モームス最大トーナメント

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794吉澤ひとみ−石川梨華 G
フワッ。浮き上がるように起き上がる石川梨華。それを待ち受ける吉澤ひとみ。
人知を超える野獣と化した吉澤に、勝るとも劣らない闘気を発する石川。
もはや両者に理性は残されていない。あるのは闘争本能のみ。
「ついに壁を越えたか、石川…」
飯田が呟く。自らの跡目を継ぐ娘の眩しい姿をその眼に焼き付け。
市井後藤保田はあえて声を掛けない。言わずとも信じているから、吉澤の強さ。
もうプッチ対TAPじゃない
吉澤ひとみ対石川梨華だ!
どちらからともなく前に出る二人。交差する拳と拳。全ての想いを込めた拳と拳。
同時だった。同時に二人は拳を打ち込み、同時に二人はそれを受け、同時に地に落ちた。
会場が静まり返る。倒れたまま二人はピクリとも動かない。審判員が場内へ入る。
後藤真希は静かに目を閉じた。
「両者、ノックダウーーーーーーン!!!」
勝利でもない、敗北でもない。試合終了。
医務室へ運ばれる二人、首を横に振る医師。二人共もうとても闘える体ではない。
今大会、リザーバーは用意していなかった。
では、どうなる二回戦の後藤真希の相手はどうなる?無条件で準決勝か?
物議を残したまま、大会は進む。
795福田明日香−辻希美 @:02/10/17 14:31 ID:xnU3oWFr
『後藤選手の二回戦対戦相手につきましては、一回戦全試合が済み次第発表致します』
ざわつきを残した会場に、そんなアナウンスが流れた。それでも喧燥は止まない。
一人の娘の登場が、そんな会場の空気を一変させた。
「ののたんれ〜す!」
なんとも緊張感のない、トテトテと駆け込むチビッコ戦士。
「やれやれ、またお子様か…」
反対側の入場口からは、痺れを切らした福田明日香が姿を見せる。
『ただいまより、一回戦第七試合 福田明日香vs辻希美を開始します!』
一気にヒートアップする会場、時を越えた未知数の激突。
「しょうぶなのれす。ワクワク」
「悪いが一瞬で終らせる。この進化した紐切りでね」
『はじめぃ!!』
未だ棒立ちの辻に向かい、合図と共に一気に間合いを詰める福田。
音すらない、一瞬で脊髄の神経を切り落とす新化した紐切り。
その福田の指が辻の首元に触れた。辻は反応すらできていない。
(勝負あった)
796福田明日香−辻希美 A:02/10/17 14:33 ID:xnU3oWFr
ぷいん。
福田は一瞬、自分の指を再確認した。何も切れてはいなかった。
(まさか?いや、私のミスだろう。もう一度…)
福田は改めて腕を伸ばす。レベルの違う動きに辻はまた反応もできない。だが…
ぷいん。
また同じだ。辻の首筋に触れた瞬間、福田の指が弾かれた。
(何だ、この感触は?)
「てへてへ、こそばいのれす」
辻は笑いながら、触られた首筋をさすっていた。
我が指に切れぬもの無し。そんな自分の全てを否定された。紐が切れない。
「そんなはずはないっ!」
怒りに身を任せた福田が、何十発という紐切りを連打させる。
ぷいん。ぷいん。ぷいん。
その度にあの音が聞こえる。全てが弾かれる。
「こんろはこっちのばんれす。のののしんひさつわら!」
辻がくるっと後ろを向く。読めない。福田には読み切れなかった。何をする気だ?
次の瞬間、目の前に巨大な桃があった。辻のケツだった。
797福田明日香−辻希美 B:02/10/17 14:34 ID:xnU3oWFr
「ぷいんぷいんぷいん」
まさか真剣勝負で本当にこんな技を使うとは。超絶ヒップアタック。
圧倒的なパワーと見事な尻から繰り出されるこの技をもらって、立ち上がれる者はいない。
福田明日香はふっとばされた。
まともな格闘技の試合ならば、おそらく辻は福田の足元にも及ばないだろう。
だが、こと何でもありに関しては、辻は福田の何倍も上にいた。
『勝負あり!勝者辻希美!!』
「アーイ!」
辻の完勝であった。浜崎や松浦とは違う意味で恐ろしい娘であった。
「常識では奴には勝てないって訳か…」
試合後、眼を覚ました福田はそう洩らしたという。
「だが私は、常識外の娘をあと二人知っている。」
「一人は加護亜依」
福田は息を吐き、続けた。
「そしてもう一人の名は、そう鈴木あみだ」