その空間に数人の娘達の姿があった。
「あれは海外へと渡り、日本人初のバーリトゥード王者となったあの上戸彩だ!」
「向こうの4人組は北の実力派レスラー団体ZONEじゃないか!」
「まだいるぞ!ほら、琉球武術の達人AKINAが来た!」
「あのタイトなジーンズにねじ込んだボディは!若き韓国王者BOAだ!」
ざわめきたつ大会運営委員の面々。
全国海外各地からとんでもない奴等が、その匂いを嗅ぎつけ参戦を求めている。
そうだ、彼女達もまた地上最強に魅せられた馬鹿者達なのだ。
だが空いたイスはたったの一つ。
この豪華な面々の中で大会出場の権利を得ることのできる者はたったの一人。
「さーて、どうやって決めましょかね〜」
つっかけたのはZONEの一人、さきっちょのマスクを被った娘。
「トーナメントでもする?ちょうど8人いることだし…」
その上戸の提案にさきっちょは首を傾げる。ここには7人しか…
いやいた!部屋の隅でちょこんと座っているお面の女。
「誰だあんた、いつからそこにいんだよ、こっち来なよ」
さきっちょにそう言われると、お面は無言で立ち上がった。これで8人。
「組み合わせはどうやって決めるの?」
琉球武術の一派フォルダを抜け出し独立した娘、AKINAが問い掛けた。
「面倒くさい、適当でいい、誰がきても、勝つの、私、決まってる」
腕を組み余裕を見せるBOAのその態度に、皆の顔色が変わる。
「ちょーし乗んなよ、お前」
「駄目だよMIZUHOちゃん、下手な挑発に乗っちゃ」
カチンと来て今にも飛び掛かりそうになっていたさきっちょを止めたのは、
最年少ながらZONEのエースと呼ばれる娘MIYU
しかし誰も止める者がいないAKINAは、まっすぐにBOAへと進む。
「何が決まってるって、パアちゃん?」
「ぱあ違う。私BOAよ。奇跡、私、NO1、決まってる」
AKINAとBOAが睨み合う。
「どうやら組み合わせが一つ決まったみたいね」
上戸が笑みを浮かべた。だが納得してない者が一人。
「勝手に決めんな!あいつは私がぶっ飛ばすんだよ!」
さきっちょだ。ピーピーピーピー騒ぎを止めない。
「うっさい、MIZUHO死んで」
あまりの騒々しさにリーダーのTAKAYOがキレた。
「ちょっと誰に言ってんのよ!仲間っしょうちら」
「もう仲間じゃない。MAIKOもMIYUもいい?イスは一つなのよ」
TAKAYOが三人を諭す。四人で闘う訳ではない、闘うのは一人一人なのだ。
MAIKOとMIYUの顔色が変わる。その意味を理解したのだ。
だがそれでも騒ぐのはさきっちょ。
「だからって死んではないでしょ、死んでは!お前が死ねっつーの!」
「ああ!誰が死ねだってゴラァ!」
MIZUHOとTAKAYOぶつかる。
「やれやれ二つ目も決まったか」
そう言うと上戸は自分の相手を指名する。彼女はMIYUの前に進んだ。
「あんだが一番おもしろそうだ、闘ろう」
上戸彩の申し出にMIYUは微笑む。それは強き者に選ばれし闘争本能の笑み。
第三の組み合わせも決まる。
ぽつん。一人残されたMAIKOたん。
辺りを見渡すと、同じ様に立ち尽くすお面の女がいました。
「お相手してもらえますか?」
ペコリとおじぎをするMAIKOに、慌てるお面。
「あらあら、これはご丁寧にどうも。」
初めてしゃべるお面の女に、MAIKOは首を傾げて考えた。
(この人の声、どこかで聞いたことある)
こうして残された最後のイスを巡り8人の娘が激突する!
上戸彩、MIYU、MIZUHO、TAKAYO
AKINA、BOA、MAIKO、お面
勝ち残り後藤真希の前に立ちはだかるのは一体どいつだ!?