モームス最大トーナメント

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816加護亜依−鈴木あみ C
圧倒的破壊力を秘め、アミーゴの拳が加護を追う。
一発でももらったらKO必死。その勢いに押されてか、加護の動きが逃げ腰に変わった。
アミーゴの拳をぎりぎりで躱す、反撃の余地が無い。
「ちょろちょろしやがって、いつまで逃げ回るつもりだよ?」
「決まっとる、うちが勝つまでや」
「何だお前、まだ気付いてないのか、格の違い。いいよ見せてやる」
あみの動きが止まった。空気が変わる、嵐の前の静けさの様。
やがて静けさが嵐に変わる。あみが隠された牙をついに剥いた。
「ビートゥゲーザ!ビートゥゲーザ!」
かつてなっちをも、そらにはあゆすらも越えたと言われる伝説の奥義がここに復活!
リズムに乗ったアミーゴ乱舞、地上最強の名に相応しき最高の技。
加護は避ける、避ける、必死で避ける、だが止まらない、止められない。
「ううああああああああ!!」
ここで加護が暴挙に出る、完全にガードを下げ前へ、最後の賭け!?
プシュ
空しく乾いた音。加護の想いを乗せた最後の手刀は、あみの首の皮一枚にて終る。
「おしかったな」
フツウな姿の天使が、吹き飛んだ。
817加護亜依−鈴木あみ D:02/11/01 14:15 ID:Bxg8qZmD
ついに炸裂したあみの拳は、あいぼんの小さな体を折り曲げフェンスへと飛ばす。
「これでわかったろ。圧倒的力の前には小賢しい小手先等、何の意味も持たねえ!」
お腹を抑えもだえ苦しむ加護、だがそれでも天使の瞳は死んでいない。
「ハアッ…ハアッ…ハアッ…」
ガクガクと震える足を手で握り締め、無理矢理にでも立とうとする。
「その根性は認めるよ。だが立ってどうする?お前にはもう1%の勝機もないぜ」
口元から血を流しながら、天使が微笑んだ。
「その1%から勝機を見い出すのが、天才っちゅうもんやで」
あみは声をあげ笑った。現実を見ない愚かな娘に対する嘲笑。
「おもしれえなお前、だけど頭悪りいよ。次で死ぬぞ」
「やってみぃ」
「死ね」
あみがビートゥゲーザの構えに戻る。静けさが場内を包む。
ゴクリ、誰かが息を飲んだ。まだ動かない、未だ静けさが続いている。
一分は経過しただろうか、あみはまだ動き出さない。
流石にこれはおかしい。観客達もざわついてきた。なぜ動き出さない?
対峙する天使だけが、静かに口端を上げていた。
818加護亜依−鈴木あみ E:02/11/01 14:16 ID:Bxg8qZmD
(なんだこりゃあ!なんで動かねえ!なんで俺の体は動かねえんだよ!)
心の中であみは叫んでいた。まるで石になったみたいに自分の体が反応しないのだ。
「ようやっと気付いたみたいやの〜」
目の前で天使が微笑んでいた。いや天使ではない、あみの眼にそれは悪魔の笑みに写った。
「ホントは対のの戦の切り札で、使いたくなかったんやけど、しゃーないわ」
加護は指をくねくねさせて、また微笑んだ。
全部、全部、演技だったというのか?
ギリギリで逃げ回っていた訳ではない、少しずつ切り続けていたのだ。
誰にも気付かれない様に静かに、あみの線という線を…
そして最後の手刀、あれはフェイク、外した訳ではなかった。
脳から肉体へと命令を伝える神経の線を切っていたのだ!
この小さな天才は、その場に居合わせた全員を騙していた。
「圧倒的力の前ではナントカ言うてたな。吹き出しそうになったで」
目の前で笑うこの小さな娘に対して、あみは心から恐怖を感じていた。
「小手先上等!うちは小手先で天下とったるんや」
身動きの取れないあみに対し、加護のトドメの一撃が入る。成す統べなく倒れるあみ。
『勝者!加護亜依!!』
あみはその名を頭に刻み込まれる、フツウな姿の悪魔、加護亜依。
819一回戦終了:02/11/01 14:17 ID:Bxg8qZmD

第一試合勝者 紺野あさ美
第二試合勝者 安倍なつみ
第三試合勝者 矢口真里
第四試合勝者 浜崎あゆみ
第五試合勝者 後藤真希
第六試合勝者 引き分けにより不在
第七試合勝者 辻希美
第八試合勝者 加護亜依

こうして八つの試合、その全てが終った。
勝者の数は七人。だがこの七人の誰も知らなかった。
このとき舞台裏で、残された最後のイスを巡りとんでもない事態が起こっていたこと。