄が走る。

5分後、お面の女が舞台裏から出てきた。その体には傷一つない。
話を聞きつけたつんくがその場へ訪れて見たもの。
あの上戸彩が!ZONEが!AKINAが!BOAまでもが!床に倒れ気絶していた。
「たった数分で、この七人を!そんなことができる奴…」
お面の女はケラケラと微笑んでいた。氏名の欄に書かれた一文字の漢字。
光。
833二回戦:02/11/08 23:09 ID:4W7eLylf
第一試合 紺野あさ美−安倍なつみ
第二試合 矢口真里−浜崎あゆみ
第三試合 後藤真希−光
第四試合 辻希美−加護亜依

紺野も安倍も矢口も辻加護も、実際に対戦する後藤ですら、気付いていなかった。
とんでもない奴が参戦してきた事実に。
光。その文字に反応したのは一人の怪物のみ。
「きやがった、あのヤロウ!」
あの浜崎あゆみが、驚きと焦りを露わにしている。
やがて自分を落ち着かせる様に息を吐き、ソファに腰を下ろす。
(決勝の相手は決まった。いいわどっちが地上最強か、決着をつけよう)
嵐巻き起こるモームス最大トーナメント、二回戦いよいよ始まる!
834紺野あさ美−安倍なつみ @:02/11/08 23:10 ID:4W7eLylf
(少なくとも私と闘ったときのお前は…もっと強かった。)
紺野の頭には、まだあのとき吉澤に言われた台詞がこびりついていた。
(今の私に足りないもの…あのときの私と違うこと…駄目、わかんない)
ぎゅっと拳を握り締める。もう迷っている時間はないのだ。
『只今より二回戦第一試合を始めます!』
アナウンスが聞こえてきた。出番がきた、相手はあのなっちだ。
「誰が相手でも変わらない、私は私の闘いをするだけ」
右の掌に神を秘め、紺野あさ美は闘技場へと続く薄暗い廊下を歩み出した。

「相手は現役チャンピオンだぜ、どんな気分だ。」
そう言いながら、安倍なつみの控え室に姿を見せたのは意外な人物だった。
「矢口真里…どうゆう風の吹き回し?」
問いには答えず、矢口はベンチに腰掛けて安倍を睨んだ。
「なっちさんよぉ。去年の大会前の約束、覚えてっか?」
安倍は小さく頷いた。人気のない廃工場跡にて矢口と交わした会話がある。
(なっちは後藤真希とも闘いたいけど、矢口真里とも闘いたいべさ。)
「当然だべさ」
安倍の瞳が修羅に変わる。それを見た矢口は満足そうに微笑んだ。
835紺野あさ美−安倍なつみ A:02/11/08 23:11 ID:4W7eLylf
新旧チャンピオン対決ここに実現!
共に一回戦は圧倒的な力で勝利し、当然今大会も優勝候補の一角に名を連ねている。
『青竜の方角!ディフェンディングチャンピオン紺野あさ美だあああ!!』
『白虎の方角!初代モームス王者安倍なつみの入場!!!』
時代は違えど、同じ栄光を掴みし二人。だが現れたその表情は対照的であった。
安倍なつみはすでに戦闘モード。あの人懐っこい笑顔の欠片も見られない。
対して紺野あさ美の方はどことなく不安気な面持ち、僅かに迷いが見て取れる。
紺野と安倍。二人が闘技場中央に並び立つ。
「なっちはあんたをチャンピオンとは認めていない」
「――――!」
突然の安倍の言葉に驚き、紺野は顔を上げる。目の前に修羅がいた。
「あんたが頂点を名乗るには十年早い。それをこの闘いで証明してあげる。」
あからさまな挑発にくすぶっていた心がざわめき立つ。
たとえ紺野自身が許しても、紺野の拳がそれを許さない。
「私は負けません。いつも完璧です!」
紺野がなっちを睨み返す。王者が王者を睨み返す!
やがてゴングが鳴る。
歴史的一戦、チャンピオン対決が幕を開けた。